オタク剣士が武偵校で剣技を舞う!   作:ALEX改

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第7話 リュパン4世vs月島剣護!

理子「……ハッ!」

 

先程まで真っ白に燃え尽きていた理子はなんとか正気を取り戻すとブンブンと頭を振るって3人を睨みつける。

 

理子「ま、まさか剣護が変装して潜っていたとはね……流石の理子も分からなかったよ」

剣護「そりゃどーも。反省もしないし後悔もしないがな」

金・アリ『反省はしろ(しなさい)』

理子「でも……そんな余裕もここまでだよ」

 

理子はワルサーP99を構える。アリアとキンジもそれぞれ武器を構え、臨戦態勢に入る。

 

アリア「剣護、あたしがやるわ。理子の目的もあたしよ」

剣護「なら俺はお前らの隠し玉さね。やりな」

アリア「どうも!」

 

アリアは床を蹴ると二丁のガバメントを構えて理子に襲いかかった。

理子はスカートからワルサーをもう一丁取り出すが、アリアは止まるわけにはいかずバリバリと至近距離から発砲する。

お互いに至近距離から格闘を混ぜながら撃ち込んでいく。

 

アリア「はっ!」

 

弾切れを起こした瞬間、アリアは両脇で理子の腕を抱え、銃撃が止む。

 

アリア「キンジ!剣護!」

 

キンジはバタフライナイフを開き、剣護は小太刀を抜き、理子に近づく。

 

キンジ「そこまでだ理子!」

剣護「大人しくしやがれ」

 

しかし、そこで理子が口を開いた。

 

理子「奇遇よね、アリア。理子とアリアはいろんなところが似てる。家系、キュートな姿、それと……2つ名」

アリア「え?」

理子「あたしも同じ名前を持ってるのよ。『双剣双銃の理子』。でもねアリア」

 

キンジは止まり、剣護は何かを察知したのか駆け出そうと踏み込んだ。

理子の髪が生き物のように動いたのである。

 

理子「アリアの双剣双銃は本物じゃない。お前はまだ知らない。この力のことを!」

 

背後に隠していたナイフを握り、アリアに襲いかかる。アリアは一撃目は驚きながらも避けたが。

 

アリア「うあっ!」

剣護「ぐっ!」

 

続けて反対のテールのナイフによる二撃目でアリアは側頭部を、剣護は左頬を切られた。アリアは後ろに仰け反り、剣護はアリアを受け止め後ろに飛んだ。

 

理子「あは……あはは……曾お爺さま。108年の歳月は、こうも子孫に差を作っちゃうもんなんだね。勝負にならない。コイツ、パートナーどころか、自分の力すら使えてない!勝てる!勝てるよ!理子は今日、理子になれる!」

剣護「……ふぅ……」

 

理子の笑い声にバツンッと剣護は自分の中で何かが切れたような感覚に襲われ、体の奥底から煮えたぎるようなものを感じていた。

 

剣護「キンジ、アリアを連れて一旦逃げろ」

キンジ「で、でも……剣護はどうすんだよ」

剣護「あいつをどつき倒す。意識が無くなるまで斬りまくって殴りまくる」

キンジ「ほ、ほどほどにな……わかった。ここは頼む」

剣護「急げ、キンジ!」

 

キンジはコクリと頷くとアリアを抱え二階に走っていくのを見送ると、剣護は理子の前に立ち塞がった。

 

理子「きゃはは!狭い部屋の中どこに行こうっていうの?」

剣護「さあね、俺にも分からん」

理子「あはは!ならアリアを殺す前に剣護と遊ぼうかなぁ?あははは!」

剣護「遊びになると良いけどな」

 

理子は髪を操って剣護に襲いかかる。剣護は深く呼吸をすると一気に踏み込み距離を詰める。

 

理子「速っ…!?」

剣護「月島流拳技!蓮華掌!」

 

懐に潜ると渾身の掌底を放ち、理子はギリギリで両腕で防ぎそのまま後ろに吹っ飛ぶ。

 

剣護「チッ。後ろに飛びやがったか」

理子「っ……!かーなり危なかったけどねぇ…でも」

 

プラプラと腕を振ってから理子は中国拳法の構えを取る。

 

理子「体術なら理子も負けてないんだよねぇ」

剣護「へっ、上等ォ…」

 

剣・理『ハッ!』

 

2人はお互いに拳を繰り出し、お互いに反対の腕で受け止める。

 

理子「ふっ!」

剣護「シィ!」

理子「ほっ!」

 

理子は髪を操りナイフを振り回し、身体のあちこちに掠めつつも剣護は蹴りを放ち、理子は軽やかに避ける。

 

理子「くふっ……容赦ないねー剣護は」

剣護「容赦する余裕も必要もないもんで……な!」

理子「うおっと!」

 

剣護は小太刀を振るうが髪を掠めるだけで避けられる。

 

剣護「ぜぇあ!」

理子「ふっ……はあ!」

剣護「むん!」

 

続けて振るわれた手刀を避けると理子は両手を剣護の腹に添えて衝撃を打ち込むが、剣護は床を踏み込み受け止める。

 

理子「うっそでしょ……!?」

剣護「ぐっ……なんのぉ…!」

理子「両手でやったのに耐えられるとかどんだけ頑丈なんだよ…!?」

剣護「まあな……」

 

理子「…ねえ、ツッキーもイ・ウーに来なよ。イ・ウーならもっと強くなれるよ?」

剣護「…悪いがお断りだな。犯罪者どもの仲間になる気ねえし」

理子「そっか…それなら…」

剣護「あぁ……」

 

理子はワルサーを両手に構え、剣護も腰を落とし身構える。

 

理子「ここでお別れだね!」

剣護「やれるもんならなぁ!」

 

剣護が疾走すると同時に理子は発砲、銃弾を小太刀で弾いて剣護は拳を構える。

 

剣護「月島流拳技……鉄鋼強…っ!?」

 

拳を繰り出そうとした瞬間、両足に激痛が走り剣護は膝をついてしまう。

 

理子「くふっ…引っかかったね」

 

両足を見ると太腿にナイフが深く突き刺さっていた。

 

理子「正面にばっかり気を取られてちゃダメだぞー?剣護?」

剣護「チッ。頭に血が昇ってたのが仇になったかね…」

理子「くふふ……それじゃあ剣護、今度こそ…」

 

ナイフとワルサーを突きつける理子。足を封じられても剣護は相手から目を離さず、痛みを気にせず集中力を高める。

 

理子「お別れだよ!」

剣護「どうだかな!」

 

ほぼ全く同時に理子はナイフと銃弾を、剣護は拳をお互いに繰り出し破裂音と打撃音がバー全体に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理子「バッドエンドのお時間ですよー。くふふっ。ゴフッ」

 

理子は痛む腹部を押さえながらスィートルームへと入ってくる。

 

理子「もしかしたら仲間割れして自滅しちゃうかなーなんて思ってたんだけど。そうでもなかったみたいなんで、ここで理子の登場でーす……いたた。」

キンジ「話すか痛がるかのどちらかにしろよ」

理子「それより、アリアは?まさか死んじゃった?」

キンジ「さあな、そっちこそ剣護はどうした」

理子「多分殺したよ。相打ちだったけど」

キンジ「そうかい」

理子「ふふふっ……そういうキンジ、ステキ。勢い余って殺しちゃうかも」

キンジ「そのつもりで来るといい。そうしなきゃ、お前が殺される」

理子「さいっこー。キンジ、見せてよ。オルメスのパートナーの力」

 

引き金を引こうとした理子に、キンジは酸素ボンベを盾にするように掲げた。理子の手が一瞬止まったのを見逃さずに、キンジはボンベを投げつけながら、バタフライナイフを開き、飛びかかろうとする。

 

しかし、次の瞬間、飛行機が大きく傾いてキンジは姿勢を崩す。理子はそれを逃さずワルサーを撃った。

銃口から弾丸が放たれ、右にも左にも避けられないキンジは咄嗟にナイフで弾丸を、斬った。それを見た理子が目を見開いた瞬間、アリアから借りた黒のガバメントを理子に向ける。

 

キンジ「動くな!」

理子「アリアを撃つよ!」

 

がたんっ!

 

理子がワルサーをシャワールームに向けた時、天井の荷物入れに入っていたアリアがガバメントで理子のワルサーを弾き、さらに背中から刀を抜くと同時に理子の左右のツインテールを切断した。

 

理子「うっ!」

 

理子は両手を自分の側頭部にあて、焦ったような声を上げるが、これだけでは終わらなかった。

 

剣護「はあぁぁぁぁ!」

理子「はっ!?」

剣護「月島流拳技、鉄鋼強打ぁ!!」

理子「ごぶぉ!?」

 

理子に殺されたはずの剣護が猛突進してきて勢いを乗せた拳を叩き込んだ。もろに直撃した理子は吹っ飛んで壁に叩きつけられた。

 

キンジ「峰・理子・リュパン4世」

アリア「殺人未遂の現行犯で逮捕するわ!」

 

キンジとアリアにガバメントを向けられ、理子は目を回しながら

 

理子「そ、そっかぁ。ベッドにいると見せかけて、シャワールームにいると見せかけて、どっちもブラフ。キャビネットの中に隠してたのかぁ……すごぉい。ってそれよりなんで剣護は生きてるの?ナイフと銃弾食らったよね!?」

剣護「あ?あんなもんで俺が死ぬかバーカ。痛かったけど」

キンジ「いや血だらけなんだが……」

アリア「かなりタフね……」

理子「タフどころじゃないよぉ……化け物だよもはや。ま、3人とも誇りに思っていいよ。理子、ここまで追い詰められたのは初めて」

剣護「どうせならこれ以上に精神を追い詰められるけど?」

キンジ「それはやめてやれ」

アリア「追い詰めるも何も、チェックメイトよ」

理子「ぶわぁーか」

 

キンジが理子を捕らえようと踏み出した瞬間、ぐらりと機体が大きく傾いた。

姿勢を崩したアリアと剣護は壁にぶつかり、キンジは倒れないように踏ん張っていた。

 

理子「それじゃーねー。いつつ……」

 

そんな中、理子は腹部を押さえながら脱兎の如くスィートルームから出ていった。

 

 

 

 

キンジと剣護は理子を追って、階段を降りるとバーの片隅で窓に背中をつけるようにして立っている理子がいた。

 

キンジ「狭い飛行機の中、どこに行こうっていうんだい、仔リスちゃん」

剣護「しかも腹を押さえながら」

理子「剣護のせいだからね!それより2人とも。それ以上は近づかない方がいいよー?」

剣護「あぁ、ダ○ョウ倶楽部的な」

理子「違うよ!?ま、まあご存知の通り『武偵殺し』は爆弾使いですから」

キンジ「……おいまさか」

 

次の瞬間、理子の背後が爆発して壁に丸い穴が開く。理子はその穴から飛び出して、さらにはガクンと体勢を崩した剣護も穴から飛び出して落ちていった。

 

剣護「あぁぁぁぁぁ……」

キンジ「うおぉぉい!?お前もか!?」

 

次の瞬間、理子と剣護と入れ違いに2つのミサイルがANA600便に直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣護「……おい理子。あのミサイルもお前か?」

理子「いや理子じゃないし。なんでしがみついてるの」

 

理子と一緒に飛び出てしまった剣護は理子の足にしがみついて、一緒に降りていた。

 

剣護「状況判断だ。大人しく相乗りさせてくれ」

理子「なんでやり合った奴と相乗りしないといけないんですかね……」

剣護「一応、制服にウィングスーツ仕込んでるけど」

理子「なら飛んでよ!?」

剣護「だが断る!と言いたいとこだが……」

理子「……多分あれ墜ちるね」

剣護「というわけだ。電話したら飛ぶさね」

理子「なら早くしてよー。理子、お腹がすんごい痛いんだけど」

剣護「はいはいっと」

 

剣護は携帯を取り出すとコードを入力した後、誰かに電話をかける。

 

平賀『はい、平賀ですのだー!』

剣護「もしもし?平賀さん?」

平賀『あ、剣護くん。何か用なのだ?』

剣護「ハイジャックの件は知ってるな?」

平賀『うん、武藤くん達と今話してたのだ。キンジくんから連絡があって』

剣護「オーケー。そのことで早急にアレを用意して欲しい。TF-00を」

平賀『了解なのだ。アンダースーツは着てるのだ?』

剣護「 もちろん。トライドロンでそっちに行くから頼んだ」

平賀『りょーかいなのだ!』

 

剣護は携帯を切るとフーッと一息ついた。

 

理子「終わった?」

剣護「おう、悪かったな」

理子「くふふっ。また会おうね、ツッキー」

剣護「次は敵じゃないと良いがな」

 

バッと理子から離れると剣護はネクタイを引っ張りウィングスーツを展開し、滑空していった。

 

 

 

 

 

 


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