第33話 波乱、再び
剣護があかりとライカから告白され付き合い始めてから1週間が経った。2人も無事に退院し元気に登校してきている。
そして今日も………
剣護「最近平和だねぇ……」
キンジ「お前はな。俺はアリアの相手で大変だよ……」
剣護「へー………」
キンジ「……ていうかお前、あの2人と付き合い始めてからなんか気が抜けてないか?」
剣護「あー……かもしんない」
キンジ「ちゃんと自覚してるあたりお前を尊敬するわ…」
剣護「なははは……ん?」
ふと剣護は足を止めた。キンジも足を止めて視線の方向を見ると校門の前に志乃が立っておりこちらに気づくと歩いてきた。
キンジ「あいつは…間宮達と一緒にいるやつか」
剣護「こんなとこでどうしたよ?志乃さんよ」
志乃「……あなたにお礼を言いに来ました」
剣護「お礼?なんかしたか?俺」
志乃「この刀…送ったのは先輩でしょう?」
そう言って志乃は白銀椿を取り出し剣護に見せる。
剣護「………ハテナンノコトヤラ」
キンジ「……お前嘘下手だな」
剣護「やかましいわ。まあ、確かに
志乃「でもだからといってあかりちゃんとの関係は認めませんけどね」
剣護「んなもんわかってら。で?どうだった?実際に振ってみて」
志乃「とても扱いやすかったです。軽いけど軽すぎない程ちょうどいい重さで、まるで燕みたいな速さで振れますし、刀自体もとても綺麗で………ハッ!」
キンジ「あ、あはは……」
剣護「気に入ってもらえてなによりだな」
志乃「…わあああああああああ!!!?」
夢中になって話す志乃はふと我に帰るとキンジは苦笑いを浮かべ、剣護はニコニコしながら志乃を見ていた。すると志乃の顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていき猛烈な勢いで走り去っていってしまった。
キンジ「………どうすんだあれ」
剣護「知らんな」
剣護「ういー、おはよー」
武藤「剣護てめえええええええ‼︎」
剣護「あぶね!」
教室に入ると急に武藤が剣護に襲いかかってきたが、剣護はアッサリと躱して自分の席に着く。
キンジ「朝から騒がしいな武藤」
剣護「ギャーギャーやかましいんだよ。発情期ですかコノヤロー」
武藤「うるせー!裏切り者!」
キンジ「どういうことだよ」
武藤「だってよぉ!キンジは神崎さんと星伽さんと一緒に住んでるだろ!剣護は1年の子2人と付き合ってるじゃねえか!」
キンジ「いや、アリアと白雪以外に剣護と怜二もいるんだが」
剣護「あ、そのことなんだけどさ。俺、隣の部屋に引っ越すから」
キンジ「あ?なんでだよ」
剣護「いやなんでって……同棲するからだけど?」
武藤「なん……だと………剣護てめええええ‼︎」
剣護「うるせえなぁ……」
武藤「この野郎次から次へと爆弾落としてきやがって!轢いてやる‼︎」
剣護「うるせええええええええ!!!!」
とうとう我慢の限界だったのか剣護はブチ切れると武藤の腹にボディブローを打ち込んでから顔面に膝蹴りを叩き込むと、右手刀を振り上げると全力で振り下ろした。
剣護「
武藤「うわらば⁉︎」
振り下ろした手刀は見事武藤の脳天に直撃しそのまま床に叩きつけ轟沈させた。
アリア「そ、そこまでする?」
不知火「こりゃ完全に伸びてるね」
キンジ「こいつのキレ具合はまだまだこんなもんじゃないがな」
怜二「グレートですよ、こいつぁ…!」
周りがドン引きする中、剣護はスッキリしたかのような清々しい笑顔で席に着くのだった。
〜放課後〜
強襲科生「死ねえええええ‼︎」
剣護「あらよっ」
強襲科生「うわあああああああああ……」
放課後に強襲科の連中が襲撃してくるもこれを屋外に投げ落とし
諜報科生「………シッ!」
剣護「ドラァ‼︎」
諜報科生「ひどぅぶ⁉︎」
諜報科の暗殺を返り討ちにしたり
車輌科生「くたばれええええええええ‼︎」
剣護「ふん‼︎」
車輌科生「えちょ、タイヤがぎゃああああああああ⁉︎」
轢こうとしてくる車輌科の車のタイヤを斬って横転させたりして襲撃を難なく退けていく。
アリア「……あいつ恋人できてからすごい調子良くない?」
怜二「愛の力ってやつなのかなぁ……」
キンジ「……人って変わるんだな…」
不知火「でも最近、火野さんや間宮さんかなり人気になってるから狙われることも多くなるかもね」
アリア「そうなの?」
不知火「この1週間であの2人も随分変わったって聞くからね」
アリア「ふぅん………」
アリア(…良いなぁ………)
不知火の話を聞いてアリアはちょっぴりあの3人が羨ましいと思ったのだった。
あの後、剣護は寮に戻ると隣の部屋を整理していた。
もちろん引っ越しのためである。住んでいた部屋から自分の荷物を運び出していた。
剣護「ふぃー………多いなぁ」
ライカ「手伝いますよ。先輩」
剣護「ん?あぁ、サンキュー理子」
ライカ「これくらいなんてことないで…ってアタシはライカですよ?」
剣護「ハハッ☆面白い冗談だね☆」
ライカ「いやあのそのミッ○ーボイスはヤバいですって…」
剣護「まあまあとりあえずそれ運んでくれや。その後で話を聞こう」
ライカ「はーい…「かかったなアホゥが‼︎」ファッ⁉︎」
剣護「お前は今何も言い返さなかった…つまり!お前が理子ということに肯定したも同然!」
ライカ「し、しまったぁー‼︎アタシとしたことが痛恨のミスを‼︎」
剣護「さあ………観念しろぃ!」
ライカ「うぅ………」
そう言ってライカ……いや、理子はウィッグを外すと長い金髪を振るってマスクを外した。
理子「いやー……なんでこうも簡単にバレるかなぁ」
剣護「お前身長小さいし、あまり言いたかないが胸のサイズがちょっと違うし」
理子「ツッキーのへんたーい」
剣護「うっせーバーロー。とっとと運べぃ」
理子「ほいほーい。りこりんにお任せなのだー!」
そうしてちゃっちゃと荷物を運び込んで整理してから、お互いソファーに座ると話を始めた。
剣護「んで?何用で?」
理子「もー久しぶりに会ったのにツッキーはつれないなー。もっとイチャイチャしよーよ」
剣護「ナイフや銃で殺されかけたやつに?」
理子「それ言うならアタシはお前に腹ぶん殴られたんだが?」
剣護「ハッハッハ!何言ってだこいつ」
理子「は?」
剣護「あ?」
剣・理『………………………………………』
お互いバチバチとメンチを切り合い、やがてお互いの額をグリグリと押し付け始める。
剣護「……なんだぁ…?おっ始めようってかぁ?」
理子「アタシはそれでも構わねえぞぉ?」
剣護「ハッハッハ。おっかねえ奴だ」
理子「くふふふ。ツッキー程じゃないよー」
剣護「ははははははははは!」
理子「ふふふふふふふふふ!」
剣・理『オラァ‼︎』
笑い合いから一転、次の瞬間お互いに拳を繰り出しお互いの頬を掠めた。剣護と理子は距離を取ると構えた。
剣護「ここらで決着つけてやんよぉ‼︎」
理子「上等だぁ‼︎」
そう言うと理子は距離を詰めると掌底を放ち、剣護はこれを左手で受け流し右拳を顔面に叩き込む。
理子「ぐぉ……」
剣護「オラァ!」
理子「ちぇい!」
剣護「ぬぉ……」
追撃の肘打ちを打ち込もうとした瞬間に理子は逆の手で掌底を打ち込んで離れる。
剣護「中国拳法か……そういや使ってたな」
理子「イ・ウーの知り合いに教えてもらったんだよ」
剣護「ならこっちだって拳技で対抗してやるぜ…」
理子「そうはいかない…よっ!」
剣護「ドラァ‼︎」
理子「あがっ⁉︎」
駆け出そうとした理子の足、正確には弁慶の泣き所を剣護は思い切り蹴り飛ばした。
剣護「月島流拳技、弁慶崩し‼︎」
理子「いっだああああああああああ⁉︎」
あまりの痛さに理子は足を抱え床を転げ回る。
理子「ぐおおお……な、なんちゅー技持ってるのさ…」
剣護「我ながらいい技を思いついたもんだ」
理子「こんのぉ……とりゃ!」
剣護「うおぉ⁉︎いででででで!」
理子は足を絡ませて剣護を転ばせると腕を折らんとばかりに十字固めを決めた。
理子「くふふ…この前のお返しだ!」
剣護「いやあの理子さんや」
理子「なぁーにぃー?くふふ」
剣護「俺の腕が2つの柔らかな何かに挟まれて…いてぇ⁉︎おま、何すんだ‼︎」
理子「変態!変態!変態!馬鹿! 変態‼︎」
剣護「やってんのお前だろが!痛っ!こら蹴るな!」
言われて恥ずかしくなったのか理子は固めながらゲシゲシと蹴ってくる。
理子「そーゆーのは思っても言うことじゃないよ‼︎」
剣護「ならやるな!」
理子「ふんっ‼︎」
剣護「ぬがっ!」
十字固めを外すと同時に両足で蹴り飛ばすと理子は距離を取ってからコメカミ目掛けてハイキックを放つが簡単に防がれる。
剣護「あっぶねーな、このやろー…」
理子「クフフ」
剣護「月島流拳技、百華乱撃!!!!」
理子「ちょ、がはぁ!?っ……ウラァ!!!」
剣護「は?がっ!」
剣護は高速の連撃を叩き込むが、理子はそれを受けつつも前蹴りで剣護を吹っ飛ばした。
理子「ぐ、がふっ……くふふ…」
剣護「げほっ………へへへ…」
理子「なんか…楽しいな…剣護?」
剣護「あぁ……ハイジャックん時はこんなこと思わなかったがな」
理子「それじゃあ……」
剣護「本気出すかねぇ‼︎」
理子はワルサーP99を構え、剣護も十六夜ともう一振り刀を構える。
理子「フッ!」
剣護「シャオラァ‼︎」
理子は横に飛びながらワルサーを撃ち、剣護はそれを全て斬り落とす。さらに理子は接近して
剣護「ぬぐぐぐ……」
理子「ぐっ……くくっ……」
剣護「らぁ!!!!」
理子「くっ!」
迫合いに勝ったのは剣護だった。弾かれた理子は距離を取りワルサーを構えるが、既に剣護は距離を詰めていた。
理子「嘘っ⁉︎」
剣護「月島流!富嶽慈愛斬り!!!」
理子「きゃっ!」
目にも止まらぬ速さで振るわれる二刀に思わず理子は目を瞑るが少しして目を開けるとどこにも傷は無かった。
理子「………あれ?」
剣護「……………」
そして次の瞬間、スパパパパンッと理子のワルサーがバラバラになって床に落ちた。
理子「……くふふふ。あーあ、ダメだこりゃ」
剣護「へっ。俺の勝ちだな」
理子「はいはい。参りましたよっと」
剣護「あー、やっとスッキリしたぜ」
アリア「剣護ー?引っ越しは終わってるのー?」
あかり「せんぱーい!お手伝いに来ましたー!」
剣護「あ、アリア達か」
理子「お、ちょうど良いや。アリア達にも話があるんだ」
アリア「入るわよー?……って理子ぉ⁉︎」
キンジ「は?理子?」
理子「やっほーアリアにキーくん」
アリア「なんであんたがここにいるのよ!」
キンジ「ていうかお前らなんでボロボロなんだよ」
剣護「さっきまで殴り合ってた」
アリア「そんなことはどうでもいいわ!理子・峰・リュパン4世!あんたを逮捕よ!」
そう言うとアリアはガバメントを引き抜くと理子に向けて発砲したが、理子はそれを簡単に躱してしまう。
理子「んん?」
しかし、着地した時理子は制服に違和感を感じた。
すると次の瞬間、理子の防刃のはずの武偵高の制服が
パラリとバラバラになって弾けた………
理子「…キャアアアアアアアアアア⁉︎」
アリア「ふぇ⁉︎」
キンジ「はっ⁉︎」
あかり「はわわわわわ……」
ライカ「……ふ、服が全部…」
アリア「見ちゃダメよキンジ‼︎」
キンジ「えちょぐわああああ⁉︎目があああああ⁉︎」
剣護「え…銃だけ斬ったつもりだったんだg」
理子「見るなああああああああ!!!!!」
剣護「ちょま、アッガイ⁉︎」
アリア「あ、あかり!何か着る物持ってきて!」
あかり「あ、は、はい!」
理子「もぉー!なんでこうなるのさぁー‼︎」
キンジはアリアに目を潰され、剣護は理子に顔パンされて悶絶、ライカは顔を真っ赤にしてフリーズ、アリアとあかりはあたふたと部屋を駆け回るカオスな状況の中、理子の悲痛な叫びが響くのだった。