オタク剣士が武偵校で剣技を舞う!   作:ALEX改

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第26話 巫女占いと転校生

 

 

 

白雪のボディーガードの依頼を受けた翌日。早速、白雪は武藤にトラックで荷物を運んでもらい引っ越してきた。

 

白雪「ふ、ふつつか者ですが、よろしくお願いしますっ!」

キンジ「あのなー……なにテンパってんだ、今さら」

白雪「あ……き、キンちゃんのお部屋に住むって思ったら、緊張しちゃって……」

剣護「こないだ日本刀で人斬りかけたくせによく言うわ」

白雪「うっ……あ、お引っ越しついでにお掃除もするね!そもそも散らかしちゃったの、私だし……粗大ゴミも処分しなくちゃね。ふふっ」

剣護「そーだなー。粗大ゴミ、二つも処分しなくちゃならねえから大変だぁ」

白雪「……二つ?一つじゃなくて?」

剣護「そーだよ、粗大ゴミ1号」

白雪「粗大ゴミ1号!?私が!?」

剣護「そーだよ……文句あっか!」

白雪「むしろ文句しか無いような……」

剣護「知らんな。さてタンスを運ばねば」

 

そう言ったところで剣護の携帯が鳴った。電話の相手はどうやら剣護の知り合いらしくいつもの話し方で話している。

 

剣護「ん、じゃあ今から取りに行きますね。はい、はーい」

アリア「誰なの?」

剣護「悪いアリア。今から荷物取りに行ってくる」

アリア「ちょっと護衛は?」

剣護「監視用のメカでも置いて行くよ」

アリア「なら良いわ」

剣護「そんじゃあよろしく」

 

そう言って剣護は部屋を出て行った。そしてしばらくしてキンジも部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋から出たのは良いものの、別に行くところもなかったので、キンジはファミレス『ロキシー』で時間を潰すことにした。

しばらくアドシアードの閉会式でやるアル=カタの曲を聞いていると剣護とアリアがやってきた。

 

アリア「こぉーらぁー!なにサボってんの、キンジっ!」

キンジ「これはその……事情があったんだよ。お前らこそ出てきやがって」

アリア「あたしは買い物のついでに脱走兵狩りにきたのよ。正当な理由があるわ」

剣護「俺は注文してた武偵弾の受け取りだ」

キンジ「そ、そうか。てか脱走兵って。ていうかボディーガードはどうしたんだよ」

剣護「メカ置いてる」

アリア「見張りはレキに任せてるわ」

アリア「レキ?」

アリア「あたしが頼んだの。遠隔から部屋を守らせてる。とはいえパート・タイムだけどね」

剣護「あいつ狙撃科の日本代表でアドシアードに出るからいろいろ忙しいんだと。まあ、狙撃手は本来ボディーガード向けじゃないしな」

アリア「そっ。だから基本あたしとあんたたちがしっかり白雪を守らなきゃダメなんだからね?」

キンジ「わ、わかってるよ。それに……誰も白雪なんか狙ってないだろうからな。誰でも好きに雇えよ」

剣護「その考えを捨てることを強く勧めるぜ。キンジ」

アリア「マジメにやりなさいキンジ。これは正式な任務なのよ」

キンジ「ていうかなぁ。なんでお前、急に白雪のボディーガードをやるなんて言い出したんだよ」

 

キンジの問いにアリアは左右の目をパチパチとウィンクさせ始めた。

マバタキ信号。武偵同士が人に聞かれたらマズい情報を伝達する際に使う、信号である。

 

デュランダル ノ トウチョウ キケン

 

キンジがそれを解読すると、アリアがこいこいと手招きする。キンジがテーブルに身を乗り出すとアリアはキンジに耳打ちした。

 

アリア「魔剣はあたしのママに冤罪を着せてる敵の1人なのよ。この間の朝練で話した剣の名手ってのが多分それなの。迎撃できればママの刑が残り635年まで減らせるし、うまくすれば高裁への差戻審も勝ち取れるかもしれない」

キンジ「なるほど……」

 

そう言ったところでキンジの携帯が鳴った。キンジが引っ張り出して見ると相手は白雪だった。剣護はすぐさまアリアの口を塞ぎ取り押さえた。

 

キンジ「そうか。あぁ、すぐ帰るよ」

剣護「……あ、終わった?」

キンジ「あぁ、助かったよ」

剣護「面倒なのはごめんだからな。アリアももう少し空気読んでくれたら良いのになー」

アリア「むー……」

 

 

 

 

 

 

そして3人が部屋に戻るとテーブルには中華料理の皿がズラリと並んでいた。

 

白雪「た、食べて食べて。ぜんぶキンちゃんのために作ったんだよ」

剣護「では、この世の全ての食材に感謝を込めて……」

キンジ「どこの美食屋だよ……いただきます」

白雪「ど、どう?お……おいしい?ですか?」

キンジ「…………うん。うまいよ。白雪も食べろよ。なんで俺の世話ばっかり焼くんだ」

白雪「そ、それは……キンちゃんだから、です」

キンジ「答えになってないだろ」

剣護「ボウヤだからさ」

キンジ「わけがわからん」

アリア「で?なんであたしの席には食器がないのかしら?」

白雪「アリアはこれ」

 

そう言うと白雪はアリアの前に丼を置いた。丼には盛った白飯と割ってない割り箸が突き立っていた。

 

アリア「なんでよ!」

白雪「文句があるなら、ボディーガードは解任します」

剣護「徹甲弾どこにしまったっけな〜」

アリ・白『ごめんなさい』

剣護「そういやワカちゃんに炸裂弾貰ったっけな」

アリ・白『誠に申し訳ありません』

 

ゴソゴソとM500を抜き引き出しから徹甲弾を引っ張り出す剣護に2人は流れるように土下座をする。キンジはその様子を無視してカニチャーハンを頬張るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣護が食器を洗い終えてから、コーヒーを淹れてリビングに戻ると白雪が声をかけてきた。

 

白雪「あ、剣ちゃんもやる?巫女占札」

剣護「占いか……キンジとアリアもやったのか?」

白雪「うん。キンちゃんは……黒髪の女の子と結婚します。なんちゃって」

剣護「…………」

白雪「やめて!?そんな哀れむような目で見ないでぇ!?」

剣護「……アリアは」

アリア「……総運、ろくでもないの一言につきる。だって」

剣護「……………………はぁ」

剣護「その溜息は何!?あとそのゴミを見るような目をしないで!?」

剣護「………………」

白雪「チベットスナギツネみたいな目で見ないで!?」

剣護「普段の行いだ。だがそんなことはどうでも良い。俺もやってもらうかな」

白雪「うぅぅ……わかった……」

 

白雪は手順通りにカードを引き、それを星形に伏せて並べて何枚か表に返していく。

 

白雪「…………え?」

 

すると白雪は驚愕の表情を浮かべると、さらにカードをめくる。すると驚愕の表情から険しい表情へと変わっていった。

 

剣護「どうしたよ」

白雪「え、あ……えっと、多少怪我はするけど問題なく過ごせますって」

剣護「ふーん……まあ多少の怪我は仕方ないか」

キンジ「剣護だからな」

アリア「剣護だからね」

剣護「お前らヌッコロスぞ」

 

その後、キンジとアリアが寝静まった頃、剣護はベランダで夜風に吹かれていた。すると白雪が隣にやってきた。

 

白雪「あの……剣ちゃん」

剣護「……占いのことだろ?」

白雪「!……わかってたんだ」

剣護「そりゃ、あんな顔すればな」

白雪「……やっぱり剣ちゃんは人の心を読むのが得意だね」

剣護「心を読むんじゃない。雰囲気の流れを読んでんのさ」

白雪「そうなんだ……でもスゴイよ。流れを読むなんて」

剣護「……話しなよ。占いのこと」

白雪「うん、わかった。話すね。まず結果は二つ出たの」

剣護「二つ?」

白雪「うん。まず一つ目はこれから先、いつかはわからないけど……1発の紅き銃弾に撃ち抜かれて……死にます」

剣護「…………なるほどね。で?二つ目は?」

白雪「……その前に一つ聞いて良い?剣ちゃん……私たちに何か隠してない?」

剣護「ッ……!」

 

ここで剣護の反応が変わった。ギクリと自分の秘密がバレたような反応だった。しかし、剣護はギリギリそれを顔には出さず心の中に留めた。

 

剣護「……いや、そんなことはないと思うが……二つ目はなんだったんだ?」

白雪「……近いうちに体の中に宿りしものが覚醒するって……」

剣護「ふ、ふーん……」

白雪「まあ、剣ちゃんがそう言うならこの結果はハズレかな。ごめんね。こんな夜中に」

剣護「い、いや……夜風に吹かれてただけだし良いよ」

白雪「そっか……それじゃあ、おやすみ」

剣護「あぁ、おやすみ」

 

白雪が部屋の中に入っていくのを確認すると剣護は大きく息を吐いた。実は剣護には心当たりがあった。というかありまくった。

白雪が聞いた通り、剣護は体の中にあるものを宿しているのだ。それも度々剣護の感情に反応してその力がちょっとだけ漏れていたのである。

 

剣護「あぶね〜……バレたかと思った……こいつはまだ隠しとかないとだから気をつけねえと」

 

剣護は部屋に戻ると白雪の占いのことについて考えながら、布団の中に潜るのだった。

 

 

 

 

 

 

高天原「今日は始めに転校生を紹介しますよ〜」

 

翌日のHR、先生の転校生という言葉にほとんどがオォ!といった感じの中、キンジとアリアは特に興味無さそうに、剣護はボケ〜っとしていた。

 

高天原「それでは入ってきてくださーい」

???「はーい」

剣護「……ん?」

 

先生が手招きして、返ってきた返事の声に剣護は違和感を感じた。というよりも聞き覚えのある声なのだ。アリアも剣護と同じ反応をして顔を見合わせ「まさか……」と思った時、その生徒が教室に入ってきた。

 

怜二「柳生怜二です。よろしくお願いします!」

 

 

バァンッ!!

 

入ってきた生徒はなんと剣護の幼馴染である、柳生怜二だったのである。そして怜二の挨拶終了から0.2秒、剣護は自分の席から飛び出し、飛び後ろ蹴りを繰り出した。

 

剣護「怜二ぃぃいぃぃ!!」

怜二「危なっ!?」

 

怜二は間一髪で避けて、剣護の蹴りは後ろの黒板にめり込んだ。

 

剣護「なんでお前がいるんだ怜二!」

怜二「と、とりあえず落ち着こうよ!まだ慌てるような時間じゃないから!」

剣護「ヌゥー……良かろう後でインタビューする」

高天原「それでは柳生君。好きな席に座ってくださいね」

怜二「アッハイ」

高天原「月島君も自分の席に戻ってください」

剣護「アッハイ」

 

とりあえず全員が思ったことは剣護と怜二の関係よりも、先生の適応力がハンパねえということだった。

 

 

 

 

 


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