オタク剣士が武偵校で剣技を舞う!   作:ALEX改

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番外編
番外編1 気づかされた思い


 

 

 

休日の午前10時、武偵校の強襲科の体育館でキンジ、剣護、武藤の3人はジャージで集まっていた。

 

剣護「珍しいじゃん。キンジから特訓を誘ってくるなんて」

武藤「しかも俺まで誘われるとはな。明日槍でも降るんじゃね?」

キンジ「うっせ。最近何かと強敵相手にすることが多いからな。銃とナイフだけだと厳しくなってきたし……だから対抗手段を増やしとこうと思って」

剣護「それでそこそこできる体術に白羽の矢が立ったと」

武藤「そんで俺も呼ばれた訳ね」

キンジ「まあそんなとこだ」

剣護「んで?それなりの技は何か考えてんの?」

キンジ「もちろん考えてあるさ。あとは実際にやって試すだけだ」

武藤「え、俺らサンドバッグ?」

剣護「やだ、しかもぶっつけで?」

キンジ「一応こっそり1人で練習してるから大丈夫だろ。お前ら頑丈だし」

武藤「当たりどころ悪かったら轢くからな!」

キンジ「はいはい。とっととやるぞ」

 

剣護「にしてもなーんか忘れてる気がするんだよなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志乃「果たし状出したのに先輩来ないんですけど……」

麗「これ忘れられてない?」

麒麟「こっちから行った方が早いかもですの」

志乃「……もう少し待って来なかったら行きましょうか」

 

 

この後30分程待っていたがマジで来なかったので、3人は剣護を探しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キンジ「……なあ、今更なんだけどさ」

剣護「あん?」

キンジ「お前果たし状の件はどうした?」

剣護「………え?」

 

組手をしている最中、キンジの言葉に思わず固まる剣護。

 

剣護「果たし……状?」

武藤「え、おい剣護、お前まさか……」

剣護「そ、そそそそのようなことがあろうはずがございません」

キンジ「忘れてたなお前」

 

呆れたようにジト目で見てくるキンジに、目を逸らして口笛を吹いて誤魔化す剣護。

 

麗「あ、ここにいた!」

麒麟「見つけましたの!」

 

するとそこへ志乃達が現れ、剣護の方に詰め寄る。

 

志乃「先輩!なんで来ないんですか!?」

剣護「あー……いやー…そのー……」

キンジ「忘れてたらしい」

麗「当たってた……」

武藤「てか何で果たし状?」

剣護「一体俺が何をしたというのだ」

志乃「月島先輩にはもう我慢できません。ここで……成敗します!」

麒麟「ライカお姉様は渡しませんの!」

剣護「いやだからどういうことだってばよ……」

 

訳がわからずゲンナリと項垂れる剣護に麗が溜め息をついて言い放つ。

 

麗「わからないかしら?」

剣護「割とマジでわかんねえ……」

麗「仕方ないわね……間宮あかりと火野ライカは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたのことが好きなのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

剣護「…………………………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、あかりとライカは乾桜と一緒にショッピングに来ており、今は海浜公園のベンチに座ってリーフパイを食べていた。

 

桜「い、良いんですか?私も一緒で……」

あかり「全然大丈夫だよ!人数は多い方が楽しいし」

ライカ「それにしても志乃と麒麟の用事ってなんだろな。まあ良いけど」

 

 

 

 

しかし、その海浜公園から近くのビルの屋上から3人の様子を監視する者がいた。

 

???「HQ、HQ。こちらコードA。目標を発見した」

???『こちらHQ。了解した。別動隊を向かわせる。お前は見張っててくれ、必要があれば撃っても構わん。あとなんでメタギア風なんだよ?』

???「やってみたかったんだよ。よくあるだろ?」

???『わからんこともないがな。それじゃ任せたぞ』

???「OK」

 

 

 

 

 

ライカ「む?なんだあれ?」

 

黒いバンが公園の近くに止まり、黒いスーツやパーカーなどを着た男達が出て来てこちらに向かってくるのを3人は不審に思い警戒する。

 

黒服a「お嬢さん達、ちょっと良いかな?」

桜「な、なんですかあなた達は!」

黒服b「ちょっと俺達と一緒に来てもらおうか」

あかり「だが」

ライカ「断る」

黒服c「なにっ!?」

ライカ「ハァッ!」

 

ライカは目の前のパーカーを着た男めがけてハイキックを繰り出すが男は避けもせずガードしてそのまま足を掴む。

 

ライカ「なっ……」

黒服c「CQCが得意なようだが……俺達もそんなヤワじゃねえぜ!」

ライカ「あぐっ……!」

 

男は足を掴んだまま背負い投げの要領で地面に叩きつける。

 

あかり「ライカッ!」

黒服a「余所見してる場合かい?」

あかり「っぐぁ!」

 

あかりの相手は黒スーツの男。繰り出される回し蹴りをガードするも体格差があり吹っ飛ばされてしまう。

あかりはそのまま距離を取り、月島流拳技の構えを取る。

 

あかり「月島流拳技……蓮華掌!」

黒服a「なかなかいい技だ。だが…」

あかり「っ!ガハッ……」

黒服a「避けるのは簡単なんだな」

 

男は正面に繰り出された掌底を避けるとカウンターで背中に左回し蹴りを決める。さらにそのままローリングソバットを繰り出した。

 

黒服a「せえあっ!」

あかり「ッッッ……!ゴ、ゴホッ……」

 

回し蹴りを受けガードもできず、あかりはもろにソバットを受けて血を吐きながら吹っ飛ばされ、そのまま気絶する。

 

桜「あ……あ……せ、先輩……」

黒服b「悪いな。ちと寝ててくれや」

桜「っ!あぅ…………」

 

2人がやられるのをただ見ているしかできなかった桜は背後からスタンガンを当てられ気絶した。

 

ライカ「あかり!桜!……くっ!」

 

叩きつけられた体勢からすぐに立つとライカは背中に隠し持っていたトンファーを構える。

 

黒服c「チッ。面倒だな…………やれ」

 

パーカーの男は手を上げ振り下ろした。

 

 

 

 

タァーーーン…………

 

 

 

 

ライカ「っぐぅ!?」

 

銃声が聞こえた瞬間、ライカの脇腹から鮮血が噴き出した。

遠くから狙撃されたのである。

 

ライカ「っ……ぁ……」

黒服a「よし、回収しろ。金髪の女は手当てしておけ」

黒服c「なあ、この子を見てくれ。こいつをどう思う?」

黒服b「すごく……大きいです……」

黒服a「バカやってんじゃないよ!確かに大きいけども!」

 

あーだこーだと言い合いながらも男達はあかり達をバンに乗せるとすぐに海浜公園から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣護(あかりとライカが俺のことを……?ダメだ……整理が……)

 

麗に言われたことを頭から蒸気を噴き上げながら理解しようとする剣護。

 

キンジ「なるほどなぁ……」

武藤「剣護お前……1年2人からとか羨ましいぞ!」

剣護「えーと…えーと……つ、つまり…?」

麗「つまり2人から好意を向けられてる先輩が妬ましくて決闘を申し込んだのよ」

キンジ「アリアと戦姉妹組んだばっかの時の間宮みたいなもんか」

剣護「ハァ?」

キンジ「おい、ち○かわのうさぎになるな」

志乃「ともかく!月島先輩に決闘を申し込みます!」

麒麟「ですの!」

剣護「えぇ……俺まだ整理できてな……」

 

その時、その場にいた全員の携帯から着信音が鳴る。

 

志乃「え?」

キンジ「なんだ?」

 

携帯のメールを確認するとケースF3BO2と出ていた。

 

武藤「おい、これって……」

キンジ「誘拐、監禁の事件が発生したってことか……」

剣護「誘拐されたのはうちの生徒か……」

麗「1年生2人とインターンが1人……ねぇ、これって…」

 

すると今度はキンジの携帯から着信音が鳴り、連絡先を見るとアリアからだった。

 

キンジ「アリアか?」

アリア『キンジ!今どこ?』

キンジ「強襲科の体育館だ。剣護と武藤も一緒にいる」

アリア『メールは見たわね?今すぐ装備を整えて2人と一緒に車輌科の車庫の前に来なさい』

キンジ「わかった。すぐ向かう」

 

通話を切ると剣護と武藤に車輌科の方に集まることを伝える。

 

武藤「よっしゃ!俺は先に行って車用意してくる」

キンジ「頼んだ。俺達もすぐ行く」

剣護「そういや今日はあかりとライカはどうした?」

志乃「たしか桜さんと3人で出かけるって……」

剣護「………あかりとライカと桜…気のせいだと良いけどまさかな…」

キンジ「ちょうど1年2人とインターン1人だな…」

剣護「おい急ぐぞキンジ。ヤな予感がする」

志乃「わ、私達も行きます!」

 

嫌な予感が過り、焦った様子で剣護達は車輌科の方へと急ぐ。

その予感が的中しているとは知らずに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライカ「う…………ん…………ここは……?」

 

ライカが目を覚ますとそこは見知らぬ部屋だった。周りを見回すと近くにあかりと桜が倒れていた。自分の体を見ると手を縄でしばられており、撃たれた部分は包帯が巻かれていた。

 

ライカ「あかり、桜、起きろ」

あかり「んん……ここは……っつう……」

桜「ううん……ん……はっ!?ど、どこなんですか!?」

ライカ「わからない……どこかの廃工場みたいだ」

 

???「そこに誰かいるの?」

 

ライ・あか・桜「!!」

 

声がして、3人は振り向くとそこには金髪で青いワンピースのような服にケープを羽織った女性がいた。

 

???「もしかしてあなた達も捕まったの?」

あかり「は、はい。あなたは……誰なんですか?」

アリス「私はアリス。アリス・マーガトロイドよ」

桜「アリスさんですか。あなた達もということは……」

アリス「えぇ、私もあいつらに拉致されたのよ」

ライカ「なんであいつらはアリスさんを……」

アリス「……おそらく私が魔法を使うからかしらね」

あかり「魔法……?超能力(ステルス)ですか?」

アリス「ステルス?よくわからないけど……私は魔法使いなの」

桜「は、はぁ……」

アリス「それよりもまずはここから脱出しないと」

ライカ「でも携帯や武器は取られてるし、その前に縄を解かないと……」

アリス「そこは任せて。上海!蓬莱!」

 

アリスがそう呼ぶとフワリとアリスの後ろから二体の人形が現れ、それぞれ槍や剣を使ってあかり達の縄を切っていく。

 

ライカ「ホワァァァ……!こ、この子達は?」

アリス「上海と蓬莱。私の作った人形よ」

あかり「て、手作りなんですか!?」

アリス「えぇ。私は魔法使いであり人形師でもあるのよ」

桜「へぇ〜……すごい……」

アリス「そういえばあなた達の名前を聞いてなかったわね」

あかり「あ!あたし間宮あかりと言います!」

桜「乾桜です!」

ライカ「……はっ!ひ、火野ライカ……です」

アリス「なるほどね……それじゃあ早くここから出ましょうか」

あか・ライ・桜「はい!」

 

お互いに少し親睦を深めたところで4人は脱出するべく行動を開始するのだった。後にこの出会いが様々な事件や異変に絡んでくるとは知らずに。

 

 

 

 

 


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