オタク剣士が武偵校で剣技を舞う!   作:ALEX改

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第12話 遠山キンジと間宮あかり

ある日の放課後、あかりとライカは強襲科2階のトレーニングジムで訓練をしていた。当然、剣護も来ておりサンドバッグを叩きまくっている。

 

あかり(アリア先輩、来ないかなぁ)

剣護「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

ライカ「よしっ、100!」

 

そんな3人がトレーニングをしているとき、男子生徒たちの会話が聞こえて、あかりとライカは動きを止めた。

 

「おい、聞いたか。キンジが強襲科に帰ってくるって!?」

「マジかよ!キンジって遠山キンジだよな?」

「強襲科の主席候補って言われてた奴か!」

 

ライカ「遠山キンジ……あの人が帰ってくるのか」

あかり「キンジ……?誰それ?」

ライカ「2年の先輩。任務でいつもいなかったし、去年、探偵科に転科しちゃったけど……前は強襲科でSランク武偵だった」

あかり「い、1年の時にSランク!?そんな人いるんだ……」

ライカ「言っとくけど月島先輩もSランクだぞ」

あかり「つ、月島先輩も!?」

剣護「え?知らなかったの?」

 

剣護はサンドバッグを思い切り殴り壊してから、2人のとこへやってきた。あかりとライカはサンドバッグの残骸を見て顔を引きつらせた。

 

剣護「キンジは入試で教官を倒してるのさ」

ライカ「伝説の男だよ。プロ武偵に勝てる中坊なんてバケモノだろ」

あかり「……バケモノ……」

剣護「お前それ俺もバケモノって言ってるようなもんじゃねえか」

ライカ「あっ……ま、まあ月島先輩は……規格外?」

 

剣護がライカにずずいと迫り、冷や汗を流しながらライカが弁解する中、1階ホールで人だかりができておりその中心にキンジが揉みくちゃにされていた。

 

あかり「……なんか……想像してたのと違う……」

ライカ「そう見えるんだよな。上勝ちすると大手柄だから、狙ってる1年もいるけど……なんか勝てなさそうなきがするんだよなあ」

剣護「ま、人は見かけによらずって言うからな」

ライカ「でも、あの人の戦妹は諜報科の風魔だし。あれも闘りにくそうなんだよなー。まあ、あたしは勝てないケンカはしない主義」

剣護「あとキンジは女嫌いだから、あまりしつこく付きまとうなよ」

 

剣護は2人に忠告するとトレーニングジムを出てキンジの元へ向かい、ライカも歯がゆそうにトレーニングジムを出ていった。

あかりはしばらくキンジを観察していたが結局、キンジの強さについて最後までピンと来なかった。

 

 

 

 

 

しばらくして、放課後の校内を歩いていたあかりは門の近くでアリアがキンジに近づいているのを目撃した。

 

あかり(あ、アリア先輩が遠山キンジと一緒に歩いてる……!)

 

あかりはキンジが何者なのか突き止めるため、2人を追いかけた。

 

ゲームセンターでUFOキャッチャーで手に入れたぬいぐるみを見て笑顔になってるのを見てあかりはアリアの中での自分の存亡の危機に、焦りまくっていた。

 

あかりはキンジにターゲットを絞ると、アリアと別れたその後を追跡し、学園島の路地までついていく。十字路をキンジが通った方向へ曲がろうとした時、頭上からの声に呼び止められた。

 

陽菜「間宮殿。そこまでにされよ」

あかり「……!?」

 

あかりが見上げるとそこには逆さ吊りで腕組みをしてポニーテールとマフラーを垂らしているくノ一がいた。

 

陽菜「お初にお目に掛かる。某は遠山師匠の戦妹、1年C組、風魔陽菜」

あかり「風魔一党は……相模の忍だよね。何の用?」

陽菜「…………」

 

あかりの家の事情もあり聞かされていたこともあり、あかりは警戒するが風魔は何も答えない。

 

陽菜「遠山師匠は女子がお嫌いでござる。それ以上追わぬよう。今より、某が師匠を護衛いたす。御免!」

 

沈黙を破った風魔は胸元から煙玉を地面に投げ、白煙が巻き上がるが強風ですぐに払われてしまい、あかりは路地の向こうに撤退中の風魔を見つけ、すぐに後を追ったが見失ってしまう。

しばらく駆け回っていると公園に辿り着いた。そこに踏み込むと公園の木の陰からキンジがあかりの背後に現れた。

 

キンジ「撒けてねーじゃねーか、風魔のヤツ……で、誰だお前?」

あかり「と、遠山キンジ!……先輩っ……」

キンジ「……大丈夫なタイプだな。なんで俺なんかを尾ける?」

あかり「だって……だって、ズルイです!あたしは戦って、ようやくお近づきになれたのに!2人はどういう関係なんですか!」

キンジ「話は見えんが……アリアのファンか?俺はな、アリアに追われて迷惑してるんだ」

 

あかり(アリア先輩のことが、め、めっ……迷惑!?この無礼者!)

 

キンジの話にあかりは今にも頭が大噴火しそうな気分になり、そんなキンジは火に油を注ぐように続ける。

 

キンジ「どうだ。聞いて満足したか?そしたら、もう俺を尾けるな。今の俺はEランクだが、探偵科だ。1年の尾行くらいさすがに分かる。次はシメるぞ」

 

そう言ってキンジは「じゃあな」と背を向けて立ち去ろうとするキンジを足止めするように指摘する。

 

あかり「何か隠してますね?遠山先輩は……!」

キンジ「度胸があるのと無鉄砲なのは違うぞ。1年」

 

キンジは振り返りあかりを睨む、その目に表れているSランクらしい鋭さをあかりは感じた。

その時、あかりはキンジの他にも別の殺気を察知した。見上げるとざわめく木の枝に風魔がクナイを手にして屈んでいた。

あかりは急いで距離を取りつつマイクロUZIを抜き、それを見逃さなかったキンジも勘弁してくれといった表情でベレッタを抜いた。だが

 

 

 

剣護「はい、そこまで」

 

 

 

次の瞬間、ドドォン!と2発の銃弾が3人を遮るように地面に撃ち込まれ、その間に剣護が割り込み銃を向ける。

 

金・あか・陽菜『っ!?』

剣護「やれやれ……困ったもんだね全く」

キンジ「け、剣護……」

あかり「月島先輩!?」

 

声の主はキンジのルームメイトでもある剣護であった。向けられている銃、M500を見てキンジは顔を引き攣らせる。

 

剣護「おい、あかり」

あかり「ひ、ひゃい!」

剣護「俺、言ったよな?キンジは女嫌いだからあまりしつこく付きまとうなって」

あかり「は、はい……」

剣護「人には触れられたくないこともあんだからそういうとこもちゃんと考えること。武偵云々じゃなくて人としてな」

あかり「……はい」

 

剣護に注意されてシュンと小さくなるあかり。

 

剣護「ったく……だいたいの尾行の理由は読めたけどよ」

キンジ「ど、どういうことだ?剣護」

剣護「こいつは間宮あかり。アリアの戦妹(いもうと)だ」

キンジ「あ、アリアの戦妹なのか……」

剣護「どーせ、アリアがキンジに取られるとでも思ったんだろ」

 

そう言って剣護はくるくると銃を回しながら話を続ける。

 

剣護「あのな、あかり。キンジにはある秘密があるんだが同時にそれがトラウマにもなってんだ」

あかり「ある秘密……?」

剣護「これ以上は俺からは教えられない。あとこのことについてキンジにも聞くな、トラウマだからな。あとは……銃の撃ち方でも教えてもらえ」

あかり「……は、はい……」

 

そう言いながら剣護は回していた銃をホルスターにしまう。

 

キンジ「……悪いな。剣護」

剣護「悪いと思うならもう少しマシに後輩の相手してくれませんかねー!」

キンジ「うぐっ……ぜ、善処する……」

剣護「じゃあ俺先に帰るから」

キンジ「あ、あぁ……」

剣護「あ、あと帰りに詰め替え用の塩胡椒買ってきて」

キンジ「アッハイ」

 

剣護はブツブツと何か呟きながら帰っていった。剣護の姿が見えなくなった後、3人は脱力するかのようにその場に座り込んだ。

 

金・あか・陽菜『はあぁぁぁああぁ〜……』

キンジ「いつになってもあいつがキレた場面は慣れないな……」

陽菜「そ、某は初めてでござる……月島殿が本気でキレたとこに出くわすのは……」

あかり「こ、怖過ぎる……まだ体が震えてるよぉ……」

キンジ「あれ本気じゃねえぞ」

陽・あか『嘘っ!?』

 

げんなりと半分死にかけている3人は剣護を怒らせてはいけないと思い知ったのだった。

 

あかり「あの……遠山先輩」

キンジ「あ?なんだよ……」

あかり「えっと……さっきはすみませんでした……先輩のこと何も知らないのに……」

キンジ「あー……それはもう良いぞ。だいたいは剣護の言ってた通りだから。まあ……俺もなるべく対応は善処するよ」

 

キンジは風魔に「行くぞ」と言うと背を向けて立ち去った。あかりはそんなキンジの後ろ姿を見送るのだった。

 

 

 


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