「レジア、敵のモビルスーツが再接近!!今度は新型も連れてるみたい!!」
管制官のニーナは、叫びにもにた声で状況を伝える。
「了解!!新型はオレが相手をする。ガンイージ隊は、隊長と他のモビルスーツの相手を頼む!!」
「って、ザンスカールの奴ら、ウヨウヨと沸いて来やがる!!どんだけの物量だよ!!」
レジアのトライバード・アサルトを中心に、ガンイージ隊が隊列を組む。
部隊の中心にいたトライバード・アサルトが、ベスパの新型モビルスーツに向かい始めると、今度はヘレンのガンイージが隊列の真ん中に陣取る。
「おい、ヘレン!!隊長はオレだぞ!!その位置を空けろ!!」
「名ばかりの隊長さんよ…………悪いが、私は実力の伴わない奴を認められない性格なんでね…………せめて、私以上のパイロットになってから物申しな!!」
男勝りのヘレンは、パイロットとしてレジアより圧倒的に劣るオリファーを隊長と認められないでいた。
「あらあらヘレン、戦場で自分勝手な行動は死に繋がるわ。頼りない隊長でも、正式に隊長って決まったんだから、とりあえず言う事を聞かないとね」
「ちくしょー!!お前ら、なんなんだ!!オレだって、ヴィクトリー・タイプのパイロット候補生なんだぞ!!」
リースティーアの言葉に、顔を赤くして怒っているのであろうオリファーの姿を想像して、思わずジュンコは笑ってしまう。
「オリファー、皆を認めさせるには、実力を示すしかないよ!!来た、ラングと天道虫!!」
モニターに映るベスパのモビルスーツ部隊に、シュラク隊に緊張感が走る。
スクイード1に奇襲をかけた瞬間は、リガ・ミリティアの攻撃は敵の喉元まで確かに迫った。
しかし、スクイード1に追いついたタシロ艦隊から出撃してくる圧倒的な物量のモビルスーツ部隊に、戦局は押し戻されていく。
それでもレジアを中心としたリガ・ミリティアのモビルスーツ隊は、何とか持ちこたえている。
マイを救いたい気持ちと、部隊から犠牲者を出さない…………その覚悟を持ったレジアの動きは凄まじかった。
トライバード・アサルトは、ガンダム伝説を受け継ぐに相応しい活躍を見せ続ける。
そんなレジアの気迫の篭った戦いに、管制官であるニーナですら、隊長ではないレジアに最優先で情報を送ってしまう程だ。
「隊長、レジアさんの動きを真似るのは不可能かもしれないですけど、隊長には隊長の良さがある筈です。頑張りましょ!!」
「……………ああ……………そうだな…………とにかく、ニコルってヤツがレジアの彼女を助けるまでの辛抱だ!!時間を稼げれば、それでいい!!」
クレナの言葉に、パイロットとしてはレジアに勝てないと諦めたオリファーは、それでも自分の気持ちを強く持つ為に叫ぶ。
実際、オリファーの指揮するシュラク隊の動きは、ラングでは捉らえきれない。
新型のゾロアットですら、シュラク隊のガンイージを追い詰められないでいた。
更には、怪我を押して出撃したリースティーアのF90Nタイプによるヴェスバーの精密な長距離射撃の援護によって、ミリティアン・ヴァヴにベスパのモビルスーツを近づけさせない。
「コッチは、なんとか均衡を保っていけそうだな…………レジアが敵の新型を抑えてくれれば、だが…………」
オリファーは、レジアの向かった宙域に目を向ける。
オリファーの視線の先では、レジアの駆るトライバード・アサルトと、アーシィのクローンであるグリフォン・タイプが乗るリグ・グリフが対峙していた。
リグ・グリフに搭載されたインコムの攻撃がトライバード・アサルトに迫るが、レジアは難無く避けてしまう。
マグナ・マーレイの使うリフレクター・ビットの3次元でのオールレンジ攻撃を受けてきたレジアにとって、インコムの2次元での攻撃は甘く見えた。
「新型ではあるが、パイロットの腕は羽付きの方が上だっ!!この程度ならっ!!」
インコムを繋ぐワイヤーをビームサーベルで切り払ったトライバード・アサルトは、インコム本体をビームライフルで撃ち墜とそうとする。
そのビームは、インコム本体に綺麗に吸い込まれる…………そう、吸い込まれたのだ。
そして、吸収されたビームは、拡散されてトライバード・アサルトに襲い掛かった……………