オタク剣士が武偵校で剣技を舞う!   作:ALEX改

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これからも気合い!入れて!逝きます!



第21話 奥義炸裂!

 

 

 

レインボーブリッジの台場出入口ではあかりと志乃が夾竹桃の反応を追ってきていた。そこで2人は風魔とライカの情報を参考に作戦を立てていた。

 

志乃「やはり夾竹桃の爪には劇毒が仕込んであるそうです。距離を置いて戦うように……との事でした」

あかり「……距離を……でも銃は……」

志乃「あかりさん。私も銃は苦手なので『飛燕返し』という技を使います」

あかり「飛燕……?」

志乃「数mの距離を一瞬で詰める足業……」

 

刀を腰だめに構えた志乃は体勢を低くして、バッ!と8m程の距離を一呼吸で移動し、シュバッ!と虚空を切り裂いた。

 

志乃「そこからの居合斬りです。物干し竿なら、敵の毒手は届きません」

あかり「……うん!」

志乃「私は格子床の下から強襲しますので、あかりさんは会話などで、敵の注意を引き付けてください」

あかり「わかったよ。いざとなったら月島先輩から渡された銃使うし」

 

あかりと志乃はお互いに頷き合うと二手に分かれ夾竹桃の元へと向かった。

レインボーブリッジのど真ん中、そこに夾竹桃はいた。角を金色のプレートで補強した、大型トランクをベンチ代わりに腰掛けていた。

あかりはマイクロUZIを夾竹桃に向け叫ぶ。

 

あかり「……夾竹桃!」

夾竹桃「お礼を頂戴。こんな所に、決戦の舞台を作ってあげたんだから」

あかり「ふざけないで!ここは、あたしの思い出の場所なの。犯罪者にいてほしくない!」

夾竹桃「私は猛毒、あなたごときじゃ消毒できないわよ?」

あかり「…………」

 

あかりはマイクロUZIを構えたまま、下に潜む志乃の存在を夾竹桃に知らせないように話しかけ、注意を逸らす。

 

あかり「そのトランク……どこか高跳びするつもり?」

夾竹桃「これ?イ・ウーで、ココに押し売りされたのよ。私は非力だからいらないって言ったのに……まあでも、持ってきて良かったかもね」

 

そう言ってトランクの留め金を外すと、トランクが開き中に入っていたものが自動で組み上がっていく。そして姿を現したのは。

 

あかり(が、ガトリングガン!?)

 

6本の銃身を束ねたM134改だった。夾竹桃は銃口をあかりに向けトリガーを引く。キュウイィィィィンと音を立て銃身が回転していく。そして次の瞬間、バリバリと無数の弾丸があかり目掛けて飛んでくる。

 

志乃「あかりちゃんッ!!」

 

そんなあかりの前にグレーチングから志乃が飛び出し、物干し竿を構えてあかりの前に立ち無数の弾丸を受けた。バチバチと物干し竿を貫通して腕に、胸に、腰に、脚に弾丸が当たりあるいは掠めて血飛沫が舞った。志乃は驚愕するあかりの方へと仰け反り背中からぶつかった。

 

あかり「志乃ちゃん……?」

 

動かない志乃を見てあかりはオロオロと涙を滲ませながら志乃の顔を覗き込む。

 

あかり(夾竹桃ォ……っ!)

 

やがてその視線は夾竹桃に向けられる。心の中にドス黒いものが広がる。敵意が止まらない。怒りと憎悪の表情で俯くあかりの腕に志乃の手が触れる。

 

志乃「……あかり、ちゃん……」

あかり「志乃ちゃん!?」

志乃「ぶ、武偵憲章10条……諦めるな、武偵は決して、諦めるな……」

あかり「っ……!」

志乃「あかりちゃんは、武偵高での、あかりちゃんのまま……武偵であることを……あきらめないで……」

 

そう言うと志乃はガクッと力尽きてしまった。

 

あかり「志乃ちゃん……志乃ちゃん……?」

 

あかりは動かなくなった志乃を抱きしめ叫ぶ。

 

あかり「志乃ちゃあああん!!」

 

あかりの絶叫がレインボーブリッジにこだまする。

怒りが湧き上がるがあかりは深く深呼吸をして夾竹桃に向き直る。

 

あかり(先輩……力を貸してください!)

 

夾竹桃「投降する気になった……っていう目じゃないわね?」

 

夾竹桃の言葉に答えず、あかりは足を踏みしめ、膝を曲げて腰を下ろし、開手の右手は前に突き出し、同じく開いた左手は引いて首筋あたりに置き、両手の手首を限界まで捻る。2つの掌が天を向き、その十指は獲物を捕らえる鷹の足先のように曲げられる。

 

夾竹桃「なに、それ」

あかり「鷹捲(たかまくり)

 

少し眼を見開いて尋ねる夾竹桃に、あかりはその技の名を告げる。それを聞いて夾竹桃は一瞬驚くが、続けて喜びに目を細めた。

 

夾竹桃「そう。そうだったの。あなたも私と同じ毒手使いだったのね。灯台下暮らしだったわ。その手にあったとはね…!」

 

あかり(あたしの鷹捲は成功率が3分の1……失敗したら……)

 

あかりは経験上の中で鷹捲を3回に2回失敗させている。失敗すればあのガトリングガンで蜂の巣にされ死ぬだろう。

 

でも。

 

あかり(死んでもいい戦いだって……あるんだ!)

 

あかりは呼吸を整え、呼吸音を聞き、心臓の鼓動を聞き、自らの体内にその原動力を五感すべて使って探す。

一方で夾竹桃はまだ喋っていた。

 

夾竹桃「千本の矢をスリ抜け。一触れで死を打ち込む、死体に傷が残らない技、鷹捲……!中距離で使える毒手……あなたの、その手に塗ってるのね……!」

 

夾竹桃は鷹捲に興味を示し興奮して、その細い体をワクワク、ゾクゾクと震えさせている。その姿はもはや変態である。しかし、夾竹桃にとって自分の知らない毒を新しく知るという体験はそういう事なのだ。

 

夾竹桃「約束練習みたいだけど……千本の矢は、私がやってあげるわ!」

 

トリガーを引く指に力を入れた瞬間、あかりは地面を蹴り前に出た。

銃身が猛スピードで回転しながら、駆け寄るあかり目掛けて、大量の弾をバラ撒く。

しかし、あかりは怯まず襲いくる銃弾の方へ全力疾走し、その場で全身をスピンさせ頭からまっすぐ、地面と平行に飛んだ。体の正中線を軸に、ネジ回しのように回りながら左手を前方に突き出す。そうしてガトリングガンの弾幕の隙間をあかりがスリ抜け、獲物目掛けて飛びかかる鷹の如く夾竹桃の方へと迫る。

 

鷹捲とは、毒でもなく、矢弾をスリ抜けるためだけの技ではない。全身を回転させるジャイロ効果で体内のパルスを増幅・集約する技なので、正中線に集まった振動で万物を破壊する技である。

 

あかりの指先、その爪の先端がガトリングガンの先端に触れた瞬間、バチィィイィィィイイィィィ!!と余剰のパルスが静電気となって指先で弾けた。それと同時にガトリングガンがバリバリと先端の中心から崩壊していく。さらに振動は夾竹桃の手元から感電するように全身へと伝わっていき、夾竹桃の黒いセーラー服とスカートを四散させた。鷹捲の衝撃で倒れていく瞬間、あかりは接近する。夾竹桃は接近してくるあかりの右手を見て敗北を確信する。

 

あかり「はあぁぁぁぁ!!」

 

目の前には螺旋状のパルスと衝撃波を纏った拳が夾竹桃に迫っていた。

 

あかり「月島流拳技、螺旋巌砕拳!!」

 

あかりは怒りを込めて力の限り拳を夾竹桃の体に叩き込む。その時に技の反動で右腕の骨がメキメキと音を立てるが根性で耐え抜く。

 

ドパァァァアァァァンッ!!

 

あかりの渾身の一撃を食らって夾竹桃が海に落ちていく。あかりはすぐさま海へと飛び込んだ。志乃との約束を果たすために。暗い海へ潜り、海底へと沈んでいく夾竹桃を見つけると抱きかかえ、水上へと上がった。右腕の骨がズキズキと痛むがそんなことは気にしない。

弱々しい表情で、どうして自分を救ったのか理解できてない様子の夾竹桃の左手首にあかりはスカートの中に隠し持っていた手錠をかける。

 

あかり「逮捕!」

 

こうしてあかりは、最後まで武偵として、見事、夾竹桃を現行犯逮捕したのだった。

 

 

 


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