傷だらけの憧れ   作:時雨日和

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先に言っておきます。今回の話は残酷な描写が含まれおります。苦手な方はお控え下さい。
一応私の表現方法なので、微妙かも知れませんが本当に苦手な方はお控え下さい。


第12話 赤

扉が開け放たれた瞬間、外から銃声が鳴り響く。もちろんこの部屋に向けて。しかし、その銃声に反してほとんどの銃弾は部屋に入ってこなかった。それは、扉を開けられた瞬間それを一瞬でまた閉めたからだ。

流石の僕でも何丁ものマシンガンから放たれる銃弾は捌ききれない。だから鉄の扉を使わせてもらった。

 

それから扉が閉められたことに気付きすぐに銃声は止んだ。この分では上にも音が漏れてそうだ…僕は一つ吐息を漏らした。

 

「ふぅ…システム『デュアルセイバー』」

 

右手に持っていたナイフに加え左手にもナイフを持ち二刀流にした。わざわざシステムとして使う必要があるのか?と言われたことがあるが、二刀流時とはスタイルが変わる。

 

「…ちょっ…」

 

後ろから声をかけられる。それに僕は振り返らずに応える。

 

「待ってて下さい。すぐに片付けます」

 

銃声の数からしておよそ10は超える数はいる。ただ、ISはいないみたいだ。まあ、そうか。とにかく、いつまた停止するかもわからないし言った通り早めに終わらせよう。

ゆっくりと扉を開ける。その音に反応してか外にいた人たちは警戒を強めた。細い隙間をするりと抜けすぐに扉を閉めた。

 

「誰だお前は」

 

ガスマスクのようなものに顔を覆った人たちが取り囲んでいた。その中のリーダー格だと思われる人が僕に向かって聞いてきた。

 

「僕はここの生徒ですよ」

 

「なぜここにいる?」

 

「ここの学園にいるのにここにいちゃダメですか?僕としてはあなた方がいる方がおかしいと思いますが?」

 

終始笑顔で応えた。ナイフも今では出来るだけ視界に入らないように後ろ手で隠している。

 

「そこにいるやつを渡せ」

 

「唐突ですね」

 

「お前と話してても埒が明かない。死にたくなければそこをどけろ」

 

「お好きにどうぞ?最も、一人で、それに生身だと油断していると痛み目を見るのはあなた方だと思いますがね」

 

それを皮切りに僕は動いた。後ろ手で隠していたナイフをノールックで上に向かって放った。それはあまり高くない、と言っても3m近くはある天井に刺さった。一瞬だけど、全員の視線がそっちに移った。

その隙をついてまだ持っていた二本のナイフを両手で持ち真正面にいた人に向かって間合いを詰め装甲の薄い首元に右手に持っていたナイフを刺しこみ横に振り抜いた。結構深く入り込んでいたため首はほぼ半分程が繋がれていない状態になっている。その傷から水が流れているホースを切ったように噴き出す。その噴き出した血はその隣にいる武装隊の人に大量にかかった。その後頭部の重さにより傷とは逆方向に頭部は倒れ血が噴水のように噴き出す形に変わった。もちろんそれは僕にもかかった。生臭く、鉄臭い、そして少しだけ粘り気のあるドロッした液体が…

首を切られた人は1度膝から崩れ落ちたあと後ろに倒れた。ほんの一瞬だけ静寂が訪れたあとリーダー格が声を上げた。

 

「全員!こいつに狙いを定めろ!!!」

 

その掛け声とともに僕に向かって銃口が向けられる。その数一人減っても12人。いや、数は関係ない。僕に狙いを定めてくれるのなら好都合だった。何故なら扉を守らなくても済むからだ。

 

「システム『トラッキング』」

 

このシステムは『ゲイボルグ』と少しだけ似ている。違う点は『ゲイボルグ』は手持ちでしか発動出来ない事、それに対して『トラッキング』は投擲でしか発動出来ない。それ以外はほとんど同じで動きが止まるまで狙った部分に動き続けるということ。

 

僕はノールックで両端にいた武装隊の人に投げた。そのナイフは腹部の防弾、あるいは防刃のベストに当たる。でも、僕のナイフはISのものと同じ。ISのような機械を切りつけても一切刃こぼれせず斬れ味を保てるほどのもの。故に、そのナイフはその武装を簡単に貫いた。

 

「うわぁぁぁぁ!!?」

 

「ぐぁぁぁぁ!!?いっ…な…」

 

その2人はその場に膝から崩れ腰を折り痛みにもがいている。

 

「撃てぇぇ!!!」

 

その掛け声とともに僕に向かっていた銃口から放たれた。それを僕は全てまともに受けてしまった。

僕の体からは蜂の巣のように無数の穴が開き、その穴から血がとめどなく流れ、口からも血を吐き出した。

なんてことは無い。いや、実際には『そんな事実はない』

 

「システム『ミラージュ』」

 

血塗れの僕はその声とともに武装隊の人達の視界から消えた。それと同時に最初に刺さっていたナイフが落ちた。

それを空中で僕はキャッチして手近にいた2人にそれぞれ心臓部に突き刺し、素早く引き抜くために2人の体を壁に見立て両足で蹴りそのままナイフを抜き僕は一回転して着地する。そして、次は逆側にいる並んでいる2人の方に向かっていった。その間に先程蹴った2人は口から空気が漏れ、奇声すら出せないようだった。

 

「何で…生きて…」

 

誰が言ったかわからない。わからないけど、初めて聞く声だってことはわかった。

そして、その疑問も納得だった。

 

「幻ですよ。あなた方の見ていた景色は全て幻です。だから、僕は隠れていただけです」

 

全てというのは嘘だけど。それに隠れていた訳ではない、ただ、斜線上に入らなかっただけ。

僕は歩みを止めたが言葉は止めなかった。

 

「ここで、あなた方にチャンスを与えます。今このまま中の人を見逃して帰るのなら僕は追ったりしませんし、他の人にも追わせません。しかし、このまま残って僕の相手をするのなら容赦はしません」

 

「……」

 

「どうです?」

 

と聞いた瞬間また銃弾が飛んできた。それは一発だけだった。僕はそれをナイフで切り落とした。

 

「…交渉決裂ですね」

 

僕はナイフをその場に落とした。

 

「システム『バーサーク』」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

気がつく頃には終わっていた。辺りは血の海のかし、その海には武装隊の人たちが転がっている。その転がっている死体はどれも痛ましい。少しだけ切られていたり少ない損傷だけの死体もあれば、腕、足が無いのは当たり前、身体中穴だらけの死体もあれば上半身と下半身が離れているのもあり、体が右と左で分かれているのもある。その死体の近くには原型を留めていない内蔵が散らばって落ちている。もはやどれが誰のかわからない。

そして1人、両肩をナイフで壁に突き刺し固定した兵士がいる。その兵士はこの武装隊のリーダー格の人だ。『バーサーク』の間全てを何もさせずにただ見せていた。

 

「さあ、最後ですよ」

 

「悪魔め…殺すのなら早く殺せ!」

 

悪魔…か。まあ、傍から見たらそうかもしれない。身体中を血で濡れ、染めながら何人もの人を残虐に殺してもまたもう1人を残しているのだから。

 

「まだ殺しませんよ。あなたには喋ってもらう必要がありますから…」

 

「俺はもう何も喋らねえぞ!絶対に!」

 

そう言って口を開き舌を前に出して噛もうとした。でも

 

「無駄ですよ」

 

「ぐぁぁぁぁ!!」

 

僕はそのリーダー格の人の指を1本掴みどんどんと曲げていく。骨が軋んでミシミシという音が聞こえる。その痛みで動きは中断し代わりに痛みにもがくようにジタバタとしている。

 

「さあ、馬鹿な真似はやめて質問に答えてください。あなたは中の人の仲間ですか?」

 

「俺は…ぐっ…答え…」

 

指がある一定の角度を超えた時ボキッという乾いた音が響いた。

 

「がぁぁ!!い、いでぇぁぁ!!」

 

「答えて下さい。次いきますよ?」

 

と言って別の指を手に取った。

それでも答えない。だからまた折った。

そしてまた次、また答えずに折った。

また次、また答えず折った。

また次、折った。

右手が無くなったので次は左手の方に変えた。そこでリーダー格の人は気絶していた。僕はガスマスクを外し頬を叩いたが反応がなかった。なので、少しだけ加減して腹を殴った。すると血反吐を吐くと共に目を覚ました。

 

「さあ、喋りますか?次は左手ですよ?」

 

「……」

 

喋らなかった。そして、ただただ僕を睨みつけていた。そこで僕は1度『バーサーク』の前に落としたナイフを拾って持ってきた。それを目に突き立てた。

 

「気が変わりました。目を潰します。いえ、正確には目を取ります」

 

「や、やめろ!!やめてくれ!!!」

 

「…嫌ですよ?」

 

「言う!言うから!!!」

 

「…都合が良すぎますね」

 

ナイフをしまった。それを見て安堵したような表情を浮かべた。

 

「勘違いですよ?」

 

と言って僕は右手でその人の左の瞼の中に指を入れ眼球を掴み引き抜いた。

 

「アアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

左の目からは血を流し右からは涙を流し、それは顎の辺りで交わり少し薄い血を作り出した。

どんなに絶叫してようが、涙を流そうが僕は表情を崩すことは無かった。

 

「さあ、質問です。中の人とは仲間ですか?」

 

「ち…ちが…う…ぐっ…うっ…おれ…らは……雇わ…た…うっ…だけ………」

 

「誰に?ひいてはどこに?」

 

「せ…赤華…」

 

「…お疲れ様でした」

 

そう言って僕は拳を握り心臓部を殴りつけた。骨の折れた乾いた音よりも肉を潰したグシャッという音の方が大きかった。その人は声もあげられず血を吐きながら絶命した。

僕は後ろを振り向いた。その視線の先には扉が開かれていて、中にいた人は今までの光景を終始見ていた。その表情は最初に訪れた時のような余裕はなく僕とも目を合わせる様子もない。

それを見てから僕はその場を去った。




こういう話に限って長いのですよね…
正直こうまでするつもりは無かったんですけどね…気の迷いというかなんというか…
だんだんとシャルルのキャラが本当に悪魔と化してきましたよ…

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