東方紅月録   作:黒薔薇ノ夢@吸血鬼好き

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もうすぐでソードアートオンラインの映画だよ!
楽しみでしょうがない。

遅れてすいません。

言い訳→
データが消えました。
三回も消されました。

ほんと、心折れそう。


いつかは過ぎる、分かってる。 Memories 7

 

 

~リリエラ視点~

 

 

 誰だって知っていることだろう。

 幸せがあれば悲しみがあること。

 苦しさの分、喜びがあること。

 

 …始まりには必ず終わりがあること。

 

 私は吸血鬼(ヴァンパイア)としてこの世に生を受けてから、

 たくさんの物を得た。

 そして、たくさんの物を失った。

 

 でも、ここまで進めたのは、大好きなレミリアお姉さま、フランお姉さま、

 ルリア、それに、死んでしまったお父様とお母様、

 いろんなことを教えてくれた執事やメイドさん、

 他にもいろんな人のおかげだと思う。

 

 え?今どこにいるんだって?

 それは一週間前にさかのぼります。

 

 

 

 

 ——一週間前から今に至るまで——

 

 今日もいつも通り、大図書館にやってきました。

 

 美鈴ももうすっかり館になじみ、メイド兼私の武術の先生。

 美鈴は、妖怪の一種らしいから、長生きするらしい。

 

 私も、生まれてからもう150年がたっていることに気が付いた。

 

 ちょうどさっき。

 

 まぁ、三十年目からは、

 起きる→みんなで朝食→大図書館で本漁り→昼食→美鈴の稽古

 →ティータイム→フランお姉さまの部屋(地下)で魔法の研究

 →晩ご飯→お風呂&読書しながらストレッチ→寝る

 

 をただひたすら繰り返してたからね、怖いわ。

 

 今夜は何かがありそうな予感をさせる紅い月。

 まぁ、私はいつも通り、本を読んでます。

 

 あれ?この本、スカーレット家の本だ。

 なになに?『双子の呪いについて』?

 えっと、

『双子は片方、又は双方が死ぬか、この呪いを解くしかない。

 死ぬまでの余命は、見た目が5歳を超えたときである。

 解くには、館から百年以上離れること、その間、家族の記憶を消すこと、

 自分の翼は魔法か何かで物理的に封印すること。』

 

 か。うん。

 え…?これ滅茶苦茶大切じゃん。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 ルリアが来ました。

 いつも通り…じゃないね。

 

「ルリィ、どうしたの?」

 

「どうしたもこうしたもないわ!門の前に人がいる!」

 

「……お姉さまにメッセージ送ったわ。」

 

「だから早すぎだよ!さ、大広間に行こう。」

 

 二人で全速力で館内を飛ぶ。

 メイドたちが驚いている。ごめんね。

 よし、ついた。

 最近は大図書館から大広間まで三分あれば余裕で行ける。

 

「お姉さま!」

 

「「話は聞いた(わよ)!」」

 

「「「「さぁ、行きましょう!」」」」

 

 今日はフランお姉さま、出てきてたみたい。

 やった、これでまたお話しできるね!

 

 お姉さまを追うように廊下を飛んでいく。

 

 あぁ、飛ぶのは楽しい。

 

 

 途中で美鈴にメッセージを飛ばしておく。

 じゃないと心配するからね、危ない危ない。

 

「とうちゃーく!」

 

「わーぉ、魔力やばいぞこれ、魔法使いだ!」

 

「「やった!」」

 

「ねえ、門開けるよ~」

 

「「いいよ~」」

 

 これ、いくらなんでも軽すぎ。ノリってこわいわ。

 

 ギギギギギ…

 

「あの、こちらが紅魔館であってますよね?」

 

「ええ、ご用は何でしょう?」

 

「私、パチュリー・ノーレッジというものです。

 こちらにたくさんの本や魔導書があると聞いて駆け付けた次第でして…」

 

 

「の、ノーレッジって、あの魔法使い一家じゃん!リリィ!」

 

「あ、あなたがリリエラさんですか?本、貸してください!」

 

「お姉さま、いいでしょうか?私、アレ全部読みましたし。」

 

 まぁ、開けない本とか、呪いがかかってる本以外だけど。

 

「「はあぁぁぁっ?!アレを全部とかどうかしてるわ!」」

 

「あははは…」

 

「いいわ、許可しましょう。

 それと、パチュリーさん、あなた、ここの館に住む気はない?」

 

「「はぁ?」」

 

 また無茶苦茶なお姉さまが…

 

「え!?いいの!?やった!」

 

 パチュリーさんも滅茶苦茶だったよ…。

 

 

「割り振りは何枠?メイド?魔法使い?」

 

 それなら、大図書館の司書がいいと思う。

 

「お姉さま、大図書館の司書はどうかしら?

 私はこの館の魔法使い兼主の妹だからね、いいと思うんだ。」

 

「あぁ、その手が!じゃなくて、それを考えていたのよ!

 パチュリー、あなたを我が館の大図書館の司書として迎えましょう!」

 

 今、絶対考えてなかった。流石かりちゅまお姉さま。

 

「ありがとう!それじゃあ、また明日の朝、ここに来ます。

 荷物をまとめてくるわ!

 あ、この館で魔法使える人はいるかしら?」

 

「私と、フランお姉さま。二人で研究とかしてるの。」

 

「あと、レミリアお姉さまは魔力あるけど、使えないよね~、リリィ!」

 

「そうね~フランお姉さま!」

 

「ちょっと二人!やめなさい~っ!」

 

「「え~……はい。」」

 

 お姉さまににらまれると背筋が凍る。

 

「とにかく、また明日、待ってますので、勝手に入ってきてください。

 あ、これ館内地図です。私は大図書館にいますので。」

 

「ありがとう、リリエラさん。私のことはパチュリーでいいわよ?」

 

「あ、はい、パチュリー。おやすみなさい。」

 

「「待ってますよ!」」

 

 

「ね、もうすぐ太陽上るよ?」

 

 パチュリーの後姿が見えなくなると同時に、

 みんなベットに向かった。

 

 …こんなところで死ぬわけにはいかない。

 

 

 

 ——2日目――

 

 目が覚めると、もう月が完全に上っていた。

 

「やっば!」

 

 ベットから飛び降り、クローゼットからブラウスとトップス、スカートを取り出す。

 パジャマを脱ぎ、ブラウス、スカート、トップスの順に着る。

 パジャマはベットに広げて置いておく。

 メイドさんが片付けやすいし、私も楽だから。

 

 そんなことはどうでもいい!靴下どこだ!

 あ、あったあった。はいて、靴、うん、オッケー?じゃない!

 ナイトキャップ忘れた!

 あ、魔導書も!

 

 …朝食に遅れてお姉さまとルリアに怒られました。

 食べ物の恨みは恐ろしいんですよ。

 

 てなわけで、()から忙しかったです。

 大図書館に歩いて行って、ひとつ気付いた。

 

「昨日散らかしっぱなしだったじゃん!」

 

 今から片づけを…終わりました。

 スカーレット家に関する情報の棚にしまうだけでした。

 

 次!

「フランお姉さまにメッセージ!」

 

『おはようございます、大図書館にいるのでぜひ来てください!

 そして魔法で手伝ってください。』

 

 よし、オッケー!

 

 というのを三秒で終わらせて、メイドさんに箒とはたき、雑巾をもらう。

 

 数分すると、お姉さまが来た。

 

「おーい、リリィー来たよ~?」

 

「お姉さま、お掃除手伝って!魔法のやつで!」

 

「お?魔法?やるやる!」

 

 と言って呪文を詠唱する。

 すると、床が一気に新品のようになった。

 

「おぉ!こんなにきれいになるとは!」

 

 あれれ?箒とか必要なかったね?

 

 いろんなものを綺麗にし終わって、ソファーに座って紅茶を飲んでいたら

 ルリアがやってきた。

 

「やっほー!わー、きれいになったねぇ、新品だぁ!」

 

 そういいながらいつものお花の図鑑を開いて見始めた。

 

「あ。このお花可愛い!今度はこっちにしようかな!

 あ、リリィとフランお姉さま、私明日ね、めーりんに

 お花の育て方教えてあげるんだよ!

 だから、私も勉強するから、邪魔しないでね!?

 あ、紅茶はもらうね~」

 

 なんかひどい。

 

 コンコン

 

「あ、どうぞ!」

 

「お邪魔しま…うわぁっ!めちゃくちゃすごい!キャー!」

 

 バタン

 

 あ、倒れた。

 

「ねぇ、お姉さま。」

 

「うん、逃げよう。」

 

 いやそうじゃなくて!

 

「一番近くの部屋に運びましょ。」

 

 確かメイドさんの部屋があった。

 

「あ、うん。」

 

「あ、二人ともちょっと待って!メイドさんの部屋は本棚ないよ!」

 

「「あ……」」

 

 と言っていると、レミリアお姉さまがやってきた。

 

「あ、お姉さまだ。何で来たの?」

 

「なにそれ!?ひどくない!?私呼ばれたんだけど!」

 

「あ、そう」

 

「う~!許さないわ!」

 

「あ、そう」

 

 これは…長引くかな。

 

 ほっといて風素を生成。

 パチュリーの下に設置して…

 

「バースト。」

 

 浮いたのを魔力の糸を使って、引っ張ってみる。

 

「あのさ、リリィ、リリィの部屋の隣に、確か空き部屋あったよね?」

 

 あ、そうだ。

 

「ありがと、ルリィ。それじゃあお姉さまたち止めといてね。」

 

「うん、またね」

 

 私は自分の隣の部屋に入り、きれいに整えられたベットにパチュリーを寝かせる。

 暇だし本棚の掃除でもするか。

 

 

 

 ん?なんだこれ。

 

 本棚をどかすと、床に魔法陣があった。

 

 掃除して、もう一度見てみると、魔法陣は部屋の中心を向いていた

 

 もしかしてと思い、反対側のクローゼットを開けると…

 

 BINGO!また魔法陣だ。

 

 部屋を見渡すと…天井にも。入口の真上だ。

 それともう一つ。窓のふちにあった。

 

 確か、魔法陣を魔力でリンクさせると…

 なんと。

 カーペットの下に隠し扉が現れた。

 

 明日開けてみようかな。

 

 

 ——3日目――

 

 今日は昨日見つけたところに行こうかと思ったけれど、

 双子の呪いを解くための儀式に必要な術式組み立てた。

 

 いるのは…

 

 ・記憶消去魔法→双子に関する情報を消す

 ・記憶捏造魔法→双子ではなくほかの者にすり替える

 ・時間変更魔法→双子の時間及びその他の物の時間を変える

 ・吸血鬼の弱点消去魔法→人間と共存するため

 ・力を封じる封印魔法→人間と同じになる。だが、もともとの能力は消えない

 

 らしいので、さくっと作りました。

 

(リリエラの日記より)

 

 

 ——4日目——

 

 フランお姉さまを呼んで、隠し扉を開けてみた。

 

「お?階段じゃん!」

 

 お姉さまに引っ張られながら階段を降りるとそこには部屋があった。

 

 祭壇と、いくつも並んだ石。

 

 祭壇には私が読むことのできない字が書かれている。

 この文字…どこかで…?

 

 あ、この前のスカーレット家の本だ。

 最後のページにこれと同じ文字が書いてあった。

 

 私は何らかの理由で大体どんな文字でも読める。

 しかもどんな言語でも聞き取れるし喋れる。

 

 …正直チートレベル。

 

 まぁ、祭壇がものすごく不気味です。

 

「何この窪み?指が入りそう!えいっ!」

 

 お姉さまが壁に見つけた窪みに指を突っ込むと…

 

 ごごごごご

 

 隠し扉が現れた。

 

「おぉ!凄い!」

 

「うわ、お姉さま、ここ暗い!」

 

「うん、行こ!」

 

 いや~やっぱりフランお姉さまは行動力ありすぎで怖い。

 

 階段をしばらく降りると不思議なドアがあった。

 

 ぎぃぃぃぃ

 

「はいろ~」

 

 …誰かいる。

 

『やぁ、はじめまして!呪いの番人の部屋へようこそ!』

 

「うん、帰ろうか。」

 

『え、ちょっと待って!ひどくない!?』

 

「あ、うん。」

 

『僕は呪いの番人!この部屋に来た人は君たちが生まれて初めてだよ!

 ま、死んでるけどね!あはは!何か聞きたいことある?』

 

「ねぇ、呪いの番人のくせに、やけに態度軽いんだけど…」

 

『あ、双子の子の片割れだね。それじゃあ君にはこれを。』

 

 そういって不思議な形の鍵を渡された。

 

「あ…『鍵を握る者』だ…」

 

 あ、そんなこと言ってたな、お父様。

 

『双子の儀式まではアト…3日。』

 

 なんか変な感覚…まるで魔法がかかったような…

 

「リリィ、双子の儀式って?」

 

「…夕食の後に説明いたします…」

 

「ん、わかった。」

 

 あ、この番人が魔法詠唱してた。

 オーラ見た感じ、転移系だね。

 

『さぁ、大広間へ…また会おう。』

 

 瞬きすると、そこはいつもの大広間だった。

 

 

「リリィ。」

 

「うん。分かってる」

 

 

 

 

「…というわけなのです。はい。」

 

「いきなりすぎてよくわからないわ…」

 

「リリィ、なんで黙ってたの!?」

 

 いや、聞かれなかったし。

 

「リリエラお嬢様…気づけなくてすいません…」

 

 美鈴はそんなに重く考えなくても…

 

 

「美鈴、どうせいつか戻ってくるんだよ?大丈夫だって。」

 

 フランお姉さまはやっぱり気楽すぎる。

 

「うわー!やっぱりスカーレット家は面白いわ!」

 

 パチュリーはにこにこしながらそう言った。

 

「ところで、みんな。もうすぐ太陽上るよ?」

 

 ルリアの言葉で、ハッとした。

 

「「「「「やばい—————っ!」

 

 自分の部屋に走り出す5人だった…

 

 

 ——5日目——

 

 今日は、お姉さまたちとお庭でランチを食べた。

 いつも通り、でもそれが一番だと思った。

(リリエラの日記より)

 

 

 ——6日目——

 

 しばらくできないと思われる魔法を研究した。

 フランお姉さまやパチュリーと。

 パチュリーは私たちの知らないことを知っていた。

 出来ればもう少し早く会いたかったなぁ…

(リリエラの日記より)

 

 

 ——そして、今。—―

 

 思えば、今週が今までで一番濃密だったなぁ。

 

 あの儀式部屋に、みんなが集まっている。

 

 

『さぁ、血をささげよ』

 

 あの番人さんの言葉に従う。

 

 祭壇にあるろうとのようなところに血を流し込む。

 

 すると、祭壇に書かれたもじが赤色で壁に浮かび上がった。

 

 

『呪いを解くのは貴方。呪いを知るのは私』

 

 そうか。この祭壇の字は、壁に浮かび上がらないと読めないのか。

 じゃあ、あの本の最後のページのは、鏡に映せばよかったのか?

 

 あ~あ。今更だなぁ…

 

 

『汝らの呪い、いつか消える。そして再びここに戻るだろう。』

 

 

「リリィ…ルリィ…私は待ってるわ。」

 

 あ、レミリアお姉さま泣いてる

 

「レミリアお姉さま、泣いた方が負けでしたよね?

 戻ってきたとき、プリン貰いますからね!」

 

「そうだよ~もらっちゃうよ~!」

 

「とか言いながらルリィも泣いてるし。」

 

 

「お嬢様ぁ…私は忘れるけど、忘れませんよぉ~」

 

「美鈴、言ってることが矛盾してる。」

 

 

「まぁ、また一緒に魔術の研究しましょうね?魔女の誓いよ?」

 

「えぇ、パチュリー。それまで待っててね?死んだら許さないわ。」

 

 

『消えよ、無慈悲な呪い。そして、新たな生を与えるのだ…』

 

 

「「またね、みんな。」」

 

「「「「待ってる(ます)、二人とも。」」」」

 

 

 まぶしい光が広がる。

 

 そして、

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …これが私が彼女(リリエラ・スカーレット)であった頃の。

 

 私の何百年も前の。

 

 大切で、忘れることのない。

 

 忘れることのできない、

 

 幼き頃の、記憶である。

 

 

 

 私たちの旅は、まだ、始まったばかりだ。




と、いうことで。
『記憶が語るもの』終わりです。

次回からは本編!


…今回、長いですね。

このあとがきも四回目…ハァ。

次回、2月9日、0時投稿()()

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(という露骨なコメ稼ぎ…)

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