機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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アメリアへの旅立ち2

「後は、ニコル達の無事を祈るばかりだな」

 

 ミリティアン・ヴァヴの艦橋に戻ったレジアは、シノーペが飛んでいった方向を眺める。

 

「とりあえず、無事にアメリアに侵入出来るかよね??今度補充されるパイロットが、うまい具合にシノーペを傷つけてくれると、リアリティが増すんだけどねー」

 

 マヘリアも、宇宙空間を眺めながら呟く。

 

「新任のパイロットか…………腕は確かなんだろ??」

 

「そう…………聞いてますけど…………当たり所が悪かったら、シノーペが墜ちちゃうし…………少し心配ですね」

 

 ヘレンの問いに、クレナが答える。

 

 今回のアメリア侵入作戦は、ニコル達が乗るシノーペをリガ・ミリティアのモビルスーツに襲わせて、うまく損傷させてザンスカールを欺く事が出来るかにかかっていた。

 

 パイロットを少年と女性の組み合わせにしたのも、相手の警戒心を緩くさせる為もある。

 

 逃げ回るシノーペのコクピットに当てず、ギリギリ航行可能な程度に傷つけられるかが問題であり、それにはリガ・ミリティアのパイロットの腕が重要だ。

 

「墜とされる心配より、当てられない可能性を考えた方がいいんじゃねーか??ニコルにしてもケイトにしても、奴らにマジで逃げられたら、私でも当てれる気しねーぞ」

 

 その言葉に、その場が一瞬静まり返る。

 

「やっぱり、マヘリアさんとかレジアに行ってもらった方が良かったかな??急に不安になってきちゃった………」

 

「俺達が出て、敵に捕まったらニコル達との関係がバレる。顔見知りじゃない方が、何かあった時に都合がいい。それに、リガ・ミリティアでも指折りのパイロット達なんだろ??信じよう」

 

 ミューラの不安そうな顔を見て、レジアは少し笑顔を向けた。

 

「リースティーアになら、安心して任せられたんだがな………ところで、連邦の医療班は大丈夫なんだろうな??」

 

「ええ、ミリティアン・ヴァヴには最新の医療設備が整ってるけど、それを扱える人材がいない…………でも、連邦から派遣された人員のおかげで、リースティーアも助かりそうだって!!」

 

 ミューラの言葉に、ヘレンは安堵の表情を浮かべる。

 

「ニコルなら、射撃主が下手でも上手く自分の機体に当てるんじゃない??私達は私達で、モビルスーツの整備しとかなきゃ、次に襲われたらアウトだよ!!」

 

 マヘリアの言葉で、各々持ち場に向けて動き出した。

 

 

「さーて、そろそろ、襲われる地点だな。ここからアメリア・コロニーの間で損傷して、うまく敵さんに拾ってもらうって事だな。いい感じで当ててくれよ!!」

 

 ニコルはモニターを見ながら、真剣な表情になる。

 

「来た!!ニコル!!全速でアメリアに突っ込むよ!!うまく演技するんだ!!」

 

 モニターを見ながら、ケイトが叫ぶ。

 

 シノーペに向かって、2機のガンイージが迫って来た。

 

 そのガンイージから逃げるように、シノーペがバーニアを吹かす。

 

「どの当たりで被弾すりゃいいんだ??アメリア・コロニーで捕獲される位置で当たらなきゃ………」

 

 高速で逃げるシノーペの後方から、ビームが飛んで来る。

 

 そのビームを避けながら、ニコルは考えていた。

 

「なかなか、高精度の射撃をしてくる!!ニコル、真面目に回避しないとヤバイぞ!!」

 

「わーってるよ!!いい腕だけど…………レジア程じゃない!!これなら上手く被弾出来る!!」

 

 ニコルはシノーペを操りながら、アメリア・コロニーとの距離を測っていた…………

 


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