弱ければ相手から何もかも奪えばいい。 作:旋盤
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目の前に虎の見た目に紅い毛に背中から生えた翼、頭部から、赤と青の二本の角が生えた、キュウキと対峙していた。
アルミラージと戦ったばかりではあるが、刀を構える。こいつに殺されない為の手段は、戦う事だと本能が告げる。
キュウキの赤と青の角が光始める。前に戦った時に見た、魔法の発動前にられる現象だ。それを無視する程優しい俺ではない。
足に力を込め、敵の懐えと一気に駆ける。中断から横薙ぎに振るい、頭を横に一刀に殺そうとする。
それを頭を上に上げるだけで避けられる。それを追撃する様に刀を斜め上に振り上げる。追撃を体を右に傾けて避けられる。さらに追撃を加える。振り下ろしの一撃を角で受け止められる。
ガンッ!!
角にめり込むも断ち切る事が出来ない。押し切る形で振り下ろす。角を切る事が出来ない。
右に薙ぎ、振り下ろし、切り上げ、斜めに切り。連撃を繰り返す。それを全て避けられ、角で受けられる。そして、キュウキが距離を取る。そのタイミングで、角に宿った光が弾ける。
そして、空を覆い尽くすほどの火球が現れる。今の状態で受けるのはよくは無いが、目の前のキュウキ無視しながら戦うのも難しい。面倒な攻撃だな!
考えるのを俺はやめた。もう、本能で動こう。それが一番いい。死のうが死ぬまいが関係無い。とっさの判断に身をまかせる事にした。
さて、どうするか。そんな事を思った矢先に体が動く。大地を蹴り、敵の懐に突っ込んでいく。勢いそのままに刀を横に振るう。
ガンッ!
当然防がれる。敵の横に来て刀を斜め上に切り上げる。キュウキが体を回転させて避ける。それを追撃する。
魔法は、空から降って地面に落ちるまで時間がある。が、落ちてくるまで、もう、時間が無い。
熱波が空から注いでくる中で、敵の正面に立ち、頭を切ろうとしていた。前と違うのは、敵の攻撃を恐れずに果敢に攻撃している事だろう。
一歩を大きく踏み込み、角もろとも切りにかかる。
バキッ!
左の角が折れた。
ドンッ!!
そして、火球が地面に落ちたのは同時に近かった。
そのまま敵の横に回り、胴体を切る。それを体を回転させて避けるのは予想済みで、一歩を飛ぶ様に踏み込んで、〈一閃〉を使う。
胴体を深々と切り裂いた。敵の悲鳴が聞こえる。〈神速〉を使い、その場を飛び退く。
ドンッ!!
さっきまでいた所に火球が落ちて来た。敵にも当たったがあの程度では死なないだろう。
地面に当たると同時に飛んで来た降って来た火球より、小さい火球が分裂して、いくつかこっちにくるので、〈スペルブレイク〉を使い、全て壊す。
こっちに降ってくる火球を刀を頭上に振り上げ、〈スペルブレイク〉を使い、破壊する。
しかし、数が多すぎる。。飛びっちってくる小型の火球や大型の火球が無数に降り注いで来た。
氷の剣を無数に作り出す。それを上空の火球へとぶつけにいかせた。
ドドドドドンッ!!!!!
無数に爆発する音が聞こえる。いくつかの氷の剣を作り、敵に向ける。それを撃ち出す。それと同時に〈索敵〉に新たな反応があった。
右から飛び出して来た黒い角を上半身を反らせる事によって避ける。そして、宙を一回蹴り、目の前を通り過ぎ、少し離れた所で一回宙を蹴り急な方向転換をして、もう一回宙を蹴り加速して来た。それは、予想できていたので、左足を軸に回転して避けて、その勢いのまま乱入して来たアルミラージに回し蹴りをくらわせた。
次にキュウキの方を見ると、氷の剣が二本刺さっている状態で立ち上がり、前足を振り下ろした。その瞬間爪の辺りから何かが出て来た。
あれが、〈覇爪斬〉だろう。
俺も指に力を込め、振り上げる。〈覇爪斬〉を使い、迎撃した。二つの斬撃はぶつかり合い、辺りに衝撃を与えた。
そんな事に興味を持たず、弱ったキュウキに突っ込み、刀を振るう。前の様な反応はなく、反撃も弱々しい。振り下ろした刀を受け止められ、その瞬間に右足で、敵の顔を蹴り飛ばした。頭は蹴った方角を向き、俺は〈神速〉を使い、一瞬で態勢を整えて、キュウキの頭を切り飛ばした。
アルミラージの方を向いた瞬間に突進をして来た。見慣れれば、対処も簡単だ。軽々と避ける。相手が急な方向転換をする前に蹴り飛ばした。それを追撃する。勢いを乗せて突きを放つ。それは、胴体を捉え、そのまま、振り下ろし胴体の三分の二を切った。
アルミラージはそのまま光となって消えた。
戦利品を確認した。キュウキの双剣や角は無く、アルミラージの角も無かった。ドロップ率が低いのだろう。
回収もひと段落して、ゆっくりしようとすると〈索敵〉に反応があった。しかも、一つや二つでは無く、背後に二つ、右後ろに一つ、左右に一つずつの計五つの気配があった。
二十メートル以内にいるので、いつでも攻撃されそうだ。
後ろにいる敵が動いた。それと同じ様に左の敵も動いた。突進攻撃だろう。それを飛び上がり回避する。それと同時に敵の種類と配置を見る。
それを見て、驚いた。突進して来たのはアルミラージで、後ろにいるのはキュウキが一体にカーバンクルが二体だった。
三つの種類が合同で俺を殺しに来ていた。しかも、待機していた三体は魔法を発動させていた。キュウキはまだ発動準備をしているが、カーバンクルはもう撃ってきそうだ。
すると、いきなり強い風が吹いた。
マズイ。
直感でそう思う。腕を目の前で交差して顔を守る。すると、服のあちこちが切れて、その切れた隙間から血を流す自分の腕があった。
次に氷柱が飛んできた。
「グッ!!」
腕に突き刺さる。それがいくつも起こる。幸運だったのは心臓に当たらなかった事だろう。自分で炎魔法を発動させて、空中にいるが辺りを焼き尽くす程の猛火を起こす。氷柱は溶け、風は無くなっていた。地面に降りる。いや、地面に激突する。全身に傷を負いすぎて、体に力が入らなかった。支援魔法で回復出来るかを試してみる。結果はできた。
だが、また攻撃がくる。アルミラージ二体が時間をずらして突進してくる。それだけでも厄介なのにカーバンクルの魔法が飛んでくる。しかも、キュウキの魔法が発動した。
空を覆い尽くさんばかりの火球が降り注いできた。
ヤベェ、本気を出して、一瞬でカタをつけたい。だが、これからこんな事も起こるかもしれない。その状況下で敵の方が慣れていたら負ける可能性がある。だったらこんな状況を今の力でどうにかせねば。
そうだ。弱くなっているとはいえ、魔法の威力も桁違いのはずだ。それに魔力魔法はイメージしたものがそのまま魔法になる様なものだ。
なら、アニメなんかで化け物や怪物が使っていた様な技も再現できるかもしれない。
「フゥ、よし。」
息を鋭く吐き、決意を固める。
降り注ぐ火球は突進してくるアルミラージと共に氷漬けにした。火球は凍ったがアルミラージは完全には凍らなかった。
カーバンクルにはお返しとばかりに風で剣の様に切れる魔法を想像する。すると強い風が吹き、カーバンクルの体を傷つけていく。
また火球が迫ってきたので、アルミラージごとまた凍りつかせる。
キュウキが上体を持ち上げて、二本の腕を同時に振り下ろす。すると、氷が大きく出ていた場所が鋭利なもので切り裂かれた様にゴンッと落ちた。それを腕を振り上げて〈覇爪斬〉で迎撃する。
地面に五本の鋭利な切り傷をつくりながら、同じスキル同士が激突する。敵は合計で十本の斬撃を飛ばしているので、こちらが負けるが、時間は稼げるだろう。
腕に雷を纏わせ、それは、槍の形を形成する。右腕に自分の身長ほどある槍ができた。それをキュウキに向かって、右ストレートで撃ち出す。
雷の槍は騒々しい音を立てながら、キュウキへと突撃していく。雷の槍はキュウキを貫き、森の奥へと姿を消した。
次に手を出す魔法は〈獄属性〉まだよく分かっていない魔法の属性だ。
試しに普通の氷属性魔法で凍りついていないアルミラージの体内に氷を作りそれが膨れ上がり、内部から殺す魔法を想像する。だが、発動しなかった。
ならば、獄氷属性魔法ならどうだ。さっきと同じ想像をして発動させる。アルミラージがさっきとは違い、苦しみだした。そして、内側から出てきた黒い氷によって、所々を内側から貫かれ無残な姿になっていた。
これが、違いなのだろう。普通ではできない事が出来ると。そういう事か。ならば、こちらを主体にして魔法を使った方がいいだろう。
すると、カーバンクルがこちらに氷柱や炎の矢を放ってきた。それを獄炎属性魔法で黒い炎が出てきて焼き払うと、〈神速〉を使い、距離を一瞬で縮め、二体のカーバンクルを掴み、同時に〈略奪〉を開始した。容量は掴んでいるので、楽だった。獄氷で地面と繋ぎ合わせて、どんな魔法を使うか悩んでいると、
バチバチバチッ!!
放電が発動する前段階の音がした。
面白い魔法を思いつく。まぁ、普通の様な魔法だが、強力そうな魔法だ。
魔力を溜めていく。
バリバリバリッ!!!
向こうの方が早かったが、こちらも、もう、準備はできた。
バァァァン!!!!!
そして、その辺りに黒い強力な雷が落ちた。しかも、ただ落ちるだけでなく、辺りに同じ様な黒雷を枝分かれしながら落ちていく。
黒い光が治ると地面が抉れて、辺りの木が黒焦げになっていた。残っているのはモンスターのドロップアイテムくらいだ。不思議な箱だ。
この魔法で分かった事は、魔法は使用者には効かない。という事だ。
この戦いは、魔法の事を理解する事が出来る、良いものだった。無属性や空間魔法や支援属性の説明を見ておこう。それだけで無く、他の魔法なら説明を見ておこう。
ドロップアイテムに変化は無く、同じものだった。
今日は、連戦続きだ。疲れた。早く寝たい。飯は食べなくていいかな。だめだ。腹減った。この状況では寝られない。
〈索敵〉に反応がまた、いくつもあった。
「いい加減にしてくれよ。」
少し疲れ気味な声でそう呟いた。反応は四方八方にあり。面倒だ。
3、4体がこちらに突撃する。それを、獄氷で氷漬けにする。今度は、全身が凍っていた。これも普通の氷属性との違いだろう。
五体目が突進してきた。五体目はアルミラージで、黒い角を避けて、方向転換してきても冷静に避ける。アルミラージの顎にあたる部分に膝蹴りをくらわせ、左ジャブ、右アッパー、左ストレート、回し蹴りから右足でアルミラージの顎を蹴り上げる。そして、獄炎でアルミラージを焼き尽くす。
残るは、魔法を放つ奴らだろうか。〈神速〉でその場を動く。遠距離攻撃する敵がいる時は、その場に留まらず動き回る事で魔法に当たる確率が減るだろう。そして、刀を抜き放つ。
遠距離攻撃が出来るであろう敵を見つけては、切りつけた。魔法の発動を直視と直感に頼って、避けていた。当たったものもあるが無視して、増えてきたら、回復していた。
二十体くらい倒して、やっと、いなくなった。キュウキとアルミラージがほとんどで、カーバンクルは五体くらいだった。
カーバンクルはドロップアイテムがいいので、〈略奪〉していった。他は皆殺しだ。簡単だった。ステータスは変わっていないはずだ。うん。確認して見たが、変わって無い。やはり、スキルと魔法が強力なのだろう。ドロップアイテムを確認してアイテムポーチに入れる。
ハァ、しんどかった。連戦でしんどかった。ハァ、もう、今日は戦いたく無い。
そんな事を思っていると、目の前にいくつものモンスターがいた。しかも気配が四方八方に無数にあった。
「本当もう、いい加減にしろよ!」
怒気を孕ませてそう言った。
そして、辺り一帯が黒い炎に包まれモンスターが全滅した。
数分が経ち、
「やっちまった。」
冷静になって考えて、辺りを見回すと未だ黒い炎が上がり、燃えていた。切れたとはいえ、やり過ぎた。前よりも、よく狙われているんだけど、ハァ、よし、今日は寝ずにこの森にいるモンスターの数を減らそう。
だが、体が気だるい。多分、この症状は定番の魔力が尽きかけているのだろう。魔力の上限を解放する。すると、気だるさが抜けた。ゆっくりと立ち上がり、黒い炎が立ち込める地帯を抜けて、普通のもりが広がる地帯に出る。尚、火事を防ぐため、火は獄水魔法で消火しました。
まさか、〈エリアボス〉になったから狙われているのでは?と、思いはしたが、それなら、お前らと俺でどれだけ差があるか知らしめてやろうと思ったのは別の話。
疲れたー。特に目が。千文字書くのに一時間かかっているから、合計五時間向き合ってる。しかも、面白いかわからない。辛いよ。
ご意見、ご感想、ご指摘お待ちしております。