ブラド「ハハハハ!残念だったなテメェら!」
剣護「おい、どーするよキンさん。俺もう今日は変化できねえぞ」
キンジ「かなりマズイ。いや、ガチでヤバイ。弾も体力も気力もカツカツだ……」
予想外の出来事にキンジと剣護は冷や汗を流す。
ブラド「オラァ‼︎」
全員『がっ⁉︎』
アンテナが横薙ぎに振るわれ、キンジ達は咄嗟に避けられず受けてしまい吹っ飛ばされる。
ブラド「グババ!脆いなぁ人間は!」
キンジ「チッ…!舐めるな‼︎」
剣護「野郎ぉ‼︎」
キンジ「ボレーショット!!!!」
剣護「月島流、富嶽燕舞斬り!!!!」
キンジの飛び回し蹴りと剣護の空中からの横一文字がブラドを襲う。
ブラド「ふん‼︎」
剣護「あがっ……」
ブラドは剣護の一撃をアンテナで防ぎ、そのまま振り抜き壁にたたきつけ、もう片方の腕でキンジを捉える。
キンジ「剣護!ぐっ……」
ブラド「ウラァ‼︎」
キンジ「ぐあ……」
キンジを捉えた腕を振りかぶり地面に叩きつける。キンジは血の塊を吐き出す。
理子「ブラド‼︎」
アリア「このぉ‼︎」
理子が髪を操ってナイフを振るい、アリアも小太刀でブラドに斬りかかる。
ブラド「ふん!」
理子「ごぼっ………」
アリア「りっ………」
ブラド「ちゃんと受け止めてやれよ!」
ブラドは理子にボディブローを叩き込んで片方の手で掴むとアリア目掛けて理子を投げつける。
アリア「くぁっ!」
理子「カハッ…………」
ブラド「そらよ!」
アリ・理子『あがっ!』
アリアが理子を受け止めた瞬間にブラドは2人まとめて蹴り飛ばした。
2人は地面にワンバウンドしてエレベーターに激突し意識を失う。
あかり「アリア先輩!」
ライカ「ウオオオオオオオオ!」
志乃「はっ!」
あかり、ライカ、志乃はブラドに向かって駆ける。
あかり「鷹捲!」
ライカ「月島流拳技!蓮華掌!!!」
志乃「燕返し‼︎」
ブラド「トロいんだよ‼︎」
ブラドは飛んできたあかりを避け足を掴むとライカにぶつけ、裏拳で志乃を吹っ飛ばした。
あかり「うあっ!」
ライカ「っ!」
志乃「きゃっ!」
剣護「っづあ‼︎」
あかりはライカが受け止め、志乃はなんとか立て直した剣護が受け止める。
志乃「うっ………」
剣護「っ……立て直さないと……あ、ヤヴァス」
ブラド「グババ……死にな」
ブラドは剣護と志乃の方へ近づくと八つ裂きにせんとばかりに自身の鋭い爪を振り下ろす。
志乃「ひっ………!」
迫る爪に思わず目を瞑る志乃。しかし痛みは無く、ザシュッという切り裂くような音が聞こえただけだった。
志乃「………え…………?」
剣護「っ…………」
恐る恐る目を開けると剣護が自身の背を盾に志乃を庇い、爪の一撃を受け鮮血を散らし力無く志乃にもたれかかっていた。
志乃「あ………ぁ………」
あかり「剣護先輩!志乃ちゃん!」
ライカ「マズい‼︎」
目の前の出来事に志乃は顔を真っ青にして、彼の背中に触れてみると生暖かい濡れた感触と共に真っ赤な血がその手にベッタリと付いていた。
志乃「…ぅ……………ぁ……」
ブラド「グバババ……どうだ?仲間が傷つく様を見るのは…グハハハハ!」
志乃「………………」
追い打ちをかけるようにブラドが近づきながら、現実を突きつけるように語りかける。
あかり「志乃ちゃんから離れて!」
ライカ「こっち向きやがれ!化け物!」
あかりはUZIでブラドの背中を撃ち、ライカはトンファーでブラドの体を殴りまくる。
ブラド「チッ、ハエどもが……お前らみてえな
志乃「………ッ‼︎」
ブチン……と志乃の中で何かが切れ、先程までの混乱が打ち消され、同時に灼けるような怒りが頭の中を塗りつぶしていく。
【下等生物】………こいつは今、誰のことをそう言った?
自分?あかり?ライカ?それとも自分を守って倒れた
違う………………こいつは……………
私の【憧れの先輩達】と【大切な親友達】に対して言ったんだ!!!!!!
ドクンッと大きな鼓動が聞こえる。ドクンッドクンッと続けざまに鳴り、その鼓動はどんどん速くなっていく。目の裏側が熱くなるのを感じるとドロリと何かが目から流れる。
志乃「…………………い………」
ブラド「あん?」
志乃「………………許さない……‼︎」
紅く染まった目から血を流し、志乃は白銀椿を握りしめ立ち上がる。
ブラド「グゥババババ‼︎許さないだあ?お前に何ができ(ザギンッ)……あぁ?」
突然の金属音にブラドが何が起こったと言わんばかりにアンテナを見ると先端の部分がスッパリと斬り落とされていた。
ブラド「………なんだと?」
驚きを隠せないブラドに対して、志乃は居合いの構えを取る。
そこから放つのは誰もが知る志乃の十八番【燕返し】。なのだが志乃はその構えから力強く踏み込みブラドとの間合いを詰めた。
志乃「っ!」
ブラド「何っ⁉︎うぐぁ!」
しかし、間合いを詰めると共に放たれたのは皆が知る燕返しではなく突進からの高速2連撃。その名も
巌流 燕返し・火閃
自身の燕返しとかつてこれまで見てきた剣護の技を元に志乃なりに組み合わせたオリジナルの燕返しである。
2連続の斬撃はブラドの腹を斬りつけるが、決定打にまでは至らなかった。
志乃(浅い……筋肉を固めて防がれた?)
ブラド「テメェ……やってくれるじゃねえか‼︎」
志乃「っ!」
ブラドは狂ったように爪やアンテナを振り回す。それに対して志乃はなんともないかのように捌き、避けていく。いくらかは捌き切れず受けてしまい血を散らすがまるでそれを他人事のようにブラドと渡り合う。
その様子にキンジ達は驚きの表情を浮かべ、目の前の光景を見ていた。
あかり「志乃ちゃん………」
アリア「い、一体どうなってるの……?」
理子「1人でブラドと渡り合うなんて……」
キンジ「身体能力だけじゃない…反応速度も上がっている…」
ライカ「す、すげぇ………」
アリア「でもそれは一時的なものに過ぎないわ。それに…あの子自分が傷つくことなんてお構いなしに攻めている」
あかり「え?」
アリアの言う通り、いつの間にか志乃の顔や体には切り傷が多数付いており、頭も少し切ったのか血を流していた。それでも関係ないかのように志乃は攻め続ける。
ブラド「グゥゥゥ…!どこからそんな力を出してきやがる……」
志乃「………………」
ブラド「なんとか言いやがれぇぇぇぇ‼︎」
志乃(燕返し・火閃)
がむしゃらに暴れまわるブラドに志乃は燕返しの連発で迎え撃つ。
ブラド「グラァ‼︎」
志乃「………………コフッ」
志乃(燕返し・陽炎)
ブラドの拳を避けるとその脇腹にカウンターの燕返しを叩き込む。斬り抜けるその姿は炎を纏った燕の如く。
ブラド「ウグゥア⁉︎」
思わずブラドは膝をつき、息を荒くしながら志乃を睨む。志乃は刀を腰溜めに構え足に力を込める。
志乃(…これで決める……‼︎)
全力の踏み込みから一気にブラド目掛けて突っ込み、その首を刈り取らんとばかりに担いだ刀を振るおうとした時だった。
あかり「志乃ちゃんッ!!!!」
志乃(あかり……ちゃん…?)
志乃「…っ……ゴホッ!」
あかりが呼びかけた瞬間、我に帰った志乃は咳き込むとその場に崩れ落ちた。
志乃「ゲホッゴホッ…グッ……ゲホッゲホッ!」
人間には二つの限界がある。【体力の限界】を迎えると人は苦しくて動けなくなる。志乃のように目から血を流すほどの強い怒りで動けたとしても、その次に来るのは【命の限界】。当然ながらこれを超えれば死んでしまう。志乃は今それを超えかけたのである。
志乃「ゴホッゴホッ…グッ…ゲホッ……ゴブッ!」
強く咳き込む志乃。口を押さえる手からは血が漏れていた。
ブラド「惜しかったなぁ……おい」
その前にはブラドがアンテナを振りかぶって志乃を叩き潰そうとしている。
志乃「ゲホッ!ウグッ……ゴボッ」
ブラド「串刺しにしてやりたいとこだが串がこんな状態じゃなあ…」
あかり「志乃ちゃん!志乃ちゃん!」
キンジ「マズいッ……‼︎」
キンジは志乃の方へと突っ走り、ライカもキンジに続く。
ブラド「まあいいだろう………死ね」
ライカ「月島流拳技‼︎翔竜脚!!!!」
キンジ「ビートアッパー!!!!!」
振り下ろされるアンテナにキンジは渾身のアッパーカット、ライカはサマーソルトキックをぶち当て、弾き飛ばした。
ブラド「チッ……まだくたばって…「月島流拳技‼︎」ぬっ⁉︎」
剣護「鉄鋼強打!!!!!!」
さらに復活し、無理やり常世の神子に再びなった剣護のパンチがブラドを吹っ飛ばす。
ブラド「ぐお………テメェらぁ……」
キンジ「剣護!ここで決めるぞ‼︎」
剣護「当たり前だ!志乃がここまでやってくれたんだ。絶対にぶっ倒す‼︎」
ブラド「グオオオオオアアアァァァァ‼︎」
剣護「キンジ!」
キンジ「サンキュ!」
剣護はキンジに自身の銃、ファイブセブンとM500を渡す。受け取るとキンジはすぐさまM500でアンテナを持っている腕を撃ち抜く。
ブラド「ぐお………」
剣護「月島流拳技!百華乱撃!!!」
ブラド「喰らうかぁ‼︎」
剣護「ぐっ⁉︎」
接近して放たれた乱打をブラドは両手で受け止める。
剣護「ぐうううううううううう……!!!!!!」
ブラド「グバババ……‼︎」
キンジ「剣護!」
剣護「ぬぎぎぎ……!」
なんとか押し返そうとするが、本来時間を置かないといけない状態で無理矢理変化しているせいで、パワーが落ちていて押されていく。
ブラド「そうら落ちろぉ!」
剣護「なっ!?」
ブラドは剣護を持ち上げるとタワーの屋上から投げ落とした。自由が効かない空中ではどうすることもできず剣護は落ちていった。
ライカ「剣護先輩!」
アリア「理子!」
理子「ご、ごめん…ちょっと厳しい…」
アリアは理子に救助を頼むがさっきのダメージが抜けておらず動けずにいる。
ブラド「グババババ!そらどしたぁ!」
キンジ「ぐっ……!」
剣護のことを心配する間もなくブラドはアンテナ等の残骸を持って襲い掛かる。キンジは残弾のこともありなかなか攻撃に転じることができず回避するので精一杯である。
ブラド「グババ……んん?」
するとブラドの背後からキィィィィンとジェットエンジンのような高音が響く。思わず振り返った瞬間、氷のつぶてがショットガンのようにブラドの顔面に叩き込まれた。
ブラド「ぐおおぉ!?」
キンジ達が氷が飛んできた方を見ると、ブースタートライドロンの車体上部に剣護と援軍に駆けつけたジャンヌが乗っていた。
あかり「剣護先輩!」
キンジ「ジャンヌ!?なんでお前が…」
2人は屋上に降りるとキンジ達の方へ駆け寄る。
ジャンヌ「居てもたっても居られなくてな。こうして駆けつけた。月島が落ちてきた時は驚いたが…」
剣護「いやー緊急用のクッション積んでて良かったよ」
理子「マジで肝が冷えたんだけど…」
ジャンヌ「弾薬の予備も持ってきてある。使え」
キンジ「助かるよ」
ブラド「この羽虫がぁ!」
ブラドは瓦礫を掴むとブースタートライドロン目掛けて投げつけ左側のブースターにぶつけて撃墜させる。
剣護「げぇ!?やりやがったなあの野郎!」
アリア「退場早かったわね」
キンジ「間宮、火野。佐々木は任せたぞ」
あかり「はい!」
ライカ「わかりました」
あかりとライカは志乃を抱えて後方に下がる。
理子「で、どう行く?」
剣護「俺はラスト1発が限界だ。だから皆はブラドの気を引いて時間稼いでくれ」
キンジ「わかった」
ジャンヌ「ならトオヤマ達が気を引いているところを私が氷で動きを封じてそこを叩こう」
アリア「オーケー。それでいきましょ」
ブラド「作戦会議は終わったか?」
キンジ「あぁ、いくぞ!」
キンジの合図で剣護以外の4人は散開する。その間に剣護は腰を落として霊力を右足に集中させる。
ブラド「4世ぇ!」
理子「こっち来んな!」
ブラド「ぐおっ!?」
ブラドはまず理子を標的に襲いかかる。理子は弾を補充したワルサーで顔を撃って牽制し、それに続いてキンジとアリアも弾丸を浴びせる。
ブラド「そんな豆鉄砲が効くか!」
ジャンヌ「ならこれはどうだ!」
ジャンヌが修復したデュランダルを振るい、ブラドはアンテナで受け止める。
ジャンヌ「くっ!」
ブラド「グババババ!そんなもんかぁ?」
ジャンヌ「っ……だがこれでいい!」
ブラド「はぁ?ぅぐあ!?」
瞬間、理子とアリアが腕の筋とアキレス腱を撃ち抜き、ブラドはアンテナを手から落とし両膝をついた。
ブラド「な、何だと……」
キンジ「オッラァ!!!」
ブラド「はがっ!?」
ブラドは体勢を立て直そうとするがキンジが顎を蹴り抜いて脳を揺らし、揺れる視界にブラドはバランスを取れずにいる。
ブラド「ぐ、ぐおぉ……」
アリア「ジャンヌ!」
ジャンヌ「凍りつけ!オルレアンの氷花!」
ジャンヌがデュランダルを振るい青い光をブラド目掛けて放ちその身体を氷で包み込む。
理子「ここまでお膳立てしてやったんだ。キッチリ決めろよ。剣護!」
剣護「あぁ……任せろ!」
剣護は右足をバチバチと激しくスパークさせながら力強くヘリポートの床を砕く勢いで踏み込んで飛び上がった。
剣護「これで全部……フィニッシュだ!」
ある程度の高さまで飛ぶと飛び蹴りの体勢でブラド目掛けて突っ込む。
ブラド「つ、月島アアアアア!!!」
その姿はまるで流星の如し。
剣護「流星烈光弾!!!!!!」
青白い流星の如く放たれた飛び蹴りはブラドの胸の中央を打ち抜く。
ブラド「グ…ガアアアアア!!!?」
剣護「おおおおおおおおおおお!!!!」
それだけに留まらずヘリポートの床を破壊し突き抜け、ブラドをランドマークタワーの屋上から地上まで叩き落とした。