機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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ニュータイプの力3

 「ぐっ!!ニコル、迂闊に飛び込むな!!」

 

 マグナ・マーレイに蹴られてバランスを失うトライバード・ガンダムを、絶妙な操作で立ち直らせたレジアは、モニター上でガンスナイパーの動きを見る。

 

 リフレクター・ビットが展開する、その中を…………トップ・ファイターにボトム・ファイターを守らせるように飛行させながら、ニコルはマグナ・マーレイに接近していく。

 

 「特攻などと!!通用するかっ!!」

 

 距離をとりながら拡散ビームを放つ、マグナ・マーレイ。

 

 リフレクター・ビットで多角的な動きをするビームが、トップ・ファイターに突き刺さっていく……………

 

 しかしボトム・ファイターは、バランスを立て直したトライバード・ガンダムがビーム・シールドでフォローした事もあり、無傷でリフレクター・ビットの森を抜ける。

 

 「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 破壊されたトップ・ファイターの破片に、ボトム・ファイターが絶妙な角度でバルカンを当てると、その破片はマグナ・マーレイに向けて飛んでいく!!

 

 「なっ…………こんな攻撃をっ!!」

 

 咄嗟にマグナ・マーレイのマニュピレーターで、迫り来るトップ・ファイターの破片を弾いた。

 

 その一瞬の隙……………その一瞬で、トライバード・ガンダムはマグナ・マーレイとの距離を詰めていく。

 

 「くっ!!速い!!連携も相変わらず…………マグナ・マーレイでも押さえきれないなんてっ!!」

 

 破片を弾いた瞬間に、ビームサーベルを構えたトライバード・ガンダムが突然目の前に現れて、アーシィは戦慄を覚える。

 

 それでも、アーシィはニュータイプであり、マグナ・マーレイはニュータイプ専用機だ。

 

 トライバード・ガンダムのビームサーベルの一振りを、左肩の装甲表面を焼くだけで躱しきる。

 

 「レジアの攻撃をっ!!こいつの反応速度は、異常だぜっ!!」

 

 トライバード・ガンダムの隙を突かれないよう、ニコルはボトム・ファイターで牽制のバルカンを放つ…………

 

 アーシィは接近するトップ・ファイターのバルカンを躱した瞬間、奇妙な感覚を再び感じた。

 

(なんだ??この戦闘機から伝わってくる感覚は??何度も何度も………気分が悪い!!)

 

(まただ…………一体、この感覚…………何なんだ!!)

 

 アーシィとニコルは、意識を繋がれるような感覚に気分が悪くなり、モビルスーツの操作が緩慢になる。

 

「動きが鈍くなった??今ならっ!!」

 

 レジアは、トライバード・ガンダムをマグナ・マーレイに接近させ、再びビームサーベルを振るう!!

 

「しまった!!」

 

 トライバード・ガンダムのビームサーベルが、今度はマグナ・マーレイの右肩を削る。

 

 装甲が多少は熔けるが、致命傷には程遠い。

 

「こいつ………ガンダムの性能か、パイロットの腕か分からないが…………やはり強い!!だが、リフレクター・ビットには、こういう使い方もある!!」

 

 アーシィは叫ぶと、ビームサーベルを振って隙の出来たトライバード・ガンダムの残った左足にリフレクター・ビットを直接ぶつけて破壊した。

 

「ぐわっ!!このビット…………直接攻撃も出来るのかっ!!」

 

 両足を失ったトライバードだが、ミノフスキーフライトを搭載している為、空中での姿勢制御が可能だ。

 

 そのままのバランスを保ち、再びマグナ・マーレイに近付く。

 

「しつこい!!コクピットを叩かないと駄目かっ!!」

 

 マグナ・マーレイは再び距離をとると、トライバード・ガンダムの前方にリフレクター・ビットを展開する。

 

「ここでレジアを墜とさせる訳にはいかねぇ!!またマイに怒られちまう!!」

 

 ニコルはボトム・ファイターでマグナ・マーレイ相手に、牽制攻撃を行う。

 

「貴様ら!!いい加減に墜ちろっ!!」

 

 サイコミュ兵器を使うアーシィは、疲労がピークになろうとしていた。

 

 そんな疲れを吹き飛ばすように叫びながら、マグナ・マーレイの肩に装備された拡散ビームを放つ!!

 

 リフレクター・ビットによって角度を変えるビームは、ボトム・ファイターとトライバード・ガンダムを同時に襲った。

 

 「くっ!!ニコル、回避しろっ!!」

 

 ボトム・ファイターを庇うように、ビームシールドを最大出力で展開したトライバード・ガンダムがビームの嵐に巻き込まれていく。

 

 トライバード・ガンダムの防御を使いながら、ニコルは無傷でビームの嵐を抜けるが、トライバード・ガンダムはビームシールドを持つ左腕を削ぎ落とされた。

 

 「後退するぞ!!ニコル、なんとか隙を作ってくれ!!」

 

 トライバード・ガンダムのコクピット内は、異常を示す警告音が鳴り響いている。

 

 もはや限界だった…………

 

 ニコルの操縦するボトム・ファイターは、バルカンを放ちながらマグナ・マーレイに迫る。

 

 マグナ・マーレイとボトム・ファイターが最大まで接近した時……………アーシィとニコルの間に、不思議な世界が広がった。

 

 モビルスーツのコクピットだけが透けて見えるような、奇妙な感覚………

 

「あなた、お父さんが紹介してくれた………ニコルね!!」

 

「まさかとは思ってたけど…………アーシィさんかっ!!こんなに早く戦場で会っちゃうなんてっ!!」

 

 マグナ・マーレイとボトム・ファイターが、何事もなかったようにすれ違う。

 

「ニコルっ!!何してるんだっ!!」

 

 バルカンを射ちながら、先程の攻撃で左腕を失ったトライバード・ガンダムがマグナ・マーレイに迫る。

 

「まだ墜ちてなかったのか!!いい加減にっ!!」

 

 マグナ・マーレイはビームサーベルを光らせ、バルカンを射つトライバード・ガンダムに向けてバーニアを全開にて、急速に接近していく!!

 

「なにっ!!」

 

 今まで接近戦を避けていたマグナ・マーレイが、逆にトライバード・ガンダムに向けて加速したため、レジアは意表を突かれる。

 

「まずい!!アーシィさんっ!!やめるんだっ!!」

 

 ニコルの声が直接脳に響く…………アーシィは頭を振って、その現象に抗おうとした…………

 


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