ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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18時投稿を目前にしないと話が思いつかないという無能っぷり。
万死に値する!
そしてキラ×ラクス派閥の皆様ごめんなさいな回です。

18時といえばFGOの☆4サーヴァント交換券の交換開始・・・やってる人は何にするんでしょうね?


33話:熾烈の岸辺にて

オーブ近海、オノゴロ沖にて。

現在、アークエンジェルはジブラルタルで再編されたザラ隊に熾烈な攻撃を受けていた。ブリッジでは、ミリアリアの悲痛な叫びが響いている。

 

「敵MS四機が後方から迫っています!」

 

何もこの程度なら今までもあった事なのだが、地球の大気で足の落ちているアークエンジェルはうまく回避行動がとれないため対空砲火が攻略されると命取りだった。その上、前方にこれ以上進み過ぎればオーブの防衛軍と鉢合わせることになる。

 

「少尉!曹長!もう出られるか!」

 

艦長も状況が分かっているため、パイロットたちを急かす。

 

『僕と曹長は出られます!』

 

キラが二人分の状況を説明し、画面の端に頷く刹那が映った。次は大尉に連絡する。

 

「大尉、準備はよろしいですか!」

『OKだ!』

 

流石に何時ものおちゃらけた雰囲気はなく、連合軍トップエースにふさわしい引きしまった顔をしていた。三人の顔を見て、何故か艦長には勝機が見えた気がした。

まだ作戦の立案もMSの発進も済んでいないのにこれではな。そう心の中で呟いて、頭を戦闘用に切り替える。

 

「ハウ二等兵!MS及びスカイグラスパーの発進急げ!」

「エールストライク、及びジン・マリンカスタム、発進どうぞ!」

 

待ってましたとばかりに、ミリアリアは二人を発進させる。

 

「続いて、スカイグラスパー、発進どうぞ!」

 

最後の発進を見届け、艦長は前方を見つめなおした。発進した全ての機体がUターンして後方へ流れていくが、それよりも差し迫った問題は前方に並ぶオーブ防衛軍だった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

『キラ、お前はアークエンジェルの上を守れ』

 

確かに、現在戦場にいるMSの中で唯一単機での空戦能力を持っているストライクが防衛に着くのは当然だ。

 

『俺は下を守る』

 

何でも、艦長の話によると艦の下部に幾つか機銃を破壊されただけで安全地帯となってしまう場所があるらしい。恐らくそこを守るということなのだろうが、簡単に言ってくれるよと苦笑した。敵に弱点が知られているとは限らないが、当然ソラン・イブラヒムの乗るジンは最高戦力だし、敵は何度も戦っているのだからそれを知らないわけがない。

つまり、今の発言は囮になると言っているのも同然だ。

僕もああ言えるようにならなくちゃな。

来たぞ、と警告を発してくれるムウさんに「はい」と返事をして、着地していたアークエンジェルの甲板から離陸する。

ゆっくりと浮き上がって静止したストライクを見た敵機が止まった。

これは、驚いているんだろうか?

僕としては、まだ飛べるようになっていないことに驚くくらいだ。

そして、足の止まった敵機四つのうち、バスターの砲塔がいきなり爆発した。今のは、下からの砲撃、つまりソランさんの放った一撃というわけだ。相変わらずの射撃精度に舌を巻くが、僕もここでじっとしているわけにはいかない。

ペダルを一気にべた踏みしてストライクを急加速させる。こちらへグゥルを動かして接近しようとしていたデュエルが出鼻をくじかれ、ストライクが体ごと回して放った左腕の斬撃に足を切り飛ばされて海に落ちていった。そのまま体を回して、シールドで二発、サーベルで一発のビームを防ぐ。射撃元はイージスだ。ここで戦果を挙げさせる訳にはいかないので、そのままシールドチャージでイージスにシールドを押し込んだ。

接触の瞬間にグゥルを足で下向きに蹴り飛ばし、イージスも海に落下していく。

最後はブリッツだけなのだが、どうにも姿が見えない。周囲から音がしない辺り、ミラージュコロイドで姿を消しているわけではないようだ。

次の瞬間、遥か下の方から激しい金属の衝突音が聞こえてきたことから末路だけは理解した。

 

『俺の出番は?』

 

今までに散々活躍してるじゃないですか。という返しに、そうだけどさー、と力の無い返しが帰ってくる。戦闘後とはとても思えない弛緩した空気が流れかけるが、艦長から通信が入った。

 

『早々に帰投してください。今後についてのブリーフィングがあります』

 

中々にいいタイミングだ。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

オーブ、モルゲンレーテ隠しドック内にて。

 

「つまり、オーブと再び技術協力をすると?」

「概ねそういう認識でかまわない。違うのは、少尉とラミアス技術大尉、マードック曹長の技術交流、曹長に戦闘データを提供してもらうことと、短期間ではあるが教官を担当してもらうことだ」

 

艦長に呼び出されて何事かとは思ったが、オーブ軍がこちらを迎え入れたのはそういう交渉の結果らしい。そして、今までやってきたことから、俺の戦闘データの収集と教官への登用は予想される範疇内だ。

戦闘データについては、扱われると不味いほどの動きはしていないため問題無い。教官への登用についても同様だ。

 

「問題ない」

「そうか、今回の件は曹長に拒否権は一応あるが?」

「一度決めたことをフイにすれば色々問題があるだろう」

「そう言ってもらえると助かる」

 

最も有効な取引の札だったとはいえ、許可を取らずに交渉材料にしたことに負い目があるらしい。少なくとも、先ほどの暗い感情からの反転の様子を見れば言葉に嘘は無いようだ。

艦長は厳正な軍人なのだが、人間らしさを捨てきっていない部分がある。そういった部分は人間としては大変好ましい。

 

「それで、今から諸君は呼び出されている。すぐに向かって欲しい。案内は彼女が努めてくれるそうだ」

 

見れば、空いた扉の前にはカガリが立っていた。

 

「そのー・・・」

 

大変居づらい様子だが、これは自身がある程度重要な位置に就いていたことを黙っていたことに対する負い目ということだろうか。キラからは恐らくはその様子に対する疑問が立ち昇っているらしい困惑が流れ出ている。

ムウがキラを小突いて、カガリに聞こえないように小声で耳元で囁いた。残念ながらELS融合型イノベイターの俺には聞こえた。

 

「こんな機密の塊みたいな施設の案内が出来るってことは?」

 

キラは手で小堤でも打ちそうなはっとした顔をした。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

耳打ちしたキラが何を言うかと思えば、俯いてもじもじしてる嬢ちゃんの手を握って

 

「大丈夫、ちょっとびっくりしたけど、カガリはカガリでしょ?」

 

あーあ、顔真っ赤じゃねぇか。なんだあの爽やかな笑顔。ありゃ天然だな。若いねぇ・・・俺もマリューをデートにでも誘うかねぇ・・・

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

謎の高揚した空気が流れていたが、とりあえず頭を千切れそうなほどに振ったカガリが案内を開始した。

幾らか廊下を歩き、エレベータを降りると・・・

 

「モビルスーツ?」

「そ!ここはオーブ国防の要なのよ!」

 

ガラスで区切られた前方には、三機のMSが並んでいた。そして、管制をしているであろうこちら側には亜麻色の髪の女性が立っていた。

 

「始めまして、エリカ・シモンズです。モルゲンレーテ兵器開発部の主任をしています」

 

キラと握手を交わした後、こちらにも伸ばしてきた手を握る。

 

「へえ、本当にコーディネーターじゃないのね!」

 

キラが驚いた顔をしていると、シモンズ主任は自慢げな顔で説明してくれた。

 

「コーディネーターは、基本的にジョージグレンの遺伝子技術を流用して遺伝子改良されるから、共通する部分があるのよ。そのうちの一つが手。指の長さと掌の比率、肉の付き方、などなど、実は握手でわかっちゃう人はわかっちゃうのよー」

「いや、主任だけですよ。ていうか本題に戻ってください」

 

まとめると、この人物は握手でコーディネーターを見分ける特殊技能を持っているらしい。

 

「そうだったわ!ありがとうアストナージくん!」

 

先ほどの話も気にならないではないが、今は本題を聞こう。

 

「まずは見てもらった方が早いわね。ジュリ、マユラ、アサギ。やって頂戴!」

 

目の前の三機のモビルスーツがのろのろと動き始めた。どうやら武術の型のようなものをやっているらしいが・・・

 

「相変わらず遅いな・・・いや、多少マシにはなったのか?」

「ええ、20%ほどは・・・」

 

スピーカーからはブーイングが聞こえてくるが、刹那から見てもこれは酷い。恐らくティエレンでも3対1で勝てるだろう。

 

「キラ君、アナタにはこの3機を国を守れるくらいまで強くしてほしいの」

 

キラのソフトウェア技術は、おそらく世界でも群を抜いているレベルだ。確かに適材だろう。

 

「そしてソランさん、アナタには戦闘データの提供をお願いしてたわよね」

「ああ」

「ちょっとこっちの設計図を見て頂戴」

 

設計図がホログラムとしてテーブル上に投影され、情報を読み込む内に思わず言葉を失った。エクシアに迫るレベルの人間型の柔軟なフレーム構造。軽量化が必要と思しい部分に施された材質の緩やかな変更により、人間の骨格のような弾性もある。

 

「まさに芸術品、だな」

「そうでしょそうでしょ!分かってくれると思ってたわ~」

 

実際、フレームの完成度だけを見れば今までのMSより100年先を言っていると言ってもいいレベルだ。

 

「まあ、こんなに良いフレームもOSがアレじゃあ宝の持ち腐れってわけよで、キラ君、OSを」

「これ使えますか?」

「どれどれ?・・・・」

 

いきなりシモンズ主任の脳量子波が途切れた。現実でも指だけが動いて端末をスクロールするのみで、そこ以外の部分が全く動いていない。

 

「完璧じゃない」

 

シモンズ主任がキラの肩をがっしりと掴んでぐいぐいと前後に揺らしながら質問攻めにしている。先ほどのアストナージという青年が止めに入り・・・

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

落ち着いた主任から、技術交流の日程の大幅な更新が発表された。あれほど綿密に組まれていたスケジュールをあっという間に改変してしまうあたり、大変有能な人材ではあるらしい。

そして、オーブの代表が訪ねて来た時には流石に驚いた。幾つか会話を交わした後、国を守る力をくれたことへの感謝だ、と、一機のM1アストレイが譲られることになり、今度はラミアス大尉が壊れた。

モルゲンレーテ技術部からささやかな感謝の印に小さなパーティーも開催された。

パーティーは最初は落ち着いていたのだが、大量の酒を持ったムウが参加してきた辺りから泥沼の様相を呈し始めた。

 

まずキラが何故か酔っぱらったカガリに絡まれていた。最初は言葉でのみだったが、最後には物理的に。キラは脳量子波の様子からくっつかれた数瞬後に意識を失ったらしい。

 

次に、酔ったムウとラミアス大尉がどこかへ消えた。以前ソレスタルビーイングでもアレルヤがマリー・パーファシーと消えたことがあったが、ロックオンに聞いてやるなと言われたことを思い出す。

 

アストレイのテストパイロットの三人は、何故か俺と一緒に酒を飲んでいるうちに先に倒れてしまった。ELSがアルコールを分解するため、俺は酔わないのだが。

 

シモンズ主任は、爛々とした目で俺が受領したアストレイの改修案を書き連ね続けている。新開発のインビジブルチタニウム装甲とはどういう事だろうか。

 

比較的まともな様子の艦長はため息をつき、アストナージは普段からこのくらい仕事をやってくれとため息をついていた。

 

パーティーは、ある程度の人間が減ったところでお開きとなり、残った面々が人間を部屋に担ぎ込んだり部屋の掃除をしたりとあっという間に片付けを終わらせてしまった。

流石にカガリがキラを離さないからと言って同じ部屋に放り込むのは不味いだろうと止めたのだが、ちゃんと説明してやってくれと任されてしまった。まあそれは構わないのだが・・・

アークエンジェルの自室に戻る途中で、トールの悲鳴とミリアリアの笑い声が聞こえてきたのだが、時々あることなので無視する。

 

部屋にある数少ない私物の、ボトルに入った花を眺めていた。

あの時フェルトにもらった花と同じもので、北アフリカにいた時に買ったものだった。

もしかすると、この花には単なる贈り物以上の意味があったのだろうか?確認が出来るわけではないが、今の俺にはそう思えてならなかった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

案の定キラの部屋は大騒ぎとなり、朝から昨夜の出来事を説明したところカガリが倒れた。




ムウ:扉をくぐる前に力尽きて寝た
マリュー:自室のベッドまで行って力尽きて寝た

つまり何もありませんでした。

そして刹那用アストレイ・・・
以前番外編で出したものから更に改造されます。

ちなみに作者はFGOの引換券、賢王ギルガメッシュ陛下と交換する予定。
ウルク市民なので。

9/26追記
リフターをグゥルに変更

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