弱ければ相手から何もかも奪えばいい。   作:旋盤

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まずい。遅れすぎたし。字数が今までより少ない。決して、ネタ切れだから、パッと思いついたネタで時間を稼ごうなんて思っていませんから。
ゆっくり見ていって下さい。


別れ

次第に城門が近ずいて行く中、俺は少し重要な事を考えた。

 

「なぁ、街に入るために必要な物ってあるか?」

 

ミコトが

 

「自分の身元を証明できるものがあればいいだけだ。」

 

やばい。詰んだ。どうしよう。街に入れないかもしれない事態に直面するなんて。

こんな時はどうすればいいんだ。

手段として思いつく方法は、俺が持てる相手の目を欺く効果がある〈スキル〉やら能力を使って、入る方法がある。

できる限りやりたく無い方法だな。

できるなら、目立たずに犯罪にならない方法で入りたいな。

 

「どうしましたか?険しい顔をして。」

 

レオナが心配そうにこちらを見てくる。

これは、俺より常識がある人に聞いてみるのがいいだろう。

そして、俺が口を開こうとした時、

 

「そっか、お前野育ちだったな。」

 

ミコトが俺が悩んでいた内容に気づいた。

真実を言えば、野育ちではないが、この世界に来てからは野育ちですがね。

 

「身元を証明する物が無くても、あの街の領主の娘を助けたんだ。そこら辺を私とレオナで話せばどうにかなるだろ。」

 

本当にそれで大丈夫かどうかはわからないが、それを信じるしか無いだろう。

心配な事は沢山あるが、今は、前へ進むしか無いだろう。

 

進んで行くと、あっという間に城門の前にたどり着いた。

 

「とうとう、着いたか。」

 

「ああ、やっと肉だけの生活とおさらばできる。」

 

「そこかよ。」

 

わからないか。肉だけを食べねばならず、一ヶ月間過ごした者の気持ちが!

まぁ、それはどうでもいい事なんだが、問題はレオナの事かもしれない。

 

「この旅もここで終わりなのですね。」

 

とても残念そうな声だった。

俺の気分まで落ち込んでしまう。こればっかりはどうしようも出来ないからな。

いい経験だろ。人生でずっと一緒にいてくれる存在は少ない。ここで、友人としばらくの間別れて過ごすのも、大人の階段を登るのに必要な事だろう。

 

「そう落ち込むな。もう二度と会えない訳じゃ無い。それに俺たちには、これがあるだろ。」

 

そう言って俺は腕に嵌めたブレスレットを見せた。

ミコトもブレスレットを見せる。

そして、レオナもブレスレットを見せる。

 

「俺たちは離れてしまうが、俺たちはこれで繋がってる。それを忘れるな。」

 

「そうだよ。私たちはこれで繋がってる。何かあったら、このお姉さんに相談しなって。」

 

ミコトもレオナを励ますのに手伝ってくれた。

やっぱり、落ち込んだ様子で別れるより、笑って別れた方が良い。

 

「はい。そうですね。では、困った時には、頼りにさせていただきます。お兄ちゃん、お姉ちゃん。」

 

そう言って、レオナは可愛らしい笑顔を見せた。

 

「「!?」」

 

当然俺たちは突然、「お兄ちゃん」、「お姉ちゃん」と呼ばれたので、驚いて固まった。その間三秒。

 

「なあ、聞いたか!お姉ちゃん、だってよ。うん。いい響きだ。」

 

ミコトはかなり喜んでいた。

俺も内心かなり喜んでいる。

 

「ああ。俺も弟はいたが、そんなふうに呼ばれた事は無かったからな。」

 

この子を見ていると守りたいという気持ちが一層出てくるな。

これが、保護欲やら庇護欲といった気持ちなんだろう。

俺の口も勝手に釣りあがっていく。

俺って見た目が老けて見えて、見た目が怖いから笑った顔ですら相手を怖がらせてしまうのではないかとずっと前から思っていた。

なので、顔を背けてレオナ達から顔を見えないようにしようとする。

 

「なんだ?照れてんのか?」

 

ミコトがからかうように言ってくる。

 

「照れてない。笑っているだけだ。」

 

「なんじゃそりゃ。」

 

そして、三人が笑い出す。

そして、歩き始める。再び三人で笑いあえる日が来るのを確信しながら。

 

 

アレストの城門にて、

 

「これは、レオナお嬢様!無事でなによりです!」

 

全身鎧を着た、声から男だと分かる。まぁ、見た目もゴツそうだし、見た目でも、男だと分かる。

 

「隣にいるのは、ミコトと……誰だ?」

 

そうですよね。見知らぬ男が、知っている女の近くにいたら、警戒しますよね。

しかも、それが王族の血統の領主の娘だったら尚更だ。

 

「しがない放浪者だ。」

 

「言葉と見た目からしてかなり怪しいんだが。」

 

ですよね。わかってましたよ。そんな事を言われるのは。

 

「マグナさんはいいひとで信頼できる人です。」

 

レオナがフォローする。

十四歳の少女にフォローされないと入れない俺って、悲しいな。

 

「そうだぞ、おっさん。私より先にレオナお嬢様を守ってくれてたんだぞ。」

 

ミコトもフォローに加わる。

誰かにフォローされないと入れない俺って何者なんだ。

 

「おっさん………まだ、30になったばかりなんだが。」

 

少し悲しそうな声で全身鎧の男が言った。

安心しろ。お前は俺を二十代後半と思っていると思うが、まだ、17で今年で18だ。

 

「まあ、レオナお嬢様がそう言うんだ。信じて大丈夫だろう。」

 

検問も結構緩い気がするのは気のせいですか。

気のせいだよね。検問が緩かったら、大変な事態が起こるかもしれないからな。

そして、俺たちは城門をくぐる。

その街を見ての第一の感想は、中世の世界観みたいだ。

異世界みたいといえば、異世界みたいだ。

第二の感想は、活気があるな。

至る所に店や露店があり、人混みが多い。一目見れば、いい街だと思える。

だが、店の奥の薄暗い通りにみすぼらしい格好をした人たちが、羨ましそうに見ていなければ、手放しでいい街だと言えたのだがな。

 

「どうですか?ここが私達のアレストです。」

 

レオナが感想を求めるように聞いて来る。

 

「いい街だとは思うぞ。」

 

当たり障りのない言葉で返す。

 

「そうですよね!私は、この街をより良くしようと思っています。」

 

そうか、ならばこの街の隅々まで知った方が良い。

と、言おうか悩んでいると、

 

「ですので、何か不憫な点などがあれば、私に言って下さい。」

 

俺は、言うのをやめた。まだ知る時じゃない。

ていうか、俺がここに住むのが決まっていたらしい。

 

「ああ。その時は、お前に言ってやる。」

 

そう言って、頭を撫でた。

なぜか、撫でてしまった。無自覚に撫でた。本当に無自覚だから。やましい気持ちなんて、全くありません。

ハッとして頭から手を離し、レオナの顔を伺うと、顔を赤くしていた。

 

「あの……頭を撫でてくれるのは、嬉しいですが、人が多いところでされると、恥ずかしいです。」

 

恥ずかしかっただけなら、良かった。

 

「ああ。すまない。これから気をつける。」

 

そして、俺たちは、何事もなく、屋敷の前にたどり着く。

 

「じゃあ、俺は部外者だから立ち去る。」

 

事前に自分で決めていた事を言う。

 

「そうですね。それでは、またどこかでお会いしましょう。」

 

「冒険者登録するなら、私もついていた方がいいから、どこかで待っといてくれ。」

 

「ああ。またな。」

 

そう言って、俺はこの街の探索をするのだった。

 

 

この街の城壁から察するにこの街は円形らしい。

中央に近づくほど、裕福な者が住んでいる。その周りが、主な主街区だ。

城門は四つで、東西南北に一つずつだ。そして、その城門の間の主街区とは違いそうなのは、貧民街なのだろうか。

その事を城門の上に乗って確認する。

どんな活気があっても、やっぱり、あるんだな。貧富の格差が。

まぁ、ひとまず飯だ。適当に露店で買い食いするか。

 

マグナの手には、トウモロコシ焼きみたいな物が握られていた。

それの味は、そのまんまトウモロコシだった。だが、ずっと、肉だけの生活を送っていたので、それが、かなり美味しく感じられた。

 

「おーい。お前、今から冒険者登録しに行くぞ。」

 

いきなりそんな事を言われたので振り向くと、ミコトがいた。

意外に早く終わったようだ。

そして、俺は新たな人生の第一歩に期待するのであった。




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