邪龍の力を宿した白兎   作:鬼塚虎吉

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第1話

僕、ベル・クラネルはある夢を見た。

 

その夢は決していい夢ではなかった、その夢の内容は邪龍と呼ばれる存在によって蹂躙されていく夢だった。

 

巨人のような姿をした邪龍が一撃を持ってして大地を裂き

 

三つ首の邪龍が千にも及ぶ魔法円(マジックサークル)から魔法を放ち

 

三つ目の暗黒の大蛇の様な邪龍は暗黒の大河によって全てを呑み込み

 

八つ首の蛇の様な邪龍は毒で空気すら侵し

 

巨大な木を背負った赤眼の邪龍は全ての攻撃を障壁で防ぎ

 

蛇のような龍はどす黒い瘴気を放ちながら目につく物を食い散らし

 

東洋の龍の姿をした邪龍は禁忌級の呪詛を孕んだ黒炎を吐き

 

全ての邪龍をも凌駕する邪龍はたった一回放っただけの火球だけで火の海と化した

 

僕はその夢を見て恐怖を覚えた、これが現実に起こるのではないのかという恐怖に。

 

その夢の事を神様に話すと、こう言ってくる。

 

「ベル君、それはもしかして太古の記憶なのかもしれないね。」

 

「太古の記憶ですか?でも、それだとなんで僕の夢の中に出てきたんでしょうか?」

 

「さぁ、僕にもそれは分からないよ。そうだ、念のために【ステイタス】更新でもしておくかい?」

 

「はい、お願いします!」

 

神様の言葉に対して僕は喜んで応じる。

 

そして、ステイタスの更新を行った結果、あるスキルが発生していた。

 

邪悪なる八つの龍の魂(ソウルズ・オブ・ザ・エイツイビルドラゴン)】というスキルだ。

 

・身体の中にいる八体の邪龍の肉体と力と特性を使役する。

 

これがスキルの内容だった。

 

「ベル君、これは一体どういう事だい?」

 

神様が腕を組みながら僕に問いかけてくる。

 

「僕にも分かりません、それに身体の中に邪龍がいるなんて驚きですよ!」

 

僕はそんな神様に対してそう言うと、神様はこう言ってくる。

 

「そうだね、ベル君!でも、このスキルは確実に希少(レア)スキルだ。ベル君、この

スキルに関しては誰にも口外しちゃダメだぜ!!」

神様は発現したスキルに関して口外しないことを強く言って来る。

 

「は、はい、分かりました!」

 

僕はそんな神様に気圧されてそう言った。

 

 

本拠(ホーム)でそんなやり取りをした後、僕はダンジョンにへと向かった。

 

一階層から三階層まで降りていくと、少々物足りなさを感じた僕は少しだけ下に降りて

いった。

 

四階層を飛ばして僕は五階層に行くと、そこで出会ってしまった。

 

中層にしか現れないlevel2の牛頭獣人のモンスターであるミノタウロス、に。

 

「ヴヴォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

「ほぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

僕はミノタウロスの咆哮(ハウル)を聞いて竦む足を何とか動かして逃げ出した。

 

だけど、相手は格上のミノタウロス。

 

僕が逃げたとしてもいずれは追いつかれてしまう。

 

だから、ある一つの決心をした。

 

ここで僕がミノタウロスを倒す、と。

 

そう考えた瞬間、後ろを振り返りミノタウロスにナイフで斬り込んだ。

 

バキッ!

 

嫌な金属音を立てながらナイフは根元から折れてしまった。

 

あぁ、こんな僕じゃダメなんだ…。

 

そう思いながら僕は諦めにも似た感情が押し寄せてきた。

 

そんな時、神様の泣き顔が浮かんだ。

 

こんな所で死んでたまるか、僕が死んだら神様が悲しむ。

 

神様が悲しむのは絶対に嫌だ!!

 

そう思った瞬間、頭の中から声が聞こえた。

 

{いいだろう、今回は俺の力を使わせてやる。}

 

その声が聞こえなくなると、急にミノタウロスの動きが遅くなった気がする。

 

いや、気のせいじゃない。

 

ミノタウロスの動きが遅くなっている、…これならイケる!!

 

僕は拳を握り締め、拳をミノタウロスの肉体に叩き込んだ。

 

「ヴヴォッ!?」

 

僕の拳を喰らったミノタウロスは呻き声を上げ、灰となって魔石とドロップアイテムのミノタウロスの角になった。

 

「はぁはぁっ、倒した?」

 

僕は息を切らしそう呟きながら周囲を確認をする。

 

そして、周囲にモンスターにいない事を確認すると魔石と角を回収してから座り込ん

だ。

 

「助かった~!!」

 

僕はそう声を漏らすと、あの時に聞こえてきた「声」について考える。

 

「{それにしても、あの時の声って誰の声だったんだろ?}」

 

そうやって考えていると、頭の上から声が聞こえてきた。

 

「あの、大丈夫・・・ですか?」

 

僕が顔を上げると、そこにいたのは金髪金目の剣士がいた。




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