機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

57 / 237
ニュータイプの力

 

「ガンダム!!お前を墜とせば、お母さんに満足いく薬を支給してもらえるかもしれない…………いくぞ!!マグナ・マーレイ!!」

 

 マグナ・マーレイに飛び込んできた来たトライバード・ガンダムを押し返すと、F90から視線を外したアーシィは、新たに現れた2機…………トライバード・ガンダムとガンスナイパーに狙いを定める。

 

(今回は、マグナ・マーレイの実戦テストなのは分かっています…………でも少佐…………私の我が儘、許して下さい)

 

 深追いするなと上官から釘を刺されてはいたが、前回の戦闘でガンダム相手に敗走したアーシィは、なんとしても倒したい相手であった。

 

(少佐…………大丈夫です。無理せずとも、この機体ならやれる。相手がガンダムであろうと!!)

 

 アーシィは心の中で叫び、ガンダムとガンスナイパーを睨む。

 

 距離をとってマグナ・マーレイ対峙するガンスナイパーのコクピットでは、アンノウン表示のモビルスーツを見つめるニコルがいた。

 

 「どう見ても、新型だよなぁ…………あの肩のデカさ………パワー重視のモビルスーツか??トライバードを押し返してたし」

 

 「いや、ニコル。パワーだけなら、F90の部隊が簡単にやられる訳がない!!何かある…………慎重にいくぞ!!」

 

 レジアは、マグナ・マーレイが発する独特の雰囲気を感じとる。

 

 マグナ・マーレイとの距離を図りながら、その外観からモビルスーツの特徴を探ろうとレジアは目を凝らす。

 

 「こんなもん、やってみなきゃ分からねーって!!いくぜ!!」

 

 「慎重に………と言っただろ!!コッチは何の情報も無いんだ。だが、仕掛けないのでは埒が明かない。ニコル、合わせろ!!」

 

 不用意にビームを撃とうとするガンスナイパーの射線上にトライバード・ガンダムを移動させると、レジアは叫ぶ。

 

 そして、トライバード・ガンダムをマグナ・マーレイに再び喰いつかせる。

 

 離れた距離を一瞬にして詰めて来るトライバード・ガンダムに、アーシィの反応は遅れた。

 

 「なっ………速いとは思ったが、これ程かっ…………」

 

 驚いたが、それでもアーシィは冷静にトライバード・ガンダムに対しビームサーベルで迎撃体制をとる。

 

 マグナ・マーレイがビームサーベルを構えた瞬間…………トライバード・ガンダムが横にズレ、その後ろにいたガンスナイパーが姿を現す。

 

 「蝶々捕獲!!終わりだ!!」

 

 ガンスナイパーの持つビームライフルから、マグナ・マーレイに向けてビームが伸びる。

 

 ビームサーベルを構えた瞬間の、不意打ち気味な一撃…………。

 

 回避不能…………コクピットを貫く筈のビームの射線を見て、ニコルは勝利を確信した。

 

 しかし、回避不能であり、モビルスーツの装甲に当たった筈のそのビームは、飛散して消える。

 

 「なっ……………嘘だろ??」

 

 「まさか…………Iフィールド…………ニコル!!ビーム系の武器は弾かれるぞ!!ガンスナイパーでは、相性が悪い!!」

 

 レジアは声を荒げると、ガンスナイパーが狙われないように、トライバード・ガンダムで接近戦を仕掛けようと動く。

 

「Iフィールド??漫画じゃないんだ。そんな出鱈目な防御兵器があってたまるか!!何発か当てれば!!」

 

 リガ・ミリティアに参加しているものの、最近モビルスーツに乗り始めたニコルは、兵器に疎い。

 

 ニュータイプとしての覚醒が早かった分、感覚でモビルスーツを動かしている為、兵器の勉強もしていなかった。

 

 そんなニコルは、トライバード・ガンダムとビームサーベルで斬り合うマグナ・マーレイに対し、ビームを連射する。

 

 「なんなんだ、コイツは??危険な動きをしたかと思えば、無駄な動きもする。だが、そんな幼稚な動きに付き合っていられる程、私の気は長くない!!」

 

 ガンスナイパーから放たれるビームは、尽くマグナ・マーレイのIフィールドに無効化されていく。

 

 そして、アーシィは攻撃に移る。

 

 マグナ・マーレイの肩から、無数の銀色の球を射出したのだ。

 

 「なんだ??」

 

 レジアは、その銀色の球を回避する為、マグナ・マーレイから一瞬距離を広げる。

 

 「いい動きだ…………と、言いたいトコだが、リフレクター・ビットに囲まれた時点で、お前達の負けは決まっている!!」

 

 トライバード・ガンダムとガンスナイパーを囲い込んだ銀色の球………リフレクター・ビットは、ただ浮いているようにしか見えない。

 

 「なんだ??コレ??どうせ、当たったら爆発するとか、そんな兵器だろ??モビルスーツ戦で通用するか!!」

 

 ニコルがリフレクター・ビットの林の中を抜けようと動き出した…………正にその時、マグナ・マーレイの拡散ビームが火を吹いた………

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。