瑠璃⇒自分が変だと気付く(今更)
~瑠璃視点~
最近、璃々が変だ。
いや、もともとおかしなところもあったし、
何考えてるかわからないし、
十分変なんだろうけど。
いつもと違う。
朝早起きになったし、今までそんなに食べなかった肉類を
普通の人並みに食べるようになった。
これは私的に嬉しい。
でも逆に、家に帰ると図書館に出かけたり、書斎に籠ったりしていて、
体育大好きな璃々らしくない。
他にも、ぼーっとしているというより
思い詰めている感じがしたり。
今日だってそう。ずる休みしている。
本人には大事ならずるでもないと思う……けど。
「ま、気にしたら負けか!」
「おい瑠璃、いきなりどうした。授業中だぞ」
隣の席の青空君に言われるまで気づかなかったわ。
「はっ!忘れてた!」
ごめん、訂正する。変なのは私だった。
~璃々視点~
今日は学校を休んだ。休んであの占いの館に行った。
おばあさんに聞きたいことがあったからだ。
「こんにちは、お邪魔します」
「あらあら、お客さんね、ちょっと待っててね」
あれ?おばあさんではなくお姉さんが出てきた。
「お客さんですよ~」
「なんだい、よんだか?おぉ、璃々じゃないか」
奥の方からポンチョのようなものを
羽織ったおばあさんが出てきた。
「一つ聞きたいことがあって。」
「そうか、それなら入ってくれ、寒いからな」
「ありがとうございます」
この前とは違う部屋に入った。
あの部屋が占いをする客間なのだろう、
この部屋は私の本家にある客間と少し似ている。
「話は分かっておる。お主の探し人……いや、
人と言っていいのかわからんが。
その探している者がどこにいるのか、じゃろう?」
「ええ、話が早くて助かります。」
「その者たちは現在、この国にいる。
正しくは、この国の中だが、この国ではないところだ。」
「ん?この国であり、この国ではない?」
まるでなぞなぞですな……
「あぁ、空間が異なるのだ。結界がはられているようでな。」
結界と言われた瞬間、答えが出てきた。
「まさか、ほんとに存在するのですか?!」
「あぁ、存在するとも。」
「「幻想郷は。」」
外部からの接触は不可能に近く、内部からの接触も0とは言えないが、
非常に難しい。
「なんだ、これもまた分かっていたのか」
「いいえ、分かっていたというよりは候補には入れていたけれども
確率的には0に等しいものでしたから」
「ということは、璃々、お主もまた」
この人には嘘は通じない。だから言うしかないのだ。
「えぇ、妖怪のような存在です。」
「ほぅ、それなら教えてやろう。博麗神社という山奥にある寂れていて誰も近づかない神社に行くといい。きっと向こうの世界に入れるだろう。こっちに戻るのは難しいかもしれないがな。」
そうか、やっぱりそうなのか。
そもそも幻想郷は忘れられないと行けないらしいからなぁ…
「ありがとうございます、決行するのはいつがいいでしょうか……?」
「そうだな、明日から冬休みだろう?」
「はい、1月9日までです」
「それならクリスマスになる前に。」
「23まで、ですね」
「あぁ、できるだけ早い方がいいだろう」
「それでは、私は用意をしたいと思いますのでここで失礼いたします。
今までお世話になりました」
「あぁ、だがきっといつかまた会える。」
「さようなら、ありがとうございます。」
「自分らしくあれ、自分は他の誰かには演じられないのだから」
「はい」
「無理なものは無理なのだ、それは気をつけろ」
「はい」
私は部屋を出る。
もう悩む必要はないのだから。
もうやるべきことは見えている。
家に着くと私はやるべきことをすべてやった。
持っていくものをさっとボストンバックに入れる。
私は紫、璃々が水色。
服やらなんやらと即戦力になりそうな武器。
「さぁ、準備はできたね。」
~瑠璃視点~
ごめんやっぱり訂正する。
「璃々は変だ」
今日は学校に行かなかっただけじゃなくて、私が家に帰ると、
旅行の準備みたいなのをしていたから、明らかに変。
でも、悩み事は吹っ切れたって感じがする。
朝とは全然違う、どこかさわやかさを感じる。
「どうしたの瑠璃。おやすみ、はやく部屋に行きなよ」
「あ、うん、璃々おやすみ!」
そう元気に言うと、璃々の顔が少し暗くなる。
そうみえたが気のせいだったのだろう、ぱっと明るいいつもの笑顔になった。
部屋に入って窓際に行く。
窓の横にあるドレッサーの引き出しを開けると
ネックレスが出てきた。
生まれた時から持っているというネックレス。
三日月の形をしている。璃々がこのペアを持っているけど、
それも三日月だけど、真ん中と外側がないと満月にならない。
誰がこのもう二つのパーツを持っているのだろうか?
それは今はわからないけれど、それがわかるまでこれは大切にしたい
というより、大切にしないといけない気がする。
私はネックレスをしまい、ベットに入る。
「おやすみ、お月さま」
その晩、月は全てのものに始まりを告げた。
これからの少女たちの未来を見た占い師にも。
まだ何も知らぬ双子の少女の片割れにも。
結末は何パターンもあるのだ。
大切なのは結末ではない、
結末にたどり着くまでだと。
はるか遠くで誰かがそう言った。
……そうしてまた新たな未来が始まった。
はい、ここから幻想郷に行きます。
の前に、紅魔館編挟みます。