「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
反射された拡散ビームの嵐の中に、F90Gタイプが飛び込んできた。
拡散ビームの威力は、コロニーに穴が開かない程度の弱い出力で放たれている。
しかし、損傷したF90Gタイプの装甲をコクピットまで貫くには充分だった。
「フォルブリエ!!そんな…………」
F90Bタイプは、マグナ・マーレイのビームサーベルの攻撃を受け流すと、F90Gタイプが倒れた大地に着地する。
自分を守る為に盾になったF90Gタイプは、装甲表面は焼けているものの、失った手足以外は原形を留めていた。
それでも、コクピットへのダメージは深刻であろう事が、モニター越しでもはっきりと分かってしまう。
「フォルブリエ…………ゴメン…………アンタの敵は、必ず討ってやるからね!!」
F90Bタイプの腰に装備されたロング・ビームバレルを失った片足の変わりに地面に固定して、メガ・ビームライフルを構える。
「コロニーに穴が開こうが……………貴様はココで墜とす!!地べたを這いずれ、バタフライ野郎!!」
メガ・ビームライフルの銃口に、高濃度の粒子が凝縮されていく。
と、その時……………
マグナ・マーレイに飛び込んで来る、一筋の閃光を見る。
「リースティーアさんっ!!慌てるな!!F90の部隊は、フォルブリエ機を回収して撤退しろ!!」
閃光となってマグナ・マーレイに喰いついたトライバード・ガンダムのコクピットで、レジアが叫ぶ。
「速い…………これがリガ・ミリティアの新型かっ!!」
マグナ・マーレイの隣で浮いていたラングが、トライバード・ガンダムにビームライフルの銃口を向ける。
そのラングのコクピットに、ピンポイントでビームが突き刺さった。
「オレも忘れてくれるなよ!!F90Bより、射撃に特化してんのはコッチだ!!なんたって、スナイパーだからな!!」
ニコルのガンスナイパーが、ビームライフルの射程距離ギリギリから、ラングを爆発させないような射撃1撃で撃ち墜とす。
「あらあら…………あの子…………あの機体で、なんて当て感なの…………」
模擬戦でガンスナイパーを使ったリースティーアは、その扱いづらさは身を持って知っている。
だからこそ、その射撃の腕に驚愕と頼もしさを感じた。
「リースティーア、すまねぇ!!離れ過ぎてた!!フォルブリエはっ!!」
F90Bタイプの後方の木々の間から、F90Fタイプが現れる。
「あら…………プロシュエール…………フォルブリエは墜とされたわ………Fタイプで戦闘しなくて、ある意味良かったかもね……………」
「くそっ!!オレが接近戦を挑めば、生き残れる可能性が上がってたかもしれねぇ………いや、あのビームの嵐の中をFタイプの装甲で突っ込んだら、結局は何も出来なかったか……………」
フォルブリエは、F90Gタイプの惨状を見て唇を噛み締めた。
「私達じゃ、あの新型に太刀打ち出来ないわ…………撤退しましょう…………」
「そうだな…………模擬戦で俺らに圧勝したレジアとニコルなら、あの新型を墜としてくれるよな。Gタイプと……………フォルブリエ機と共に撤退だ!!」
プロシュエールは、無傷なF90FタイプでGタイプを抱え上げて、颯爽と撤退を開始する。
「レジア達は、ヘビーガン部隊を引き連れてない…………2機だけで戦うつもりなのね………フォルブリエの敵討ち……………任せるわ」
フォルブリエの敵を討ちを自分で出来ない不甲斐無さがリースティーアの心に残ったが、片足のF90では足手まといになると判断した。
撤退するF90の後方で、レジアとニコル…………そしてアーシィの戦いが始まる…………