「もう1機いるぞ!!」
いち早く気付いたレグナイトですら、既にガンイージの射程範囲に入った時だった。
「うわあぁぁ!!」
ラング隊の内の1機が、マヘリア機にビームライフルを向けるが………
「遅いんだよ!!」
ガンイージの放ったビームが、いち早くラングに直撃した。
数分のうちに4機のモビルスーツを失い、レグナイトの部隊は混乱に拍車がかかると思われた。
しかし………
「慌てるな………数はこちらが上なんだ!!私を含む4機はガンダム・タイプを、他の4機は緑のヤツを叩け!!」
レグナイトの指示で、的確に部隊が動き出す。
「ちっ!!少しは時間がかかると思ったが、もう立て直しやがった!!マヘリアさんよ、持ちこたえてくれよっ!!」
ラングの統制のとれた動きに、今度はレジア達が防戦に回り始めていた。
レグナイト機を中心にした連携攻撃は、トライバードの機動性を持ってしても簡単に回避しきれるものではない。
「この赤いラング、出来るな!!だがっ!!」
レジアはビームシールドでラングの猛攻を防ぎ、一瞬ビームが途切れた瞬間を狙ってトライバードを加速させる。
その加速に、ラングのパイロットは対応しきれない。
ガシュ!!
ビームサーベルから発生する粒子が、的確にラングのコクピットを貫く!!
「うりゃあぁぁ!!」
レジアは屍のようになったラングを、トライバードに狙いを定める3機目掛けて蹴りつけた。
「これでっ!!」
蹴っ飛ばされたラングに、トライバードから放たれたビームが直撃する!!
核融合爆発に巻き込まれたレグナイト隊は、一瞬トライバードの姿を見失う。
しかし、その一瞬でトライバードはマヘリア機の援護に回っていた。
「マヘリアさん!!無事かっ??」
「なんとかっ!!」
宇宙であっても、ガンイージは連邦の宇宙用主力モビルスーツ[ジャベリン]より機動性は上である。
しかし、それでもラング4機に囲まれては手も足も出ない。
ビームライフルを牽制に使い、ビームシールドを巧みに操り、マヘリアは必死にガンイージを守っていた。
「よく無事でいてくれた!!」
レジアの叫びと共に、トライバードの構えたビームライフルからビームが閃光の如く発射され、ラングの胸を焼き払う。
「よし!!助かったわ!!」
マヘリア機も、一瞬の隙を付いて攻勢に転じる。
左肩に装備されたマルチランチャーが飛び出し、ラングの背部に直撃し爆発を起こした。
「オレは、悪夢を見ているのか……2機のモビルスーツに、こうも好きにやらせるとは!」
(これだけ強力なモビルスーツが出てくるのだ。月にリガ・ミリティアのモビルスーツ・ファクトリーがあるのは間違いないな………しかし、月はザンスカールに対して否定的な態度を崩していない。強引にいくより、この2機を確実に破壊・捕獲した方が得策か………)
レグナイトは叫びながら、頭は冷静に状況を整理していた。
そして、後方に控える艦隊に支援を要請する指示を出す。
その間にもレジアとマヘリアは絶妙な連携で、ラング2機を堕としていた。
「あと4機!!」
レグナイトのラングに迫ってくるトライバードをビームライフルで牽制しながら、ラング部隊は後方の艦隊に向けて後退を開始した。
レグナイトの指示で少しずつ月から離れているラング部隊に、レジア達は気付かない。
その為、レジア達も自然と月から離されていた。