無自覚な吸血鬼の王   作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神

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霊夢とレミリア視点なんですが、霊夢視点がメインになっております。
......と言うか九割九分九厘が霊夢視点です。


【裏話】暴れ巫女とカリスマ吸血鬼

それは、私が博麗の巫女と弾幕で戦っている時だった。

私は少し疲れが見えてきたが相手はまだまだ余裕そうね。

でもまだまだこれからよ。そう考えていた時だった。

 

『博麗の巫女はぁ、ここかぁああああ!!!』

 

ドタン!!と扉が開かれると共に何かが博麗の巫女に飛びついた。

それは吐きそうになる程の狂気と殺意を放っていた。

恐らくは殆どが博麗の巫女に集中している筈なのに、私でもそう感じ取れる程の濃い狂気。

一体なんだ?何が起こっているんだ?しっかりとよく見てみると......。

 

「ろ....ロミオ?貴方、どうしたの!?」

 

大人しくしていた筈のロミオだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「な、なによあんた!?」

 

急に飛び込んできた奴の攻撃をお祓い棒で受け止める。

キシキシとお祓い棒が悲鳴を上げる。込めた霊力が震える。

『浮いている』筈の私にも伝わる濁った狂気と鋭い意思。

それが、果てしなく不快感を煽った。

 

「何よ.....この感じ.....!?レミリア!!こいつなによ!!」

 

レミリアに叫ぶ。

私の『勘』だが、レミリアの知り合いなのだろう。

 

「ろ....ロミオ?貴方、どうしたの!?」

 

どうやらロミオと言うらしい。

ただこの不快な感じを浴び続けるのは我慢の限界だった。

お祓い棒で抑えていた手を上手く逸らし、脇腹に霊力を込めた蹴りを入れて一旦距離を取る。

レミリアに近づきアレのことを少し聞く。

 

「レミリア、あれなんなの?」

 

「あの人は私の同居人よ......普段はおちついているのだけれど......」

 

この間にも、アレからのプレッシャーが私の中にまで響いてくる。

こういう精神などに響く能力に対しては強い筈の私の能力を貫通してくる。

 

「『浮いてる』筈なのに、なんなのよこの重圧!!」

 

私がレミリアを問いただしていると、ロミオと言う(恐らくは)吸血鬼が声をかけてくる。

 

『どうした博麗の巫女......。動きが鈍いじゃあないかぁ......。それとも何か、体を動かすのは得意ではないか?よろしい!!!それなら君達が得意だという弾幕ごっこでもしようじゃないか!!なに安心してくれたまえ。ルールは弁えている。要するに撃って避けて当てれば良いのだろう?』

 

勝手に納得して勝手に捲し立ててくる。

発言と同時に弾幕を張る準備をする吸血鬼ロミオ。

これはもしかすると、レミリアと敵だなんだと言ってられる状況ではないのかもしれない。そうしている間にも目の前の吸血鬼は妖力の球を作り出している。

 

『さぁ始めよう!!ほらほらどうした、月のせいで狂いそうなんだ.....!!さっさと始めんとここら一帯を消し飛ばしかねんぞ博麗の巫女ぉ!!!!』

 

「ロミオ......仕方ないわね。博麗の巫女、ここは共闘よ。彼が相手じゃ2人でも勝てはしないだろうけど、彼が落ち着くまで耐えるのよ!!」

 

どうやらレミリアも同じ考えだった様で、共闘を持ちかけてきた。

だがレミリアと私を合わせても勝てないって.....全力を出していた訳じゃないのだけれどそれでもそれなりに力は出していた筈だ。

 

「勝てないって......どんだけ化物なのよこいつ.......」

 

しかし、呆れる暇もないようだった。

 

『こちらから行くぞぉ!!』

 

吸血鬼が弾幕を張ってきた。

黒っぽい紫の妖力弾をそれなりの密度で張ってくる。

しかし余裕はあるのでできるだけ疲労しないようにスレスレで避けて.......。

 

「博麗の巫女、絶対に当たっちゃダメよ!!」

 

「なんでよ?!」

 

スレスレで避けようとした時にそう言われた。

 

「見てわからないの!?すり潰されるわよ!?」

 

どうやらスレスレで回避することは出来ないみたいね.....。

一個一個わざわざ迂回するように避けるとなると使う体力は大幅に増える。

やっかいな弾ね.....!!

 

「もうとっとと片付けるわよ!!

『霊符』夢想封印!!」

 

スペルカードを切ってごり押すことにした。

追従する大きな弾幕を前に、少しばかり厄介そうな顔をする。

 

『なかなかどうして厄介な物を作るものだな.....』

 

「「あんたのが厄介よ!!!」」

 

レミリアと声が合ってしまった。

多分誰でもこう思うのだろう。

夢想封印が当たりそうになったその時。

 

───『魔剣』レーヴァテイン

 

黒い細身の剣が吸血鬼の手元に現れる。

それで夢想封印を切りつけると.......バキバキと空気に押しつぶされるようにして消されてしまった。

どうやら切りつけた物に何らかの圧力を与える様だ。夢想封印が消されるとは思わなかったけれど。

 

「これは.........霧?」

 

同時に剣から黒い霧の様な物が出てきた。

 

「博麗の巫女!!早く払いなさい!!!」

 

「え......?」

 

言われた時はもう、遅かった。

 

 

 

 

 

見える景色が変わり、神社の前に立っていた。

何が起こったのかわからなかった。

 

後ろでなにか音がした。振り向こうとすると何かが足に当たる。

見てみると、見慣れた白黒の知り合いが......魔理沙が私の足の下に居た。

 

『何故か、首より上は無かった』

 

「あ、」

 

脳の理解が間に合わず声が漏れる。

見てみると、魔理沙だけじゃない。

藍に橙、霖之助さんに湖の妖精等..........私の知り合い全てが足の下に積み重なっていた。

 

「あぁ、」

 

魔理沙の様に首がないだけじゃない。

綺麗なままだったり、頭半分が消えてたり、逆に首以外無かったり.......。

様々な姿だった。

 

後ろから足音が聞こえる。

頭と耳に残る様に響いてくる。

心が軋む音が聞こえる。

ゆっくりと現状が理解出来て来ると更に軋むのが加速してくる。

足音が近づく度に心にヒビが入り、割れてくる。

首が無意識に動き、視界がクリアになってくる。

 

 

振り返ると、魔理沙の首を持った吸血鬼が居た。

 

 

それはどんどん足を速めてくる。

憎らしげに魔理沙の首が私を見てくる。

それを見せつけるが如く掲げながら吸血鬼が歩を進める。

 

瞬きをすると、『眼』がない魔理沙と目が合った。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」

「止めて!!来ないでぇぇえええ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「落ち着きなさい!!」

 

レミリアの声で景色が戻る。

それでもあの光景が視界に浮かぶ。

 

「ひっ!?止めて!!」

 

レミリアが伸ばした手を弾く。

体の震えが収まらず、涙が止まらない。

 

止めて、来ないで、やだ、やだ、やだやだやだやだやだぁ!!!

あ、あ、あぁ、うぁ、いいい!!!!ア゙ア゙ア゙□#〇くfねうあhd!!!!!!

 

 

 

そこで意識を失った。

起きたら、吸血鬼が土下座をしていた。




霊夢ちゃん、SAN値は減ってけど啓蒙は増えたんじゃないかな()
こういう狂った描写苦手だと気付きました.......。

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