機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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今回から数話は津波の描写であったり、災害時のような話が続きます。

被災された方や、そのような描写を読むと気分が悪くなってしまったり嫌悪感を覚えてしまう方は読まないようにして下さい。

ガンダム ダブルバードは、東北地方の災害があった時にアメブロで連載していました。

しかし、あの災害が起きてしまい、こんな事を書いていていいのかという葛藤もあり、当時は連載を中止してしまいました。

ただ当時から、戦争という人が人の命を簡単に奪ってしまうという事の悲劇をライトノベルという形で発信したいという気持ちがあって、そのタイミングで東北の災害があって……

被災された方の気持ちを考えると、文字にするのは申し訳なく感じてしまい、何も書けなくなってしまった時期がありました。

でも、災害という自然が発生させた悲劇は止められないけど、人が起こす悲劇は止めれるはずだし、起こしてはいけないと思っています。

そんな思いを、これから数話に渡って書いていきます。

小説というのは、作者が読者の想像を邪魔してはいけないと思いますが、このシーンだけは自分の考えを伝えたくて前書きに書かせて頂きました。

もし気分を害された方がいたら、申し訳ないです。

この災害のような話は「迫り来る悲劇」のタイトルで書いていきますので、このような話が苦手な方は、その部分を飛ばして読んで頂けると助かります。

よろしくお願いいたします。


迫り来る悲劇

「シャクティさん、無事か??」

 

 ニコルはベスパ兵がいなくなった事を確認してから、ウェーブ・ライダーを着地させた。

 

 コクピットから飛び降りたニコルは、直ぐにシャクティの異変に気付く。

 

 身体を震わせ、その視線は空を直視している。

 

 シャクティは目が見えないが、明らかに視線は空を向いていた。

 

「ええ……宇宙が降って来る……いえ、何か恐ろしい物が……」

 

 シャクティの震えは、収まるどころが酷くなっている。

 

「嫌な予感がするな……ベスパの奴らの引き際も見事だったし……」

 

「うん、私も嫌な予感がする。何かが降って来るって感覚……何となく分かる気が……」

 

 マイが空を見上げた瞬間、一瞬だけ日が陰り……そして……

 

 一条の光が、高台から見渡せる海に注がれた。

 

 強烈な発光現象……そして地響き……

 

 ドオオオオオオオォォォォォォォン!!

 

 遅れて耳に飛び込む、破壊的な音……

 

 心臓が鷲掴みにされたような、明らかな危機感が胸を撃つ。

 

 そして、その直後に訪れた地震によって、ニコル達はその場に伏せた。

 

「くそっ、一体何が起きたんだ!!」

 

 地震が収まり立ち上がったニコルの目に、衝撃的な映像が飛び込んで来る。

 

 海から大地に迫って来る壁……いや、壁のように高くなった波が襲い掛かって来ようとしていた。

 

「ヤバイ!!このままじゃ、バルセロナの町が津波に飲まれる!!皆を避難させなきゃ!!」

 

 慌ててウェーブ・ライダーに乗り込もうとしたニコルを、シャクティが制する。

 

 その直後、ヘリコプターのプロペラ音のような音が聞こえて来た。

 

「ニコル……アシリア様をお願い!!私が食い止めるからっ!!」

 

「ちょっと、シャクティさんっ!!それどころじゃないだろっ!!」

 

 ニコルを押して割り込んだシャクティは、ウェーブ・ライダーのキャノピーを閉じる。

 

「くそっ!!シャクティさん、何を考えてるんだ!!町の人の避難が優先だろうに!!」

 

 叫ぶニコルだが、浮いてしまっているウェーブ・ライダー相手にはどうする事も出来ない。

 

 ニコルが海を見ると、確実に津波が町に近付いている。

 

「マイ、アシリアを頼む!!オレは下に行って、出来るだけ避難を呼びかける!!」

 

 ニコルはマイにシャクティを預けると、崖を降るように高台から下りて行く。

 

 シャクティの乗るウェーブ・ライダーは、ベスパの試作機と対峙していた。

 

 目が見えないシャクティだったが、ゼータガンダム・リファインに搭載されているバイオセンサーのおかげで、プレッシャーの感じる位置を読みながら戦う事が可能である。

 

 そして、相手のパイロットの思考を読みながらウェーブ・ライダーを操っていた。

 

「このパイロット……ニュータイプとでも言うのか……旧式の戦闘機で、我々の攻撃を避けるとは……」

 

「ビッグ・キャノンのビームによる津波に、アシリアが巻き込まれる可能性がある!!戦闘機の相手をする前に、アシリアを探せっ!!」

 

 ベスパのパイロットが操るヘリコプター型のモビルスーツも、その焦りからか的確な攻撃が出来ないでいる。

 

 そして、津波は確実にバルセロナの町に近づいていた……


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