オタク剣士が武偵校で剣技を舞う!   作:ALEX改

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第13話 遊園地で誘拐事件!?

 

その日は、強襲科の徒手格闘訓練が行われ、ライカが男子をアキレス腱固めを極めたり、あかりがアリアに吹っ飛ばされてもケロッとしていたり、剣護が数人相手を床を殴った衝撃波で吹っ飛ばしたり、新たな技を編み出したりしていた。

そして、その日の放課後に剣護はアリアに呼び出され強襲科の屋上に行くと、そこにはアリアと狙撃科のレキがいた。

 

剣護「よう、アリア。何の用だ?」

アリア「えぇ、アンタにちょっと頼みたいことがあるのよ」

剣護「頼みたいこと?別に構わんが……内容は?」

アリア「今度の日曜にあかりたちがラクーン台場に行くの」

剣護「あぁ、お台場にあるあの遊園地か」

アリア「そう。アンタにはあかりたちに付いていて欲しいのよ。気づかれないように」

剣護「ふーむ……なるほど。わかった。引き受けるよ」

アリア「ありがと、チケット代はあたしが出すわ」

剣護「いーよ別に。自分で出すから」

アリア「それなら良いけど……まあとりあえずお願いね」

剣護「委細承知」

 

そして剣護がまた屋上から飛び降りるのを見てアリアは苦笑いをするのだった。

 

 

 

 

 

 

日曜日、アリアからの依頼通り剣護はラクーン台場に来ていた。その手にはチュロスやソフトクリーム、たこ焼きなどを抱えておりちょっとしたグルメツアーを楽しんでいた。

 

剣護「たまにはこういうのも良いかな。美味い美味い」

 

パクパクと依頼を忘れているかのように食べながらあかりたちの様子を見ていた。

一方で3人は剣護が付いて来ていることに気づかずに観覧車に乗っていた。観覧車の頂点を回った辺りでライカのスカートのポケットから洋楽のメロディーが、あかりの胸ポケットから電子音が、志乃のポケットからも携帯の振動音が聞こえた。

3人がメールを見ると事件発生のメールが来ていた。

 

ライカ「現場ここだぞ。ラクーン台場だ」

あかり「ケースF3Bは、誘拐・監禁されたって事で……O2って何だっけ」

志乃「『原則、2年以上が動け』です」

ライカ「『犯人は防弾装備』か。プロかもな」

志乃「近隣生徒の書き込みが……早い生徒でも、現場到着は20分かかるそうです」

ライカ「特殊捜査研究科はハニトラの専門科。拉致されたのは、騙し打ちぐらいしかできない生徒だ」

 

観覧車が一周を終え、3人は地上に降りると不安そうな表情で3人は顔を合わせる。

 

ライカ「どうする。動くか?」

志乃「……でも私たち、まだ入学式から半月しか経ってませんし……」

あかり「……行こう……!今、この子を助けられるのはあたしたちしかいない!」

 

志乃とライカにそう宣言したあかりは、2人と共に犯人がいるであろう場所へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

剣護「もしもし、アリア?さっきのメール見たか?」

アリア『えぇ、見たわ。アンタ以外で近隣にいる武偵だと20分はかかるそうよ』

剣護「さっき、あかりたちの会話を聞いたんだが……あいつらインターンの子を助けるつもりらしいぞ」

アリア『えぇっ!?ああもう……仕方ないわね。剣護!すぐに向かって!』

剣護「了解した」

 

電話を切ると剣護もあかりたちに気づかれないようにホテルに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

ホテルに着いたあかりたちは二手に分かれて、ライカはホテルの屋上、あかりと志乃は703号室の入り口にいた。

 

あかり「行くよ、志乃ちゃん」

志乃「はい、あかりさん」

 

2人は小声で言葉を交わし、まず志乃がドアにそっと近づき燕貫き、瞬発力を込めた突きを放ち鍵を壊す。

そこへあかりが突進してドアを開く。

 

あかり「武器を捨てて!」

 

あかりはセオリー通りに叫ぶが入口付近にあったスリッパに足を突っかけて前のめりに転んでしまった。志乃も志乃であかりを最優先するあまり室内から目をそらしてしまった。

ぶつけた鼻を押さえつつもマイクロUZIを構え直そうとするが。

 

あかり「う……武器を……捨て……」

黒髪「捨てるのはそっちだっ!」

あかり「……っ……!」

志乃「……!」

 

攻守逆転してしまい、2人は黒髪の男にデリンジャーの銃口を向けられ、銀髪の男は島麒麟の頭にコルトアナコンダの銃口を当てている。

 

麒麟「なんで……そこで転ぶですの……!?」

 

島麒麟は絶望的な表情で2人を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃剣護は外からの侵入を考えていた。その時にライカがワイヤーを使って横へと伸ばすのが見えていた。

 

剣護「あれは……ライカか……なるほど。ワイヤーでターザンってわけか……む?あれは……」

 

剣護はライカがいる反対側の位置に赤い人影を見つけた。その人影はライカの位置と703号室の位置を交互に見ていた。

 

 

 

 

 

 

ババババババババッ!

 

突如、703号室のベッドルームの側でライフルの連射音と窓ガラスの砕け散る音が響く。

 

黒髪「バカか。そっちにゃ誰もいねえよ!」

 

黒髪の男が無人のベッドルームを撃ったライカをバカにするが、島麒麟は、ぱぁ、と顔を明るくし、自分の首に掛けられていた腕に噛みつき拘束から逃れる。

 

銀髪「てめぇ……!止まれっ!」

 

誘拐犯たちに凄まれても麒麟は可憐な笑顔で歌いながら、ダンスするようなステップでベッドルームへと逃げる。

そして「3、2、1」とカウントダウンを指で数えた麒麟はベッドをジャンプ台にして、ブリっ子ポーズで背中から飛び出した。

 

麒麟「きゃはーん☆」

 

その光景に室内の全員が唖然とした瞬間、空中に飛び出した麒麟の体を右から左へ振り子状に戻ってきたライカが見事にキャッチした。

ライカはナイフでワイヤーを切り、プールの方へと落ちていく。しかしそんな2人に銀髪の男はコルトアナコンダの銃口を向ける。

 

あかり「ライカ!」

 

あかりが警告の声を上げ、ライカも気づくが空中では回避できない、ライカは麒麟の頭を抱え、自分の背中を銃口に晒す。

あかりはライカを助けるため、銀髪の男の所へ走るが黒髪の男が行く手を塞ぐ。2人はもつれ合い、あかりの手はもう銀髪の男のコルトアナコンダには届かない。撃たれれば頭部か首にマグナム弾が当たってしまう。

あかりは数日前のアリアのお小言を浮かべ、反省する。

そして声の限り叫んだ。

 

あかり「助けてぇ!」

 

バスンッッッ!ガキィィィン!

 

あかりの声を掻き消すように発砲音が響くがすぐに何かに弾かれる音が響いた。

弾丸はライカには当たらず、それどころか黒い鉄の塊に弾かれた。

 

それはニンジャの武器……スリケンである。

そして、あかりの叫びが届いたかのように。

 

『Wassoi!!』

 

1人の武偵と1人のニンジャが703号室に突っ込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

あかり「つ、月島先輩!」

 

突っ込んできたのは、アリアからの依頼であかりたちに付いて来ていた剣護と、もう1人は赤黒のニンジャ装束に身を包み『忍殺』と書かれたメンポを付けたニンジャだった。

 

黒髪「アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」

銀髪「アイエエエエエ!?」

 

誘拐犯の2人は赤黒のニンジャを見て慌てふためく。一方のニンジャは両手を合わせ合掌し、一礼する。

 

ニンジャ「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」

剣護「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

アイサツを終えたニンジャスレイヤーは銀髪、剣護は黒髪の方へと駆け出した。

 

ニンジャ「イヤーッ!」

銀髪「グワーッ!」

 

銀髪の男はコルトアナコンダを構えるがニンジャスレイヤーはこれを簡単にいなし、腰溜めに拳を放った。

ジュー・ジツの技、『ポン・パンチ』だ!

それをもろに受けた銀髪の男は壁に叩きつけられ気絶してしまった。

 

一方で、黒髪の男はデリンジャーとマイクロUZIを構え撃つが剣護は弾道の流れを読み避けていき、両腕をクロスさせ弾丸の如く突っ込んでいくする。

 

剣護「月島流拳技、鉄鋼弾!」

黒髪「ごはぁ!?」

 

骨を砕くほどの強烈なタックルを食らって壁に激突した男は気絶した。

 

あかり「ライカ……!」

 

あかりはプールの方を見るとライカと麒麟の無事が分かると安堵の表情を浮かべた。

 

ニンジャ「一件落着のようだな」

剣護「まあ…一応増援呼んだけどさぁ……」

ニンジャ「む?」

剣護「誰がコスプレして来いつったよ」

ニンジャ?「…ッスゥー……いやだって正体バレたらまずいと思って」

剣護「忍者がニンジャのコスプレしてどうすんだよ」

ニンジャ?「オタッシャデー!」

剣護「逃げんな!」

 

そう言うとニンジャスレイヤー?は風のようにその場から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京武偵高、狙撃科の屋上ではレキが片膝立ち姿勢からドラグノフを下げ、アリアは軍用双眼鏡から目を外していた。

 

アリア「やっぱり剣護に頼んどいて良かったわ。でも……まさか壁を走って登るなんてね……」

 

そう、剣護は703号室の真下の壁を走って登り侵入していたのである。それよりもアリアはもう1つのことが気になっていた。

あの赤黒のニンジャ、ニンジャスレイヤーのことである。

 

アリア「あの忍者……何者なのかしら……剣護と知り合いっぽいけど」

レキ「……あの人武偵高の生徒ですよ」

アリア「嘘でしょ!?」

レキ「普段はあんな格好しませんから、恐らくコスプレかと。元々変装とか得意な方ですし」

アリア「えぇ……」

 

まあいっかとアリアはツインテールを翻しながらその場を後にするのだった。

 

 

 


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