機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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マイ救出作戦6

 

「拡散したっ!!だが、その戦い方には慣れた!!」

 

 拡散ビームは広範囲に効果があるが、威力は犠牲になっている。

 

 レジアはマグナ・マーレイの放つ拡散ビーム…………そして、それを反射してオールレンジで襲ってくるビームと戦ってきた。

 

 その経験が、レジアの身体を無意識に反応させる。

 

 レジアの操るトライバード・アサルトは、Iフィールドを展開させながらもビームを回避し、リグ・グリフに迫った。

 

「新型…………悪いが、墜とさせてもらうぞ!!」

 

 リグ・グリフの喉元にビームサーベルから放たれる粒子が迫った時、思いもよらない方向からビームが飛んで来る。

 

「なんだ??」

 

 Iフィールドで受けてしまえば、そのままビームサーベルの一突きでリグ・グリフを墜とせていたかもしれない。

 

 しかし突然の攻撃で、反射的にレジアは回避する事を選んでしまった。

 

 その結果、トライバード・アサルトとリグ・グリフとの間に、ビームを打ってきたモビルスーツに割り込まれてしまう。

 

「グリフォン・タイプ!!無事か??」

 

 突如現れたモビルスーツ……………ゾロアットでトライバード・アサルトに奇襲を仕掛けたのはメッチェだった。

 

「准尉、私の事は構わずに、他の機体の迎撃に行って下さい」

 

「何を言う!!このままでは、君は墜とされる!!それに、ガンダム・タイプを倒せれば、戦局は一気に変わる!!」

 

 メッチェのゾロアットはビームライフルからビームを放ち、トライバード・アサルトに向けてバーニアを全開にする。

 

「天道虫1機か……………援軍にしては、少し弱いな!!」

 

 ゾロアットが放つビームをトライバード・アサルトはビームシールドで簡単に受けると、次々と放たれるビームをヒラリと躱していく。

 

「くっ…………速いっ!!マデア少佐は、こんな奴に勝ったのか…………」

 

 ゾロアットはアポジモーターを駆使して姿勢制御をしながら、ビーム・ストリングスを放った。

 

「それも見ている!!いいパイロットのようだが…………マイを助ける為だ!!墜とさせてもらうぞっ!!」

 

 ビーム・ストリングスをビームサーベルで薙ぎ払うと、トライバード・アサルトはゾロアットに迫る。

 

「准尉、離れて下さい!!」

 

 リグ・グリフは、インコムをトライバード・アサルトに目掛けて放出した。

 

 しかし、インコムの攻撃ではトライバード・アサルトの前進を止める事は不可能である。

 

「くそっ、グリフォン・タイプは後退しろ!!私が時間を稼ぐ!!」

 

 ビームサーベルを持って前に出るゾロアットを援護するように、リグ・グリフからビームが放たれた。

 

 インコムの攻撃を避ける事に集中していたレジアは、その不意の攻撃に反応が遅れる。

 

「貰った!!ガンダム・タイプに勝てる!!」

 

 そのビームの動きに合わせて、ゾロアットがビームサーベルを振った。

 

 が……………リグ・グリフの放ったビームはトライバード・アサルトの装甲表面で弾かれ、何事も無かったようにビームサーベルを躱れる。

 

「くおおぉぉぉっ!!」

 

 コクピットに強烈な衝撃が走り、メッチェは叫んだ。

 

 Iフィールドでビームを弾いたトライバード・アサルトにショルダータックルを受けて、ゾロアットは後方へ吹き飛ばされる。

 

 硬直したゾロアットに、トライバード・アサルトが放ったビームが吸い込まれていく。

 

「ぐわあぁぁぁ!!」

 

 今度は機体後方からの衝撃に、メッチェは悲鳴を上げる。

 

 リグ・グリフがゾロアットを押し退け、ビームに機体を晒したのだ。

 

 コクピット付近の装甲にビームが直撃し、リグ・グリフの動きが止まる。

 

「なんで俺を庇った!!」

 

 爆発しそうなリグ・グリフに近づいたメッチェのゾロアットは、その機に体に触れた。

 

「准尉こそ…………どうして私を助けに来たのですか??私はクローン…………代わりはいくらでもいるのに…………」

 

「代わりがいる…………だと??クローンだろうが人格を持てば、それは人と変わりない!!君は君だろ!!」

 

 ゾロアットのセンサーから、警告音が鳴る。

 

 メッチェは反射的に、リグ・グリフを掴んだままバーニアを全開で吹かす。

 

「躱された…………手負いを抱え込んだままで!!」

 

 トライバード・アサルトが放った止めの一撃…………動きの止まった2機を確実に仕留める為に放ったヴェズバーは、ゾロアットによって躱された。

 

「くっ…………コッチにもモビルスーツを展開してきたか…………潮時だな…………新型を墜とせただけ、良しとするか」

 

 トライバード・アサルトのモニターには、ベスパのモビルスーツ隊が迫って来る事を告げる光点が灯る。

 

「助かった…………のか??いや、このままではリグ・グリフが爆発してしまう!!グリフォン・タイプがっ…………おい、脱出しろ!!」

 

「コクピット・ハッチは歪んでいるみたいだし、リグ・グリフには脱出装置は付いていません。私に構わずに、准尉は行って下さい。直ぐに爆発します…………」

 

 メッチェは感情的に叫ぶが、リグ・グリフのコクピットからは冷静で感情の無い言葉が返ってくる。

 

「メッチェ准尉、リグ・グリフを破壊してから帰艦しろとの命令だ。そいつをリガ・ミリティアに渡す訳にはいかん」

 

 ようやく戦場に追い付いたベスパのモビルスーツから、メッチェ機に通信が入った。

 

「なんだとっ!!そんな事が出来るかっ!!まだグリフォン・タイプは生きているんだぞっ!!」

 

 メッチェはコクピット・ブロックに沿うようにビームサーベルを刺し込むと、そのままコクピットだけを斬り抜く。

 

 コクピットを取り出した瞬間、ゾロアットはリグ・グリフを蹴り飛ばした。

 

 ガアアァァァァァァン!!

 

 そして、その衝撃でリグ・グリフは爆発する。

 

 抜き取られたコクピットは、その爆発の余波で横に縦に振られた。

 

「おい、グリフォン・タイプ、生きてるか??」

 

 そのメッチェの問いに、コクピットから返事は無かった…………


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