機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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ニュータイプの力2

 一直線に放たれた拡散ビームは、リフレクター・ビットによって角度を変化させ、全方位からトライバード・ガンダムとガンスナイパーに襲いかかる。

 

「なんとぉー!!」

 

「ちっ!!」

 

 ニコルはビームとリフレクター・ビットの動きを感覚的に感じて………

 

 レジアはモニターに表示されるデータを読み取りながら、機体の運動性能を駆使してビームを躱していく!!

 

「なんだと!!全方位からの攻撃を致命傷を避けて躱すなんて…………やはり、この2機のパイロット、格が違う!!」

 

 機体の性能は、先程まで戦っていたF90より高いのは一目瞭然であった。

 

 しかし、高性能機を操るには、それなりの技量が必要となる。

 

 そして、その機体を手足のように操るパイロット達に、アーシィは驚愕を隠せない。

 

 「パイロットの腕は、悔しいが私以上か…………だが、それでもマグナ・マーレイには勝てない!!」

 

 アーシィは躱されるのは承知の上で拡散ビームを射ち、それをリフレクター・ビットで次々と反射させていく。

 

 トライバード・ガンダムとガンスナイパーに襲いかかる無数のビームは、まるで雨のようだ。

 

「うおっ!!」

 

 「くっそー!!」

 

 流石の2人も、次々と放たれる全方位からの攻撃を、無傷で切り抜けるのは不可能だった。

 

 トライバード・ガンダムは右足を…………

 

 ガンスナイパーは両腕を…………

 

 それぞれ、持って行かれてしまう。

 

 だが……………

 

 反射するビームの嵐の中で致命傷を避け続け、更にはマグナ・マーレイを至近距離で捉えている。

 

 「なっ……………あのビームの中を……………抜けた…………」

 

 アーシィは、マグナ・マーレイのバーニアを噴かせて、なんとかトライバード・ガンダムとの距離をとろうとした。

 

 しかし、それを許すレジアではない。

 

「ニコル!!このまま接近戦に入る!!フォローしてくれ!!自分の機体に喰いつかれたまま、全方位の攻撃は出来ない筈だ!!」

 

 確かに損傷はした…………それでも1度攻撃を受ければ、その攻撃の弱点を導くレジアの感性は群を抜く。

 

「了解!!コッチは両腕が無くなったから、分離して撹乱するよ!!」

 

 ニコルの状況判断能力も高く、その牽制の動きは、マグナ・マーレイの動きを制限する。

 

 そんな状況の中、ビームサーベルを持って飛び込んで来るトライバード・ガンダムのスピードに、マグナ・マーレイは離脱出来ずに、同じくビームサーベルで応戦するしかなかった。

 

 「くっ……………このスピード……………マグナ・マーレイとて遅い訳ではないのにっ!!」

 

 接近戦ではレジアの言う通りで、拡散ビームは有効とは言えず、マグナ・マーレイの持つ防御兵器、Iフィールドも接近戦では役に立たない。

 

 だが、攻撃に行き詰まっているのは、ニコルも同じである。

 

 「コッチの実弾兵器は、バルカンぐらいか…………至近距離で当てればダメージになるか??」

 

 ガンスナイパーを分離し、コクピットのつくボトム・ファイターでレジアの戦いを見ていたニコルは、現状で自分の出来る戦い方を模索していた。

 

 Iフィールドがあるので、手持ちのビーム兵器は通用しない……………使える兵装は、ビームサーベルかバルカンしかない。

 

 両腕が飛ばされているガンスナイパーは、ビームサーベルは使えない為、いかにバルカンを有効に使うか、ニコルは考える。

 

 「あの厚そうな装甲にバルカンか……………牽制して、レジアに斬ってもらうしかねーな」

 

 そう呟くと、トップ・ファイターをマグナ・マーレイに向けて、バルカンを放ちながら近付いていく。

 

 が……………マグナ・マーレイの装甲は厚く、バルカンの攻撃は意にも介さず、レジアの攻撃を受けるのに集中しているようだった。

 

 「なるほど……………オレの方は相手にしなくても…………って感じだな。まぁ、バルカンだからなぁ……………でも、これならどーだ!!」

 

 ニコルはトップ・ファイターの影にボトム・ファイターを隠すと、その状態でマグナ・マーレイに飛び込んでいく。

 

 「喰らえー!!」

 

 ニコルは叫びながら、マグナ・マーレイに接近する。

 

 トップ・ファイターとマグナ・マーレイが至近距離で交差した瞬間…………奇妙な感覚がニコルを襲い、攻撃のタイミングを失う。

 

 それは、アーシィも同じだった。

 

 「今の感覚…………何だったんだ??」 

 

 「頭に何かが飛び込んで来たような…………一体、何なの??」

 

 一瞬、動きの止まったマグナ・マーレイの隙を、レジアは逃さない。

 

 ニコルが飛び込んで来た時に開いた間合いを再び詰めて、接近戦を再開する。

 

 「くっ!!何かを考えている余裕はない………か。マグナ・マーレイの実践テストで墜とされたのでは、少佐に顔向け出来ない!!集中するんだ!!」

 

 アーシィは奇妙な感覚の正体が気になったが、まずは目の前の敵を退ける……………その事に集中しようと心に決めた。

 

 頭がクリアになったアーシィは、更に覚醒したのか…………迫り来るトライバード・ガンダムの攻撃を尽く躱し始める。

 

「くそっ!!動きの重たそうな機体なのに、結構早い!!」

 

 距離をとろうとするマグナ・マーレイに必死に喰らい付きながら、トライバード・ガンダムはバルカンで牽制しつつ、ビームサーベルでの攻撃を織り交ぜていく。

 

 感覚の研ぎ澄まされていくアーシィは、トライバード・ガンダムの複雑な攻撃をも躱す。

 

「マグナ・マーレイ…………ストレス無く、私の反応についてきてくれる。この機体なら!!」

 

 マグナ・マーレイは一瞬の隙を付き、トライバードの腹部を蹴ると、そのまま距離をとってリフレクター・ビットを展開する。

 

「オレの存在を忘れんじゃねー!!バルカンが効かないなら、体当たりでもなんでもやってやらぁ!!」

 

 奇妙な感覚を頭から振り払ったニコルは、ボトム・ファイターでマグナ・マーレイに突っ込んでいく……………

 


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