機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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新たなるスーツ!!トライバード・アサルト!!

 

「ぐわっ!!」

 

「きゃあぁぁ!!」 

 

 シークレット・ワンのモビルスーツ・デッキは大きな衝撃で揺れ、レジアとミューラはバランスを崩した。

 

「シークレット・ワンにラングと…………天道虫が取り付いたわ!!マヘリア達は何をやってるの??」

 

「マヘリアさんも、ヘレンさんも…………皆頑張ってる!!くそっ!!トライバードの換装は、まだなのか??」

 

 バランスを整えたミューラとレジアは、外の様子が分かるモニターを見る。

 

 戦っているのはガンイージと、ジェムズガン・ツインテール…………他の友軍機はほぼ見えない。

 

「ニコルもまだ戻って来ない!!マイも皆も…………オレは全てを失ってしまうのか…………」

 

 唇を噛み締めながら、悔しそうな瞳でモニターを見つめるレジア。

 

 マイと…………皆の無事を祈るしか出来ない自分の立場が、歯痒かった。

 

 ブォーッ!!ブォーッ!!

 

 そんなレジアの感情を逆なでするように、シークレット・ワンの艦内に、けたたましい警告音が鳴り響く。

 

「今度は…………何??」

 

「最悪だ……………白い羽根付き…………コロニーから出て来た…………」

 

 コロニーから飛び出したアーシィのマグナ・マーレイが、一直線にシークレット・ワンに向かって来る。 

 

「もう…………限界だ!!今の状態で、トライバードを出す!!ここで墜とされたら……………全てが終わりだ!!」

 

「仕方ないか…………ロメロさん、作業状況を教えて!!」

 

 トライバードに向けて跳ぶレジアの後ろから、ミューラが1人のメカニックに声をかけた。

 

「一応、出せますがね…………武装のチェックは、何もやってませんよ!!シェイクダウン出来ないのは、仕方ないにしても…………あと5分ぐらいあれば、全部のチェックが終わるんですがね…………」

 

 80近い老人メカニックが、ミューラに答える。

 

「5分も待っている余裕はない!!このまま行く!!」

 

 レジアは乗り慣れたトライバード・ガンダムのコクピットに身体を滑り込ませ、起動シークエンスに入った。

 

「最近の若者は、せっかちだな……………まぁ作業は完璧の筈だが…………折角の黄金のパーツを、甲冑のように格好よくしたかったんじゃが…………」

 

「えっ??何ですか??」

 

 最後の方の言葉が聞き取れず、聞き返すミューラをロメロは手で制してから、レジアが収まったトライバードのコクピットをノックする。

 

「レジアくん。今回のトライバードは、以前とは比べものにならんぐらい、機動性と攻撃能力が上がっとる。最初は力をセーブして、少しずつ上げていくんだ。焦りは禁物だぞ」

 

「シェイクダウン無しですからね…………了解しています。戦いながら、少しづつ馴染ませていきますよ」

 

 焦っていても、トライバードに乗り込んで落ち着いた様子のレジアに、ミューラとロメロは安心した。

 

「頼むぞ…………トライバード。皆を…………そしてマイを救う為に、もう一度力を貸してくれ…………」

 

 トライバード・ガンダムのコクピットで一瞬だけ瞳を閉じて、レジアは集中力を高める。

 

「トライバード・ガンダム出撃させます!!モビルスーツ・デッキ開放!!」

 

 ミューラが無線で、指示を送る。

 

「了解!!レジア、トライバードの仕上がりは8割程度って聞いているわ…………ザンスカールのモビルスーツを追っ払って、皆を助けるだけでいい。勝ちきる必要は無いわよ」 

 

「大丈夫、ニーナさん。無理はしない。皆を助けて、シークレット・ワンが逃げる時間を作る。それだけで、充分だ!!」 

 

 レジアの声に応えるように、トライバード・ガンダムのデュアルアイに光が灯った。

 

「レジア、未完成の機体で申し訳ないけど、エースの力、期待させてもらうわよ!!」

 

 艦長のスフィアからも、激が飛ぶ。

 

「レジア、出撃準備OKよ。出たら直ぐに敵機がいるから、気をつけて!!」

 

「よし…………オレとお前なら、何でも出来るよな…………」

 

 管制官であるニーナの声を聞きながら、レジアは1人言のように呟く。

 

 そして、自らの目に力を込める!!

 

「ガンダム・トライバード・アサルト!!レジア・アグナールで行きます!!」

 

 レジアは叫ぶと、トライバード・アサルトは宇宙空間に飛び出す。

 

 出た瞬間に、ビームを2発…………ラングに向けて放つ。

 

 その2発が、それぞれのラングの身体に突き刺さり、爆発する。

 

 その爆発の中から、黄金に輝くモビルスーツが現れた。

 

 白き装甲に取り付けられた黄金のパーツが、光に反射して輝いている。

 

 その輝きの中、トライバード・アサルトは肩口から頭が少し出ている状態の兵器を半回転させ腰に固定させると、射撃体勢に入った。

 

「ヴェスバーを使う!!」

 

 ヴェスバー…………可変速ビームライフル

 

 ジェネレーターに直結されたこのビーム兵器は、ビームのスピードを変えられる。

 

 トライバード・アサルトの腰に固定された2門のヴェズバーから、閃光のようなビームをマヘリアのガンイージに取り付いているゾロアットに向けて放つ。

 

 そのビームは、細く速く…………いとも容易くゾロアットのスパイクシールドを貫通した。

 

 そして、2機のゾロアットは何も出来ずに爆発する。

 

「トライバード……………レジアさん!!」 

 

 ボロボロになったガンイージのコクピットで、マヘリアが叫ぶ。

 

「皆…………今まで、よく堪えてくれた…………あと、もう人踏ん張り…………頑張ってくれ!!」

 

 レジアは叫んだ。


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