残月「俺だって書きたいんじゃあぁぁぁっ!」
先日、友人とした会話。
「副長にあった三つの出来事を教えよう。一つ、ギャップ萌えの雪蓮と蓮華が可愛かった。二つ、それを揶揄ったら殴られた。三つ、気が付けば医務室に居た」
「なんでオーズのナレーション風なんですか」
「説明の内容は理解しかねますが、いつも通りって事ですね」
「呉の王族を揶揄って殴られるのはお前くらいだろうな」
目が覚めればいつもの医務室。寝台に寝かされたまま首だけを動かせば一刀、凪、華雄が居たので状況説明したら総ツッコミを貰った。
「はぁ……華琳様達は会議です。今回の件で同盟にヒビが入りかねないので。とは言っても副長の行動と言動は理解されてますから。それと桂花様達も別件で会議中です。恋敵が増えた、と」
「私はある程度は雪蓮の気持ちは理解できるからな、会議には参加しなかったぞ。雪蓮の様な初心なのを揶揄えばどうなるか知ってるだろうに」
凪と華雄が呆れた様にそちら側の説明をしてくれた。凪よ、お前も近い内に会議に参加する事になるぞ。蓮華は間違いなく一刀に惚れてるから。華雄の場合は昔の自分やまだ微妙に素直になりきれてない桂花を見ていたからなんだろうな。何気に今では一番落ち着いた雰囲気になってるし。
「んじゃ、その会議次第で俺と一刀の今後が決まるな。まだ魏の国内での問題に対処するか蜀か呉の問題解決に奔走する事になるか……」
「副長はむしろ桂花様達を落ち着かせに行った方が良いのでは?」
「暴走すると何するかわからないもんなぁ」
「以前の私もそうだっただけに笑えんな」
俺の一言に凪、一刀、華雄の順にコメントが溢れる。前に実際に華雄と恋のタッグにボコボコにされたからなぁ……今考えるとよく生きてるな俺。
「そういや雪蓮と蓮華は?」
「二人とも華琳の会議に連れて行かれましたよ」
「同盟国の支柱たる天の御使いを殴り飛ばしたとなれば当然だろう。祭も随分と怒っていたぞ」
「華琳様から純一なら『自分が悪いから、あんまり悪く言わないでくれよ』とか言いそうだから会議には来ない様にと言伝を頂いてます」
俺の疑問にそれぞれ答えてくれた。大将め、俺の行動を完全に先読みしてやがる。
「ま、悪いようにはしないしないだろう。むしろ面白がってなんか仕掛けてきそうな気もするが」
「華琳ならやりかねないですね」
うーん。大事にしない代わりに何か罰ゲームとか考えそうな気がする。そもそも今回の一件は大事にする必要が本来無いんだよな。俺からして見ればある意味いつもの事なんだし。
「蜀か呉に行くにしてもトラブルは必死なんだしこのくらいで騒いでたらキリがない気もするんだよな。最近は新技の特訓も頑張ってんだぞ」
「自爆技ですか?」
「死んだフリをしてからの自爆とか止めてくださいね」
「秋月……」
俺の『特訓してる』の一言から全員が不安そうな顔付きになる。もう信頼されてるなー……逆方向に。
「少なくとも自爆技じゃないから安心しろ。それはそうと遠征に行く前に他の仕事も片付けないとな」
「副長。まだ動いては……」
俺が寝台から起き上がると凪が止めに来た。今回は殴られて気絶しただけだから軽症なんだし。
「沙和とお洒落同好会の話を詰めていたんでな。案を纏めないといけないんだわ。真桜と武器の相談もしてたし」
「そのニヤニヤした顔……色々と企んでますね?」
俺がニヤリと笑みを浮かべると一刀が真っ先に察した。うん、企んでるよ?
「少なくとも沙和の方は一刀にも嬉しい話だぞ……後で楽しみにしておきな。凪もな。勿論、華雄もだ」
「え、俺にも?」
「私にもですか?え、なんでニヤって笑ったんですか!?副長がその笑い方をした時って悪ふざけを全力でする時の笑い方ですよね!?」
「わ、私にもなのか!?」
俺の一言と笑みに一刀、凪、華雄がざわつく。おいおい、俺が『よゆうのえみ』をしただけで動揺しすぎだろ。
『三つの出来事』
仮面ライダーオーズで物語の冒頭で前話で起きた出来事を三つに分けて解説するナレーション。
『自爆(サイバイマン)』
ドラゴンボールのキャラ、サイバイマンの技。
ヤムチャとの戦闘に敗北したサイバイマンが死んだと見せかけて油断したヤムチャの隙を突き、抱きついて自爆した。
『よゆうのえみ』
『SPY×FAMILY』のキャラ『アーニャ・フォージャー』がした笑み。
目を細めつつ、相手を小馬鹿にしたように鼻で笑うのがポイント。