亜人ちゃんとカタルシス   作:社畜系ホタテ

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ニーハオ亜人ちゃん

 

 サキュバス、バンパイア、デュランはんなどなど……。この世の中には「亜人」と呼ばれる特別な性質を持つ人間がいるらしい。

 

 俺の幼馴染もこの「亜人」に含まれており、バンパイア(ズバット)の性質を持っているらしい。好感度あげたら進化するかなと思い、最近頻繁にトマトジュースを上げているのは俺だけの秘密である。

 

 それはさておき、現在、俺の部屋で勉強会が開催されている。まぁ、勉強会と言っても参加者は俺とひかりだけで、実質勉強しているのはひかりだけの状況である。

 

 というのも、そもそも今回の勉強会が開催された理由というのが、この前にやったテストで赤点を取ってしまい、その再テストがあるためだとか。他にも先生に嫌われたくないからー、とよくわからん理由も言っていた気がするが、ぶっちゃけ要領を得なかったのでその理由は華麗にスルーしておく。

 

「というか学校違う俺に教えを請うよりひまりに聞いた方がいいだろ」

 

 なんでも、そのテストでひまりは学年2位という素晴らしい成績を収めているみたい。あいつすげーな。

 

「だって、ひまりには迷惑かけたくないし」

「俺には迷惑をかけて良いと申すか」

 

 迷惑かけたくないというよりも、説教されたくないというのが本音ではないのだろうか。

 

「それにカズだって勉強できるじゃん」

「有名進学校の成績上位者です。ぶい」

 

 Vサインをひかりに向け、自分の中で一番むかつくようなドヤ顔を披露。若干イラッて擬音が聞こえてきたが、これすらスルー。頬を引くつかせながらひかりは呟いた。

 

「昔から思ってたけど、カズが勉強できるってなんかむかつく」

「今まで一緒になったクラスメイト達によく言われてます」

「頭良いのに亜人については知らなかったけどね」

「頭良いけどなんでもは知らないわよ。知ってることだけ」

 

 ひかりが、頭良いのに無駄に強調してきたので、俺もそれ以上に強調してやる。ぶっちゃけ俺の勉強法なんて教科書をパラパラ眺めて大事だと思ったことを頑張って記憶するだけしかない。まぁ、その眺めた内容の中から興味を持ったワードだけをもっと深く突っ込んで勉強することもあるが、基本これだけだ。

 

 だから、それ以外の、それも一般常識とかについては、てんで駄目だったり。俺の知識は、教科書の内容と興味を持ったこと、そして、漫画やゲームの知識だけ。もしかしたら大半が漫画やゲームだったりするかも。

 

 というわけで、別に進学校に通ってても勉強できるというよりはただただ記憶力がいいだけだと俺は思っていたり。

 

「じゃあ、知っていることだけ知っているカズに質問です! どうすれば簡単にテストでいい点数とれますか?」

 

 テスト範囲を全て覚えて記憶しろ、と言おうと思ったが、仕方ない。幼馴染のためだとっておきの方法を教えてやろうではないか。

 

「まず、六角鉛筆を用意してだな」

「それってただの運ゲーじゃん!」

「ばっか、お前。鉛筆に菅原道真を宿らせばいけるいける」

「恐山のイタコでも鉛筆に降霊は無理じゃないかな」

 

 現代のイタコではレベルが足りなかったみたいだ。

 

「もう! もっとまともな方法ってないの?」

「繰り返しやって覚えるのが一番なんじゃね」

 

 覚え方って人それぞれだけど、勉強方法で一番聞くのが、繰り返しやること。まぁ、自分の勉強方法を知ることが勉強の真の意味だと思うので、そこはやっぱり自分で地道にいろいろ試していかなければならないんじゃないかな。

 

「結果は努力して勝ち取るものだ!」

「クラース乙」

 

 ひかりは簡単に勉強ができる方法などないとわかったのかため息一つ。

 

「わかった。じゃあここはバンパイアの特有の山勘で!」

 

 ひかりは、教科書をいったん閉じ、バッと開いた。そんなひかりを見ながらポツリと漏らす。

 

「たった一つの過ちがすべてを滅ぼすことに繋がることかも知れん」

「クラトス乙。いやいや、大丈夫だって! 私、バンパイアの勘と女の勘、両方の勘を備えたハイブリットだから」

 

 ひかりは、ピキン! キュルキュルリン! とニュータイプ的なあの音を口で表現していた。そんな幼馴染を見て、こいつアホだな、と思う。

 

「つーか、赤点の再テストって同じところをやるんじゃねーの」

「……ッ!?」

 

 盲点だったみたいだ。そんな今気づいたという表情になった幼馴染を見て、こいつアホだわ、と思った。

 

 その後、悲惨すぎて可哀そうになってくるひかりの答案とこれまた可哀そうな幼馴染を見比べながら重要なポイントを解説してやる。

 

「やめて! 勉強ってだけで精神削るのにそんな目で私を見ないで!」

「お前の悲惨な答案用紙に俺のSAN値が削れている件」

 

 お前本当に高校生か。

 

「つーか、お前要領はいいんだから常日頃から復習しておけよ。中学のときはそれでなんとかなってたんだしさ」

 

 中学時代は、三年間同じクラスで授業内容も同じだったこともあり、30分くらい復習という名の勉強をしていたこともあった。高校に上がってからは、授業内容が違うということもあり、自然とやらなくなったが。

 

 ちなみに30分というのは活動限界。これを超えると二人して何かと遊んでしまう。まぁ、それでも復習していたこともあり、いい点数とは言わないまでも赤点だけは回避できてた。

 

 俺の言葉に対してひかりは、なんか顔を赤くしてゴニョゴニョ言っていた。何言っているか聞こえないが、とりあえず把握。

 

「おっけー。俺のバクオングのニックネーム、ひかりって変えとくわ」

「なんでよ!?」

 

 違った。

 じゃあ、なんだよ。

 

「だ、だから、……勉強に時間割いちゃったらカズと遊ぶ時間なくなっちゃうでしょ。……ただでさえ違う学校なんだし」

「ふぁっきん」

「なんでっ!?」

 

 う、うるせー。なんかびっくりして無意識に口から出ただけだ。と、特に意味はないっつーの、ばーかばーか。

 

「そ、そのせいで赤点の補習&再テストに追われて遊ぶ時間がなくなったら元も子もなくね」

「う、うるさいなー……もー」

 

 ひかりは、さらに顔を赤らめ口を尖らせる。そんな幼馴染をみて、ため息を溢す。

 

「仕方ないな。これからテスト近くなったら勉強会だからな。テスト範囲内から重要な部分を抽出して勉強すれば赤点ぐらいは回避できんだろ」

「……いいの?」

 

 仕方なしと頷く。まぁ、別に俺は頭良いから。家で予習復習とかいらんし。べ、べつに、夕方からひかりと遊ぶために日中学校で必死に勉強してるわけじゃねーし。俺が頭良いだけだし。

 

 ……あー、顔あちー。

 

「とりあえず、今回の再テストがんばれ」

「うん」

 

 そういって勉強を再開。

 

 後日、勉強した甲斐あって再テストを乗り越えたそうな。よかったよかった。

 


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