俺が大洗以外の学校に行くのはまちがっている? 作:@ぽちタマ@
New! プロローグ 雪上の鬼ごっこ
中学生の春休み。
俺はその期間を利用し、大洗の学園艦から転校すべく次の学園艦を決めるために各地を転々としていた。
その際、偶然というべきか、昔の知り合いに遭遇した。
そいつは、俺が小学生の頃に忽然と行方を眩ませた親戚だった。
なぜこんなところに居るのかと問われて答えたのが運のつき、そいつの「なら、私たちの学校に来たらいい。たぶん、戦車にのれるだろうさ」と言う甘言に乗ってしまった俺をぶん殴りたい。
そのせいでこんな目にあうと知っていたなら全力で拒否していだろう。
だが、これはゲームではなくリアルだ。セーブ機能などないし、リセットもできない。なら、俺はこの現状をどうにかするかを考えるのが先決だ。
「くそっ! どこに行った!? まだ近くにいるはずだ、探しだして同志カチューシャの前に叩き出さないと、我々がシベリア送りだぞ!!」
「りょ、了解であります!」
「しかしあの男は、妙に影が薄いというか、存在感がないというか、ステルス機能に富んでおり、なかなかに見つかりません!」
「そんな言い訳が同志カチューシャに通用すると思うな! 草の根……いや、雪の根をかぎ分けてでも見つけるんだ!」
そんな話し声が聴こえ、そのまま俺とはいる方向とは逆の方に集団は走っていく。
なんで俺はこんな寒空で決死の鬼ごっこをやっているんだろうか?
俺の現在地は北緯の高い場所を好んでるプラウダの学園艦にいる。
ここにきた目的は戦車をもらい受けるという簡単な話だという。いや、だった。現在は過去形だ。
あいつめ、もともとプラウダからまともにもらい受けるつもりなんてさらさらなかったに違いない。
そして俺が追われている原因はわかっている。完全に俺は囮、もとい陽動として使われている。
その間にあいつは首尾よく戦車をかっさらうつもりなのだろう。
というか、試合前に俺をあの小さい暴君に会わせたのだって、俺が相手の地雷を踏み抜くだろうと確信していたからか。
いやだってしょうがないだろ! あんな小さななりをしていたら思わず「小学生?」と言ってしまうのは不可抗力だろ!
お陰で相手は俺を捕虜にして、シベリア送り25ルーブルなるものさせられると言われ、俺の危機感知能力が警報を鳴らしたのでその場を逃走、現在に至る。
逃げてる際にちらっと聴こえたのだが、シベリア送り25ルーブルとは、25日間、木造の校舎で補習を受けるものらしい(もちろん、暖房はない模様)。
ほかにも「永久凍土で穴堀10ルーブル」や「ツンドラで強制労働30ルーブル」など、嫌なバリエーションがあるらしい(だぶん、ルーブルは日数)。
寒空のしたで補習を受けるのも嫌だが、働くのなんてもっと嫌だ。どうせ社会に出れば嫌でも働かないといけなくなるのに、こんな極寒の地でタダ働きとか俺のポリシーに反する。働いたら敗けだと思うを地でいく男、比企谷 八幡。
そんなどうでもいいことを常に考えていないと現状、平常心を保てそうにない。
相手の包囲網は刻一刻と狭まってきている。なんとか自前のステルスヒッキーのお陰でなんとか逃げ切れているがそれも時間の問題だろう。
自分の影の薄さに感謝する日が来るとは思わなかったが。
ふぅっと安心して一呼吸ついた瞬間肩を捕まれる。
やばっ! 見つかったか?
俺は恐る恐る振り向くと……
「―――八幡、私だよ」
あいつがいた。俺を継続高校に引きずり込んだ張本人、今はミカと呼ばれている俺の元親戚。
「……一言いっていいか?」
「なんだい?」
「戦車はちゃんと
俺がそういうと、あいつは一瞬驚いた顔をして、そしてにこり笑う。
「ああ、相手から
「ならいい。文句は帰ってから言わせてもらうからな」
「……それは恐い。お手柔らかに頼むよ」
「ミカ! なんでか知らないけどプラウダのひとたちが怒ってるから早く逃げるよ!」
「なんでだろうね? 虫の居所でも悪かったのかもしれないね」
もう突っ込む気力もない。雪空の下で駆け回るとか小学生以来だぞ。俺が戦車のるために体力つけてなかったら途中でバテて、確実にシベリア送りにされていた。雪のなかで走るのまじで疲れた。