「ガスフィー、動けるんだな!!早く援護をっ!!」
倒れていたジェムズガンが起動したのは、当然ラングも認識していた。
ラングは今までの軽くあしらうような戦闘から突如素早くなり、いとも簡単にジェムズガンの足を切り払うと、コクピットをビームサーベルが貫いていく。
「ぐわあぁぁ!!」
ビームサーベルに貫かれたジェムズガン・パイロットの生々しい断末魔の叫びが、レジアの乗るジェムズガンのコクピット内を響き回る。
「ちくしょう!!あのラング、遊んでやがったのか!!人の命を何だと思ってんだ!!」
レジアは自分の感情が高鳴り、全身を流れる血液が沸騰するかのように熱くなるのを感じた。
「うおおおおぉぉぉ!!」
叫びながら、ジェムズガンをラングに突っ込ませるレジア。
しかし気持ちだけでラングを抑えられる訳もなく、更にはミノフスキー・フライトを搭載しているラングに空中に逃げられ、いとも簡単に間合いをとられてしまう。
「なんだ?このパイロット素人かよ。連邦の人材難は可哀想なレベルだな」
ラングはコクピットを狙って、ビームライフルを連射してくる。
「コロニー内で、ビームライフルを射つなよ!!オレは…………母さんまで失いたくないんだ!!」
ジェムズガンはビームシールドを展開し、ビームをシールドに当てるようにして、コロニーの大地にビームが直撃しないように戦う。
「このコロニーは、てめぇらの護るべき国民がいるんだぞ!!なんでライフルでコロニーに穴が開くような……………アメリアの市民を巻き込むような戦いをすんだよ!!マリア主義は何処いった!!」
叫んだ瞬間レジアの集中力はピークに達し、子供の頃に父に教わった操縦の感覚が湧水が溢れる如く思い出されていく。
(ジェムズガン………オレの力になってくれ!!この野蛮な連中から、母さんを…………親父の思いを守るんだ!!)
ジェムズガンの握るビームサーベルが、レジアの想いに応えるかのように光輝いた。
「ミノフスキー・フライトが何だ!!ジェムズガンにだって、バーニアは付いてるんだ!!」
レジアはジェムズガンを自らの手足のように扱い始め、空中にいるラングとの間合いを一瞬で詰める。
「このパイロット…………なんだ??ムラッ気のある……………」
言葉を途中で飲み込まなければいけないぐらい、それぐらい集中しなくてはジェムズガンの攻撃を躱せないぐらい、レジアの操縦は鋭さを増していた。
「ジェムズガンごときに、オレが圧されている?くそっ!!あり得ねぇ!!ラングの優位性を活かしてやるぜ!!」
ミノフスキー・フライトの力で少し浮き間合いをとろうとするラングを、レジアはジェムズガンの絶妙なバーニア・コントロールで追いかける!!
「そうやって!!ミノフスキー・フライトに頼ってばかりいるから、動きが単調になるんだよ!!」
細かな動きで的を絞らせないレジアは、そのままの勢いで一度フェイントをいれた後、ビームサーベルでラングのコクピットを貫いた。
「ぐわああああぁぁぁぁ!!」
ラングの瞳は力を失い、まるで人間のように、力無く膝から大地に崩れ落ちる。
「はぁ………はぁ………はぁ」
戦闘が終わっても操縦管を握る力を弱める事が出来ず、レジアは暫く肩で息をし、気持ちの高ぶりが去るのを待つ。
(親父や母さんの言う通りかも……………な。相手が仕掛けてきたからって、これから自分達が支配しようとする大地を傷つけるのはおかしい。ガチ党、何か裏があるのか……………)
レジアは横たわる母と、ガスフィーと呼ばれた連邦軍の兵士をジェムズガンの手に乗せると、そのまま宇宙港に向かった。
サナリィに行けば、何かが分かる………
レジアは直感で、そう感じていた……………