機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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F90の戦い 2

 「なんだこりゃ??当たったら爆発する…………なんて武器じゃなさそうだが…………」

 

 グレネードを打ち落とされた時に、その銀色の球状の物は爆発しなかった………

 

 つまり、触っても大丈夫であろうとフォルブリエは思ったが、得体の知れない武器に囲まれている不気味さはある。

 

 「あらあら…………とりあえず、銀色の球の囲みを突破したら??」

 

 リースティーアに促され、フォルブリエはF90Gタイプのメガ・ビームシールドを機体前面に展開し、バーニアを吹かせて突破を試みた。

 

 しかし、その銀色の球状の物は、F90Gタイプの動きに合わせるように動き、その囲みを突破出来ない。

 

 「あら??フォルブリエの動きが分かってるみたいに動く…………なら、これで!!」

 

 その囲みの外側から、リースティーアのF90Bタイプがビームサーベルを構えて銀色の球状の物に斬りかかる。

 

 が……………その動きも読まれているのか、紙一重のところで避けられてしまう。

 

 「やべぇ!!リースティーア、離れろ!!何かを撃ってくるぞ!!」

 

 マグナ・マーレイの肩部が光輝き………次の瞬間、拡散するビームが放たれる。

 

 そしてそのビームは、銀色の球状の物に当たる度に方向を変えながら、F90Gタイプに向かっていく。

 

 拡散され反射されていくビームは、まるで光の膜を作るかのように、F90Gタイプを囲い込み…………全方位からのビームを浴びせる。

 

 「ぐわぁぁぁぁぁ!!」

 

 光の膜が薄れていくと、地面に横たわるF90Gタイプの無残な姿が現れた。

 

 メガ・ビームシールドを展開していた左腕は無事だが、右腕と両足は何処かに吹き飛んで無くなっている。

 

 「あらあら…………今のは、一体何だったのかしら??それより、フォルブリエ、無事なの??」

 

 リースティーアの呼び掛けに、フォルブリエからの返事は無い。

 

 意識を失っているだけなのか、通信機器が壊れたのか、それとも…………

 

 リースティーアは、モニターに映るマグナ・マーレイを一瞥する。

 

 マグナ・マーレイのコクピットでは、アーシィが深い溜息をついていた。

 

 サイコミュ兵器を使うと、こうも疲れるモノなのか…………

 

 「あと…………1機か…………Fタイプは、我々の仲間だったな…………」

 

 そう言うと、木々の間を動き回るF90Bタイプに狙いを定める。

 

 「アーシィ大尉、そろそろ戻りませんと…………今回は、マグナ・マーレイの実戦テストが目的です。これ以上の戦闘は…………」

 

 「分かっている。しかし、敵に背を向けて引き下がる訳にもいくまい??F90を後1機やったら戻るぞ!!」

 

 隣にいるラングのパイロットにアーシィは言うと、銀色の球状の物…………リフレクター・ビットを展開していく。

 

 「森の中に隠れながら、ゲリラ戦をやろうって…………それが甘いんだよ!!」

 

 リフレクター・ビットの位置を確認すると、アーシィは拡散ビームを放つ!!

 

 拡散されたビームは、リフレクター・ビットに反射し、多角的な動きでF90Bタイプに迫っていく。

 

 「あら…………これは逃げきれないわね……………けどっ!!」

 

 リースティーアは、F90Bタイプの右手に持っているメガ・ビームライフルの照準をマグナ・マーレイに合わせる。

 

 「ビームを反射するボールで、機体を守っていない今なら…………墜ちろ、バタフライ!!」

 

 バーニアを思い切り吹かし、F90Bタイプは全方位から迫るビームの雨の中を、損傷覚悟で抜け出していく。

 

 その場に留まっていたら、F90Gタイプの二の舞になっていただろう………しかし、リースティーアは勇気を持って助かる最善の策を実行した。

 

 右足は吹き飛んだものの、メガ・ビームライフルは手放していない。

 

 そのメガ・ビームライフルが、マグナ・マーレイに向けて火を吹く!!

 

 リフレクター・ビットの脇を抜け、マグナ・マーレイに到達した…………確かに間違いなく、ビームがマグナ・マーレイを貫いたかのように見えた。

 

 だが、そのビームは、マグナ・マーレイの機体に触れるとIフィールドの効果で四散して消える。

 

 「コロニー内で、こんな高出力のビームを撃つなど…………正気とは思えん!!」

 

 アーシィなら難無く避けれたであろうビームを受けたのは、コロニーに穴が開く事を恐れたからだった。

 

 しかし、鈍重そうなマグナ・マーレイのフォルムもあり、リースティーアは勘違いをしてしまう。

 

 「あらあら………ビームは効かないのね…………なら、得意じゃないけど接近戦でいくわ!!」

 

 ビームサーベルを持って片足で跳ぶF90Bタイプ…………その行動は、余りに無謀だった。

 

 ミノフスキー・クラフトを搭載するマグナ・マーレイ相手に、ミノフスキー・フライトすら持たないF90では、重力下ではハンデがありすぎる。

 

 下から迫るF90Bタイプに、アーシィはマグナ・マーレイを軽く浮上させつつ、地面近くに浮くリフレクター・ビットを目掛けて拡散ビームを放った。

 

 「しまった!!」

 

 F90は、空中での姿勢制御はアポジモーターに頼るしかない。

 

 攻撃の届かない場所まてま浮上されたマグナ・マーレイからの攻撃と、下から迫るビーム………

 

 空中で両方防ぐのは不可能だった。

 

 リースティーアは、覚悟を決めて目を閉じる。

 

 「まだ……………まだ諦めるな!!上からの攻撃に集中しろ!!」

 

 リフレクター・ビットと拡散ビームの間に、閃光の如くバーニアを吹かした機体が飛び込んできた!!


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