俺が大洗以外の学校に行くのはまちがっている? 作:@ぽちタマ@
プロローグ 執事道、始めます!
聖グロリアーナ女学院。いわゆる1つのお嬢様学校。
その学校には一人の男子生徒がいる。名前は、比企谷 八幡。年齢、16歳。職業―――執事。
これは冗談でもなんでもなく、八幡はこの学校の一生徒であり、そして、執事でもあった。一応、ここの生徒ではあるが、ウェイト的には執事の方が割合が高い。ちゃんと給料もでている。学生にして社畜である。……いや、それは今は置いておこう。それより今はやることがある。
八幡は思考を止めて、執事モードに切り替える。なぜ切り替えるかは……説明は不要だろう。どうせすぐにわかることだ。
コンコン、と扉をノックするが反応がない。部屋の主はまだ寝ているようだ。まあ、八幡がここに来たのは目的があり、そのためには部屋に入らないといけない。
だから、部屋の鍵を開け、中に入る。不法侵入ではない。事前にちゃんと鍵をもらっていただけだよ?若さゆえのリビドーの暴走とかそんなのではないのだ。
そんなどうでもいいことを考えながら中に入り、部屋のカーテンを開け、この部屋の主の着替えを用意し終える。
「ダージリン様。朝ですよ?起きてください」
「ぅうん……」
ダージリンの、妙に艶かしい声が聞こえるが、八幡はそんなものは気にせず、一向に起きようとしないダージリンの布団をひっぺがす。
「……少し、乱暴でなくって?」
若干どころか過分に不服そうな顔でダージリンはそう言ってくる。
「起きているのに寝たフリをされている方にはちょうどいいんじゃないですか?」
一応言っておくと、ダージリンと八幡は主従関係である。一時的なものとはいえ、彼はダージリンに仕えている。
だから、部屋の鍵をもってもいるし、朝に起こしに来ているのだ。
「最初の頃のあなたは顔をよく真っ赤にしていたのに……」
ダージリンの寝起きなど妹の顔ほど……は言い過ぎかもしれないが、それでもこの一年間、ほとんど見てきたと言ってもいいだろう。
ダージリンが言うように、八幡も最初は不馴れというかどぎまぎしていたのだが、今は執事モードに切り替えることによって乗り越えている。
「ダージリン様のおかげでしょうね」
皮肉たっぷりにそう言う。
「むぅ……」
もとはと言えば、ダージリンが悪いと言えば悪いのだろう。八幡の初々しい反応がつい楽しくなり、過剰なスキンシップが多かったせいか、八幡はこれしきのことでは動揺しなくなったのだ。
妹の下着姿を見てもなにも感じないのと一緒で、もはやそのレベルである。
まぁ、それはあくまで執事モードの話であるが……
そんなもの、ダージリンの知るよしもなく。八幡の鉄壁さにより磨きをかけてしまったのは、もはや今になっては後の祭である。
「とりあえず、着替えてください」
「そうね。じゃあ……」
しゅるりと、ダージリンはそのまま寝間着を脱ぎ下着姿になるが、八幡はなに食わぬ顔で聖グロの制服をダージリンに渡す。
やはり、少しやりすぎだったのかしら?特に反応がない八幡を見て、ダージリンはそんなことを思う。
何度も言うが、執事モードだからこそ大丈夫なだけであって、八幡も健全な男子高校生である。別に女子に興味ないとかそっちの気があるとかそういうのではないのであしからず。
そもそも、何故に八幡が聖グロで執事をやっているかを説明するには、一年以上前に遡らないといけない。
きっかけは、小町の何気ない一言だった。
「お兄ちゃん。小町、お嬢様学校に行ってみたい!」
そんなマイシスターのよくわからない戯言が始まりだった。
「ん?あぁ、聖グロにでも行ったらどうだ?あそこ、戦車道やってただろ?お前なら行けるんじゃね?」
「え?そう?照れるなぁ、えへへ」
いや、照れる要素とかなかっただろ今の。
「あ、そうだ。お兄ちゃんも行けたら行く?」
この妹は馬鹿なのだろうか?前から馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、まさかここまでとは……
女子校に男がいけるわけないだろうに。
「そうなー。行けるんなら行くんじゃないかー」
もはや、生返事を通り越して棒読み。
「ホント!?じゃあ、頼んでみるね!」
そう、適当に返事をしたのがいけなかった。
数週間後。
「お兄ちゃん!聖グロに入学して大丈夫だってよ!!」
ホワイ?この妹は何をいってるんだ?
小町も馬鹿だったが、どうやら、聖グロも相当なものであったと言えよう。
小町は前々からいろいろな学校から入学の誘いが来ていたのは知っていた。聖グロもその一つだ。
小町は自身の入学を条件に、俺を入学をさせることができないかと聖グロに頼んだそうな。
それが受理されたと……
いやいや馬鹿なのだろうか?どんだけ小町を入学させたいんだよ。正気の沙汰とは思えない所業である。
しかもだ。
「お兄ちゃんはなんだっけ?ひつじ?だっけ?その見習い候補生として入ってもらうって」
それを言うなら執事だろうが……と、心のなかで突っ込みを入れることさえ叶わない。
「いや、小町?」
あれ冗談だから、今すぐに取り消してきてもらえ、と言おうとしたら……
「これで一緒に戦車乗れるね!」
妹のそんな眩しい笑顔を見せられたらなにも言えなかった。
このお馬鹿な妹は、つまり俺のために行動していくれていたらしい。
「あと、もう入学の判子押しちゃってるから。お兄ちゃんが入学しない場合、違約金?発生するって」
もちろん、お兄ちゃんが行かないなら小町も入学しないからね、と小町は呑気に言っている。
まじかよ……退路が完全になくなってしまった。
そんなこんなで俺は、聖グロリアーナ女学院で執事をやることになったのだ。
俺、執事道、始めます!
うーむ。まだ書き方になれませんね。びみょーなちぐはぐ感があるような?
というか、なれるのかな?わかりませんが、頑張っていきます。
黒森峰編は一旦終わっただけなので、ある程度他の学校も書き終えたら、更新しますよー。