その頃……
サナリィ・コロニーからは、ベスパのサナリィ統轄軍が出撃していた。
ブォー!!ブォー!!
「またかっ!!サナリィ・コロニーってのは、敵の巣窟か??」
再びコロンブスⅢの警報が艦内に鳴り響き、ニコルが悪態をついた。
「仕方がないでしょ!!サナリィは、ザンスカールが接収しちゃってんだから!!連邦軍の輸送艦が近付いたら、流石にアクション起こしてくるよ!!」
マイの言う通りである。
連邦の輸送艦の接近で、ザンスカール軍が動かない訳がない。
更には、偵察機を出したカリストからの連絡も入っており、その対応は素早かった。
「トライバードとクレナ機は、そのままラングの迎撃に入って!!マヘリアさん!!イージで出撃を!!」
ミューラの言葉を聞いた頃には、マヘリアの体はガンイージのコクピットに包まれていた。
「いつでもオッケーよ!!前のガラクタをどけてくれればね!!」
ガンイージの出撃を阻むように置かれるガンスナイパーを、マヘリアが面倒臭そうに視界に入れた瞬間…………
ニコルがコソコソと、ガンスナイパーに乗り込む映像が飛び込んでくる。
「ニコル!!あんたは正規のパイロットじゃないんだ!!今回は大人しくしていなさい!!」
「だって、こいつ邪魔なんだろ?じゃあ、どかしてやらないと。ガンスナイパー、ニコル・オレスケスで出るよ!!」
ガンスナイパーのバーニアが火を吹き、格納庫から漆黒の宇宙へ飛び出していく。
「マヘリア!!今、ニコルって言った??」
「ええ…………流石に、頭痛くなってきたわ。私も戦場で子守できる程、余裕ないわよ?」
マヘリアと通信していたミューラも、頭を抱えた。
「出ちゃたものは仕方がないわ…………あの子のニュータイプ能力を信じましょう。マヘリアも出て!!」
「了解!!マヘリア・メリル!!ガンイージ、行きます!!」
コロニーを背に出撃したガンイージの横から、2機のラングが迫る。
「早速お出ましね!!」
マヘリア機が、ビームライフルを構えた時…………
2筋の光りがラングに突き刺さり、2機のラングが爆発し消滅した。
「ほら、オレだってレジア並にやれるだろ?」
ニコルの無邪気すぎる声に、マヘリアは深い溜め息をつく。
「ニコルくん♪コロニーの近くだから、強力な火器を使う時は気を付けようねー♪」
マヘリアが、にこやかにニコルを説教した……………正にその時!!
ドオオオォォォォン!!
コロンブスⅢの動力部が爆発した。
Gキャノン…………サナリィが開発し、アナハイムが生産を手掛けたモビルスーツである。
サナリィを接収したザンスカール軍が、そのモビルスーツを運用していても、不思議はない。
そのGキャノンが、コロニーのミラーに隠れており、不意をついて飛び出した。
そして、両肩に装備されたビームキャノンを構えながらコロンブスⅢの背後から迫ってくる。
コロンブスⅢのモビルスーツ隊は、コロニーから出撃したモビルスーツ隊と交戦状態に入っており、不意の攻撃に気付かなかった。
「マヘリアさん!!Gキャノンがビームキャノンで艦を狙ってるわ!!このままじゃ墜とされる…………っ!!」
ミューラからの通信でコロンブスⅢの危機を察知し、マヘリアは無意識に体が動き、既にガンイージはコロンブスⅢに向けてバーニアを吹かしている。
「マヘリアさん!!艦も大事だけど、コッチどーすんの?次々出てきてるケド………」
サナリィ・コロニーから続々投入されるラングの数に、4機で対応するには無理があった。
各モビルスーツの間……………そして、ガンイージとコロンブスⅢの間…………
その間に続々とラングが入り込み、それぞれが分断されていく。
「これが狙いだったのか!!急げ!!トライバード!!」
レジアは叫び、ラングを薙ぎ払いながら最大戦速でコロンブスⅢの援護に向かう。
しかし、とても間に合わなそうだ。
ニコル達は、絶対絶命の危機に追い込まれていく………