「うおおおおおぉぉぉ!!」
ニコルはウォーバードのバーニアを最大に噴かして、マグナ・マーレイに飛び込む。
信じられない程の加速に一瞬躊躇したアーシィだったが、すぐにビームサーベルでニコル機に対応する。
ウォーバードのビームサーベルと、マグナ・マーレイのビームサーベルが激突してスパークを起こす。
「アーシィさんっ!!ザンスカールが普通じゃないって…………分かるだろっ!!母親の為だって………それに手を貸すのは、おかしいよっ!!」
「なら、連邦は普通なのか??地球で私腹を肥やし、コロニーを真面目に統治してこなかった連邦の惰性が、今のザンスカールを生んだのよ!!母は……………その被害者なのっ!!」
マグナ・マーレイは無理矢理ウォーバードを引き離すと、リフレクタービット目掛けて拡散ビームを放つ。
反射しながら全方位で襲いかかるビームを、ウォーバードは躱し、ビームシールドで受け止め、そして加速しリフレクター・ビットの森を駆け抜ける!!
「凄い…………これが、ニュータイプの力…………バランスの悪い機体で、ここまで…………」
ニコルにマイの救出を依頼する為にモニターを見たミューラは、その事を一瞬忘れてしまう程だった。
「だあぁぁぁぁ!!」
再接近したウォーバードが、ビームサーベルでマグナ・マーレイに斬りかかる!!
「言っても分からないならっ!!」
紙一重でビームサーベルを避けたマグナ・マーレイは、リフレクター・ビットを展開する。
今度はリフレクター・ビットが、直接ウォーバードに襲いかかった。
そこに拡散ビームも追加され、ウォーバードを追い詰める!!
「なんとぉーーー!!」
辛うじて躱したニコルだが、再びマグナ・マーレイとの距離が開く。
その時、ミューラから通信が入った。
「ニコル!!シークレット・ワン…………私達の戦艦が発進したわ。もう、コロニーの中を守る必要は無いわよ」
「了解!!羽根つきを倒したら、すぐに宇宙に向かうよ!!」
そんなニコルの言葉に、ミューラは首を横に振る。
「ニコル……………プロシュエールがスパイをしていて…………そのゴタゴタで、マイが宇宙空間に投げ出されたの。事態は一刻を争うわ!!ミノフスキー・ドライブなら、まだ間に合う!!」
「なっ……………んな事言ったって……………てか、プロシュエールがスパイ??一体、何が起きてんだ??」
頭が混乱するニコルに、拡散ビームが襲う!!
「のわっ!!考える余裕も無い!!」
辛うじて拡散ビームを躱したニコルだったが、その背後に置かれたリフレクター・ビットによって、そのビームは背後から再びウォーバードを襲った。
「うわっと!!こんな状態で、宇宙まで出れるかよっ!!背を向けたら墜とされるよ!!」
高い起動性を誇るウォーバードでも、マグナ・マーレイの攻撃を紙一重で躱している状況である。
そこに…………1機のジェムズガンが飛んで来た。
「ニコル!!オレが囮になる!!お前は宇宙にっ!!」
ビームライフルからビームを放つジェムズガンから聞こえて来た声…………
「ゲルダさんっ!!なんで出て来た??親子で殺し合っちゃ駄目だっ!!」
「親子だからこそ…………だ。ニコル、お前は宇宙に行け!!幼なじみが危険なんだろ??」
マグナ・マーレイは、ジェムズガンから放たれるビームを軽々と躱す。
「ジェムズガン1機じゃ……………自殺するようなモンだよ!!」
「そうだな…………だから、1度だけ力を貸してくれ!!オレを娘の元に!!」
その言葉を聞いたニコルは、直ぐに反応した。
ジェムズガンを隠すように前に出たウォーバードは、マグナ・マーレイの攻撃を自分に集中させる。
そして、マグナ・マーレイの懐に飛び込む!!
「アーシイさんっ!!1度親子で、しっかり話をして!!」
「何??」
混乱するアーシィのマグナ・マーレイに、ゲルダの乗るジェムズガンが喰いついた。
「アーシィ、オレだ!!聞こえるな??」
「なっ…………お父さん…………どうして…………」
お肌の触れ合い回線…………ジェムズガンとマグナ・マーレイは、縺れるように地面に降りていった……………