弱ければ相手から何もかも奪えばいい。   作:旋盤

17 / 43
間に合ったか?久しぶりに。来週から、この小説で出て来た。単語を振り返るコーナーを作るか。ネタ切れに近いし。
最後までゆっくり見ていって下さい。


決意の強さ

何かやらかしたか?

俺は、そんな事を考えていた。

普通に考えて、ギルマスが呼ばれる事は普通に有り得ない。これは、俺がやらかした可能性が高い。

だが、何も思いつかない。俺は討伐の依頼を手っ取り早く済ませただけで、何もしていないのだから。

早かったのがいけなかったのか?

依頼を早く済ませちゃいけないって、どういう事だよ。

 

「お待たせしました。」

 

どうやら、ギルマスを連れてきたようだ。

 

「やあ。君が問題の人だね。」

 

そう言ったのは、桃色の髪をした少女だった。

ん?少女??

桃色の髪をした身長130か140㎝くらいの少女だった。

マジかよ。四十代くらいの男かと思ってたよ。

まぁ、ギルマスである時点で、ソコソコの実力者だろう。

 

「率直に言おう。まず、冒険者ギルドでは、高位の冒険者が減っていて、C級以上の魔物がすこしずつ増えている。」

 

魔物もランク分けされていたんだ。まぁ、当然か。自分の実力を考える上でも。

 

「なので、少しでも早く高位の冒険者を増やそうという事で、各冒険者ギルドで、実力のある新人を各冒険者ギルドのギルドマスターが実力を見て、それに見合ったランクをつける。という事がこの前決まった。」

 

「そういう事か。」

 

早く上のランクになりたい俺には、ちょうどいい時期にここに来れたようだ。

ただ、あの程度の魔物を倒しただけで実力があるって、少しおかしいぞ。

 

「今、あの程度の魔物で実力って。とか思ったよね。」

 

こいつも俺の心の声を読んだ、だと。まぁ、簡単か。少し考えれば、予想できる事だな。

 

「実は、同時に三つの依頼を受けて達成した速度が、最速なんだ。だから、君の実力を私が計らせてもらうよ。」

 

「面白い。お前の実力も俺に見せてみろ。」

 

 

 

 

俺たちは、街を出て近くの草原にきていた。

城門をくぐる時、門番の全身鎧から、

 

「気おつけろよ。」

 

と、小声で言われた。

どうやら、この少女のようなギルマスは相当の実力を持っていそうだ。

まぁ、関係ないか。俺と同等ならばいい勝負ができそうだ。

互いの距離が十メートルくらいになり、

 

「準備はいいかい?」

 

「別にいいが、お前は素手でいいのか?」

 

見た目、小学生だから心配になる。

 

「敵の心配とは余裕だね。」

 

「強者の余裕。とでも言っておこうか。」

 

敵が右足を引き、構えをとる。

 

「その余裕、打ち砕いてみせるよ。」

 

「そうか。では、いざ尋常に」

 

「「勝負!!」」

 

俺は後の先の戦い方を得意とするので、こちらからは動かず相手の動きに合わせて戦おう。

敵が距離を詰めてくる。こちらとしてはありがたい。尚、今は武器を装備していないので、素手である。

相手もなかなかに早いがまだ遅い。

左ジャブで迎撃する。

しかし、相手はそれを避ける。それどころか、俺の後ろに回っていた。

どうやら、腕の長さを考えて素手の攻撃の射程を見切り、射程に入ったところで回避した。といったところだろうか。

冷静に分析している場合じゃなかった。

すぐに振り向き、敵の位置は、〈索敵〉によって、大体把握しているので、そちらを向くも、移動していた。

どうやら、機動力で敵を翻弄して攻撃を加えるタイプだろう。

こうゆう敵の対処法を俺は知らない。

動いた方が不利なのか、止まった方が不利なのかさえわからない。

なので、俺は止まった。〈索敵〉で敵の位置を探り、攻撃にカウンターを加えていく作戦でいこう。

下手に動いて敵のペースに乗せられたら面倒だ。

敵を追うのは、目だけでいいだろう。下手に動いて、後ろに回っての攻撃が面倒だ。

敵が動いた。こちらに向かってきている。これは、攻撃かさっきみたいな翻弄が目的か。

今度も左ジャブで牽制する。しかし、今回も避けられる。前回と違うのは向こうが後ろに回った瞬間に攻撃を加えて、またどこかに行ったところだろうか。

それを、振り向きざまにガードしたが威力も高い感じだ。ここら辺の魔物に比べたら。

さて、ヒットアンドアウェイの戦法の打開策は、相手のリズムを崩す事だな。

それならば、いい方法がある。

また、こちらの方に向かってくる。

相手はこちらの射程を考えているようだが、射程は腕の長さだけで決まるものではない。

俺は、敵をできるだけ近くに引き寄せる。左ジャブが届く距離になる。だが、ここではない。

そして、敵は、こちらが何もしていないのに屈み、横に少しずつ移動している。

このタイミングで、一歩踏み出し右ストレートを素早く、しかし威力を抑えて、放つ。

それを相手は地面を強く蹴り回避する。回避されたが、敵のリズムを崩した。敵はその場に止まっていた。

 

「さっきまでの速度はどうした?」

 

俺は挑発の意味を込めてそんな事を言った。

 

「どうなってんの。この速度にまで対応するって、バケモノかよ。」

 

自分でもバケモノだと思っています。

 

「ここまでの戦闘でランクはどれくらい上がりそうだ?」

 

これは疑問だ。ギルドマスターでは俺は倒せない。言ってしまえば無駄でしかない。

勝てない敵に戦いを挑むのは馬鹿のする事だ。しかも、別に戦う必要のない相手にだ。

なので、C級以上になっていれば、別に終わってもいい。

 

「私では、君は倒せない、か。」

 

どうやらギルマスも気づいているみたいだ。当然か。

 

「この戦闘で高位のランクにできるが。これは、私の願いだよ。最後まで戦わせて欲しい。」

 

意味がわからない。

ギルドマスターはある程度忙しいはずだ。こんな事に時間を割いても、無駄でしかない。

 

「なぜだ?なぜそこまで戦う。これ以上戦っても、無意味に等しい。なのに何故戦う。全力を出し、俺に打ち勝っても、なんの得にもならないだろう。」

 

それを聞いて、ギルドマスターは不敵に笑い。

 

「君に勝てば、君みたいな実力者が街に攻撃を仕掛けに来ても、街の人たちや、君たちを守れる。今、君と戦っていれば、君みたいな実力者が来ても、私は戦える。」

 

それを聞いて俺は自分を疎かに思った。

俺は自分より強い敵が挑んで来ても戦えるのだろうか。答えは否だ。

ここに来た頃、自分より強い猿がいた。その猿に殺された人を見た。

俺はその時、その人を見捨てたのだ。助けに行く素ぶりすらせず。

この事から、俺は自分より強い敵が現れた時、俺は逃げるかもしれない。

こんなんで、自分が救える人は救うなど、馬鹿げている。

救いたい人がいるのならば、守りたい人がいるのならば、自分の命を賭しても守るべきだ。たとえどんな強敵が現れても、どんなに疎かだと思われようとも。

それを目の前のギルドマスターは鍛えている。

どうやら俺は甘かったようだ。

どうやら俺は口先だけだったようだ。

どうやら俺は疎かだったようだ。

今からでも変われるのならば、今から変わろう。

 

「俺はお前を馬鹿にしていたようだな。まずは、詫びよう。すまない。」

 

さっきまでの実力から、引き上げる。

 

「これからは、手加減は無しだ。覚悟はいいか?」

 

敵は、俺の方をみて驚いた表情をする。

 

「まだ強くなるって。本物のバケモノかよ。」

 

そう言って、両手に短剣を持つ。

どうやら、あちらも全力では無かったらしい。

こちらも、全力を隠しているし〈獄属性魔法〉を使用する気は無い。全力で戦えば、ギルドマスターも一秒も待たず死ぬだろう。

まぁ、今の実力でも十分殺すには十分過ぎるくらいだ。

 

「一つ忠告しておこう。」

 

一応、忠告はしておこう。

 

「今からお前が戦うのは、勝てない相手だ。それも、お前を殺す気でいる、な。」

 

それを聞いて、敵はまた、不敵に笑った。

 

「一瞬でも気を抜くな。お前が一瞬でも隙を見せようものなら、一瞬でも気を抜こうものなら、俺はお前を殺す。」

 

俺は、拳を固く握る。

そして、さっきとは違い、構えをとる。魔境の魔物との戦闘で考えて作った、自分が一番戦いやすい構えだ。

 

「じゃあ、第二回戦開始でいいかな。」

 

「ああ。構わない。」

 

そして、敵も二つの短剣を構える。互いの距離は近くもなく、遠くもない。

 

「さぁ、かかって来い。お前に死を教えてやろう。」

 

「では、いざ尋常に、勝負!」

 

敵は最初から全力で駆けて来た。対峙する俺は、

 

「フッ……」

 

鼻で笑い、カウンターをさっきとは比べられない程の威力と速度で繰り出した。

それを相手は、回避していた。だが、地面に着地できずに、転んでいた。

自分の意思ではなく、本能が回避した。という事だろうか。

なんにせよ。倒すべき敵は生きている。

まだ俺は勝っていない。

敵は起き上がり、こちらを見てくる。

呼吸は荒く。目を見ても、体が震えている事を見ても、俺に恐怖を抱いているだろう

そして、敵の本能はこう言ってているだろう。

 

逃げろ。

 

と。だが、敵は震える体で、恐怖している目をしながらも、武器を構える。

どうやら、さっき言っていた事に偽りは無かったらしい。

その強さは賞賛に値するだろう。

だがその程度の決意と実力で超えられる程、俺は弱くは無い。

 

「さぁ、かかって来い。お前の守りたいものは、俺を倒さねば、守れんぞ。」

 

そう言った刹那、敵はこちらに駆けて来た。

本当に此奴は、強いな。

俺は彼女の決意に応えるように、対峙するのだった。




ここ最近、リアルが一段と忙しくなった気がする。小説の字数が少なくなったのはこれと、もう一つの理由。ネタ切れ。ノープランだと、この小説の未来が見えない。
ご意見、ご感想、ご指摘、お願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。