東方紅月録   作:黒薔薇ノ夢@吸血鬼好き

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まぁ、ぼちぼち頑張ります。



鏡は正直であった。 Memories 3

 大広間にはたくさんの人が集まっていた。

 

 

 私たちに目線が集まる。

 

「皆様、静粛に!」

 お父様の声が響く。

 

 

 

「さぁ、お披露目いたしましょう!」

 そう私たちに告げて、

 お母様が一歩前に出る。

 

「わがスカーレット家に新たな家族が増えました!」

 

 フランお姉さまがこう言う。

「リリエラ、喋ってみて!」

 

 そうだった、忘れていた。

 

 呪いは解かれたはずだから喋れる、はずだ。

 フランお姉さまに、頷く。

 

 

 一度も喋ったことはないのに、

 何故か、喋り方を知っている。

 そんな気がする。

 

 

 もし呪いが解けてなかったら…?

 と考えたが、その考えを捨て、

 声を出してみる。

 

 

「あ…、ふらん、お姉さま?」

 ぱっとお姉さまの顔が明るくなる。

 

「レミリアお姉さま、リリエラが喋ったわ!」

 

 ルリアも同じようなことをしていたようだ。

「フラン、ルリアが動いたわよ!」

 

 二人は手を合わせて喜ぶ。

 

「レミリア、フラン、皆さんに挨拶を。」

「「はーい!」」

 

 

「リリエラ、喋れるかしら?」

 

「うん。お母様」

 

 

「ルリア、立てるか?」

 

「うん!お父様!」

 

 レミリアお姉さまが私とルリアを交互に見て、微笑みかけて前を向いた。

 

 

 フランお姉さまもレミリアお姉さまの真似をして前を向く。

 

「さぁ、二人とも。挨拶をして頂戴。」

 

 

「スカーレット家の長女、レミリア・スカーレットです。」

 

「スカーレット家の次女、フランドール・スカーレットです。」

 

 

 

「次はリリエラの番よ。」

 立ち上がり、前に一歩歩く。

 

 

 いろんな人が一気に私に注目する。

 物凄く緊張しますよ…

「こちらが…新たな家族。」

 

 

 何か月も前に教えてもらったお辞儀をする。

「スカーレット家の…三女。リリエラ・スカーレット、です。」

 

 あたりに拍手が響く。

 

「そしてもう一人。」

 拍手が急にやんだ。そして、ルリアの方に視線が集まる。

「スカーレット家の、四女、ルリア・スカーレットです。」

 

 ぎこちないお辞儀とともにそう伝える。

 

 拍手が響き渡った。

 

 

「本日は、お集り頂き、ありがとうございます。」

 

「わずかですが、食事を用意いたしましたので、ごゆっくりしていってください」

 

 

 

 メイドに案内された席に座る。

 隣にはこっちを向くルリア。

 

「…リリエラ、お姉さま。」

 何だろう、違う気がする。

 同じ日に生まれ、同じ日に認められたんだ。

 

「ルリア、初めまして。私は、あなたのお姉さんではない。

 見た目的にはそうかもしれないけど、私はお姉さまとは呼ばれたくないわ。

 双子だもの。」

 

「ふた…ご?でも…」

 

「いいの。だから、“お姉さま”はいらないでしょ?」

 

 少し何か考えたようだったが、顔をあげてにこっとした。

 

「うん、リリエラ。今日はパーティ、楽しみましょう?」

 

「うん。」

 

「ちょっと!二人とも仲いいのはいいけど、

 私と、レミリアお姉さまにもかまってよね?!」

 

「ちょっ、フラン、なんで私も!?」

 

「だってそうでしょ?」

 

「う~。」

 

 もちろん、せっかくのお姉さまだ。甘えないわけにはいかない。

 

「うん!フランお姉さま!」

 

 

「わー!リリエラ可愛い!あ、そうだ、これあげるね!」

 

 そういって渡されたのは、

 ローズタンドル色の生地に、黒いリボンのついた、ナイトキャップ。

 リボンには白の線が二本入っている。

 

「ルリアにはこれ!」

 サマーシャワー色の生地に、黒いリボン。

 リボンには同じ白の線が二本。

 

 

「あ、ずるいわフラン!私が渡したかったのに!」

 レミリアお姉さまがぷくっと頬を膨らませる。

 

 

「フランお姉さま、ありがとう!」

 

 ルリアの純粋な笑顔、癒しだな…

「お姉さま、ルリア、私は先に部屋に戻るね。」

 

 部屋に一人で戻る。出窓のカーテンを開けると。

 広がる星空、緋色の月。雨は上がっていた。

 

 パーティでお客様に頂いた[正直の手鏡]に自身を写してみると、

 そこには…

 満面の笑顔の、私がいた…。

 

 なんてことない毎日。のはずだった。

 

 

 パーティが終わると、お客様たちが帰っていった。

 

 もうすぐ日の出だ。忌々しい太陽というものを見る前に、

 寝てしまおう。

 

 そうだ、ルリアをお姉さまの部屋から引っ張ってこよう。

 お疲れなのに迷惑をかけるのは申し訳ない。

 

 それと、お父様とお母様に挨拶してこなくちゃ。

 

 先にルリアだ。

 

 

「お姉さま~、ルリアを連れて帰りたいのだけども…」

 

「え、もうそんな時間!?そっか、また明日ね!」

 レミリアお姉さまとフランお姉さまが残念そうな顔をする。

 

「うん、レミリアお姉さま、フランお姉さま、おやすみなさい!」

「おやすみなさいー」

「「リリエラ、ルリア、おやすみ~」」

 

 

 次はお父様とお母様のところ。

 

「リリエラ、お父様とお母様のところに行きましょう!」

 

「えぇ、今行く途中よ!」

 

「今日は楽しかった!初めて“声”でリリエラと喋れたもの!」

 

 今まではずっとつまらなかったけれど、これからが楽しみだ。

「私も楽しかったわ!ルリアと手がつなげたもの!」

 

 顔を合わせて、ふふっと笑う。

 

 あぁ、こんな日がずっと続けばいいのに。

 

 お父様の部屋のドアを開こうとすると…

 中から話し声が聞こえてきた。

 

 何の話だろう?

 

「やっぱり、あの二人の力は強すぎる。」

 

「でも、そこまでしないといけないかしら?」

 

「あの二人がレミリアを傷つけたら?フランドールを暴走させてしまったら?」

 

 もう一人はお母様のようだ。

 

「リリエラ、どうしたのー?」

 

「お母様とお話ししているようだから、少し待ちましょ?」

 

「うん…。」

 

 お父様の言う二人は、きっと私とルリアのこと。

 

「100年後の今日、その期限がくる。」

 100年後…?

 

「えぇ。するしかないのかしら、ね。」

 

「しょうがないだろう。これが吸血鬼の掟だ。

 …『双子はどちらかが死ぬ』

 私たちには呪いの解き方がわからないからな。」

 

 え…?し…ぬ?

 

「リリエラ、もうそろそろいいでしょ~?」

「え、うん、いいよ。入ろう、ノックしてね。」

 

 

 コンコン

 

「どなたです?」

 

「リリエラです。」

 

「ルリアですー」

 

「お前たち、何しに来たんだ?」

 

「おやすみなさいしにきたの。」

 

「今日は今までで一番幸せな日!」

 

 

 

 ルリアはそういった。

 でも…あんなこときいちゃったら…

 

 …いや、私だけの秘密にしよう。

 せっかくの幸せを、壊したくはない。

 

 

「お父様ー、おやすみなさい」

「お母様、おやすみなさい、」

 

「「おやすみ、ふたりとも。」」

 

 

 ルリアにおやすみと言い、

 部屋に戻る。

 

 

 

 もうすぐ月が沈もうとしていた。

 

 月は何もないかのように平然と、いつものようにすましていた。

 

 だが…私はあれが、あの月が。

 〝偽物”のような気がしたのだった…




続きが気になる!
物凄く気になる!


あ、そうだ、私が書くんだった。


かりちゅま溢れるレミリアお姉さま&
みんな大好きフランお姉さまとおソロの
ZUN帽登場です。

ローズタンドル→紫みたいな色
サマーシャワー→薄い水色

次回、1月31日、0時投稿予定。

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