レジア・ニコルの勝利……………機体差を考えれば圧勝という結末に、観戦モニターの前では歓声が上がる。
レジア、ニコルの戦い方は、サナリィ・コロニーで戦うレジスタンスには衝撃的であった。
激戦を共にしてきたパイロット達が、性能の劣る機体達に破れたのである。
それでも、自分達が建造している戦艦を託すのに相応しいと、技術者達は胸が高鳴った。
同時に、レジアとニコルを応援していたコロンブスⅢのクルー達の間には、歓喜の輪が広がっていく。
「やったぁ♪2人ともスゴーい♪」
「良かったね、マイさん!!」
マヘリアとクレナが、マイの体を両方から抱きしめる。
「はい…………本当に良かった。2人とも…………私の心の傷も救ってくれた…………ありがとう…………レジア、ニコル…………」
少し涙ぐむマイの心からの言葉に、ミューラは自らの心も温かくなっていくのを感じた。
「ねぇ、マイ。レジアの誕生日も近付いてきたし、お礼も兼ねてプレゼントでも買って、どこかで食事でもしてきたら??きっと喜ぶわよ」
「あー!!それイイ♪行って来なよマイちゃん!!ニコルは私が可愛がってあげとくから、安心してねー♪」
ミューラの提案に、マヘリアが悪戯な笑みを浮かべて乗っかってくる。
少しずつだが、共に戦う者同士、絆が生まれ始めていた。
意識はしてないが、その場にいた全員が、そんな感覚に包まれていく。
時を同じくして、レジスタンスの施設の中で暗躍する影があった。
「こっちがトライバード・ガンダムのデータで、これがガンスナイパーとガンイージと…………送信完了だな」
小さな端末にデータを読み込ませ、男は不適な笑みを浮かべる。
薄暗くした部屋の灯りが、端末から発する青白い光を増長させ、男の顔を怪しく照らしだす。
「後は、基地の位置データか……………レジアと、ニコルとか言うニュータイプ……………予想以上の強さだが、まぁ……………知ったこっちゃないか。俺の仕事はココまでだしな」
男は端末を閉じると、何事も無かったように、賑わう基地の中に戻って行く。
模擬戦が終わった後のリガ・ミリティアの……………レジスタンス達の基地は、久しぶりにお祭りのような賑わいを見せている。
レジアやニコルの戦いは、サナリィで戦うレジスタンスに大いなる希望を抱かせるには充分であり、その想いが歓迎ムードをより加速させた。
皆が浮かれている分、男に作業させる環境は整ってしまっている。
模擬戦から戻ってきたモビルスーツからデータを盗み、そのデータを送る時間は充分にあり、誰にも知られずに仕事を終えてしまった。
そのデータの送り先は……………
スクイード1
カイラスギリー艦隊総司令、タシロ・ヴァゴ中佐へであった………………