「ガンダム!!お前を墜とせば、お母さんに満足いく薬を支給してもらえるかもしれない…………いくぞ!!マグナ・マーレイ!!」
マグナ・マーレイに飛び込んできた来たトライバード・ガンダムを押し返すと、F90から視線を外したアーシィは、新たに現れた2機…………トライバード・ガンダムとガンスナイパーに狙いを定める。
(今回は、マグナ・マーレイの実戦テストなのは分かっています…………でも少佐…………私の我が儘、許して下さい)
深追いするなと上官から釘を刺されてはいたが、前回の戦闘でガンダム相手に敗走したアーシィは、なんとしても倒したい相手であった。
(少佐…………大丈夫です。無理せずとも、この機体ならやれる。相手がガンダムであろうと!!)
アーシィは心の中で叫び、ガンダムとガンスナイパーを睨む。
距離をとってマグナ・マーレイ対峙するガンスナイパーのコクピットでは、アンノウン表示のモビルスーツを見つめるニコルがいた。
「どう見ても、新型だよなぁ…………あの肩のデカさ………パワー重視のモビルスーツか??トライバードを押し返してたし」
「いや、ニコル。パワーだけなら、F90の部隊が簡単にやられる訳がない!!何かある…………慎重にいくぞ!!」
レジアは、マグナ・マーレイが発する独特の雰囲気を感じとる。
マグナ・マーレイとの距離を図りながら、その外観からモビルスーツの特徴を探ろうとレジアは目を凝らす。
「こんなもん、やってみなきゃ分からねーって!!いくぜ!!」
「慎重に………と言っただろ!!コッチは何の情報も無いんだ。だが、仕掛けないのでは埒が明かない。ニコル、合わせろ!!」
不用意にビームを撃とうとするガンスナイパーの射線上にトライバード・ガンダムを移動させると、レジアは叫ぶ。
そして、トライバード・ガンダムをマグナ・マーレイに再び喰いつかせる。
離れた距離を一瞬にして詰めて来るトライバード・ガンダムに、アーシィの反応は遅れた。
「なっ………速いとは思ったが、これ程かっ…………」
驚いたが、それでもアーシィは冷静にトライバード・ガンダムに対しビームサーベルで迎撃体制をとる。
マグナ・マーレイがビームサーベルを構えた瞬間…………トライバード・ガンダムが横にズレ、その後ろにいたガンスナイパーが姿を現す。
「蝶々捕獲!!終わりだ!!」
ガンスナイパーの持つビームライフルから、マグナ・マーレイに向けてビームが伸びる。
ビームサーベルを構えた瞬間の、不意打ち気味な一撃…………。
回避不能…………コクピットを貫く筈のビームの射線を見て、ニコルは勝利を確信した。
しかし、回避不能であり、モビルスーツの装甲に当たった筈のそのビームは、飛散して消える。
「なっ……………嘘だろ??」
「まさか…………Iフィールド…………ニコル!!ビーム系の武器は弾かれるぞ!!ガンスナイパーでは、相性が悪い!!」
レジアは声を荒げると、ガンスナイパーが狙われないように、トライバード・ガンダムで接近戦を仕掛けようと動く。
「Iフィールド??漫画じゃないんだ。そんな出鱈目な防御兵器があってたまるか!!何発か当てれば!!」
リガ・ミリティアに参加しているものの、最近モビルスーツに乗り始めたニコルは、兵器に疎い。
ニュータイプとしての覚醒が早かった分、感覚でモビルスーツを動かしている為、兵器の勉強もしていなかった。
そんなニコルは、トライバード・ガンダムとビームサーベルで斬り合うマグナ・マーレイに対し、ビームを連射する。
「なんなんだ、コイツは??危険な動きをしたかと思えば、無駄な動きもする。だが、そんな幼稚な動きに付き合っていられる程、私の気は長くない!!」
ガンスナイパーから放たれるビームは、尽くマグナ・マーレイのIフィールドに無効化されていく。
そして、アーシィは攻撃に移る。
マグナ・マーレイの肩から、無数の銀色の球を射出したのだ。
「なんだ??」
レジアは、その銀色の球を回避する為、マグナ・マーレイから一瞬距離を広げる。
「いい動きだ…………と、言いたいトコだが、リフレクター・ビットに囲まれた時点で、お前達の負けは決まっている!!」
トライバード・ガンダムとガンスナイパーを囲い込んだ銀色の球………リフレクター・ビットは、ただ浮いているようにしか見えない。
「なんだ??コレ??どうせ、当たったら爆発するとか、そんな兵器だろ??モビルスーツ戦で通用するか!!」
ニコルがリフレクター・ビットの林の中を抜けようと動き出した…………正にその時、マグナ・マーレイの拡散ビームが火を吹いた………