真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百九十二話

 

 

 

「……で、どういう事か話を聞こうか?」

「あ、はい……」

 

 

俺は椅子に座り、目の前には正座をする一刀、天和、地和、人和。

正直、この状況は珍しい構図だが今はそれどころじゃない。

 

 

「『数役満姉妹……相手は天の御使い、種馬弟か』随分と面白い記事じゃないか?」

 

 

 

俺は手に持った瓦版を読みながら目の前の四人に話し掛ける。一刀と人和はダラダラと汗を流し、天和と地和は何故怒られてるのか分からないといった感じだ。

 

 

「アイドルにスキャンダルは厳禁なのは分かるよな一刀?」

「そ、そうなんですけど……見られちゃったみたいで」

「何よ、一刀と逢い引きするなって言うの!?」

 

 

俺の言葉に一刀は意味を察しているが地和は分かっていないようだ。人和は分かってるみたいだけど。

 

 

「逢い引きするなとは言わないけど、人前でしたのが駄目なんだよ。しかも瓦版に載ることを目的としたろ、お前等」

「それは……」

「えー、でも、お姉ちゃんも一刀としたかったんだもん」

 

 

俺の溜め息交じりの説明に地和と天和が反論する。いや、怒ってる意味を察してほしい。

 

 

「あ、わかった!あんた、私達に構って貰えないから拗ねてるんでしょ?」

「あ、そうなんだー」

 

 

閃いたと言わんばかりに地和と天和が笑みを浮かべる。人の気も知らないでコイツ等は……

 

 

「姉さん、私達が一刀さんと仲良くする……と言うか逢い引きとかする事でファンが離れるかもしれないんだよ?秋月さんはそれを心配してるんだよ?」

「え、なんで私達が一刀と逢い引きしてファンが離れるの?」

 

 

人和は流石に分かっていたみたいだけど天和は未だに分かってないみたいだ。

応援していたアイドルに恋人が居たってスキャンダルは現代でもあるから尚更分かる話だが、その手の記事がニュースになると離れるファンも少なくない。

 

 

「お客さん達は私達の歌と躍りを見に来てるの。でも私達は他の男の人の物です、なんて言って誰が喜ぶの?」

「話題に上がるって事に知名度は確かに上がっただろうけど良い話題と悪い話題とあるだろう?その差をちゃんと感じてくれ」

 

 

人和の説明と俺の補足に現在の状況が分かってきたのか、天和と地和はどうしようと涙目になり始めてる。まったく……

 

 

「ま、今回は新たに瓦版の発行をさせといたから少しは大丈夫だろう。一刀は数役満姉妹の世話係で一緒にいる事が多いって内容だから少しはフォローになるだろ」

「純一さん……」

 

 

俺のフォローに一刀が感動してる。俺としても栄華から予算をもぎ取った身として数役満姉妹にも頑張ってもらわねばならんのだ。

 

 

「俺もな……お前達には頑張ってほしいんだよ。一刀程じゃないけど俺もプロデューサーとして見守ってきたんだからさ」

「ぷろでゅーさー……」

 

 

俺は椅子から立ち上がると天和の前で片膝を突いて、肩にポンと手を乗せる。感極まったのか天和は涙目になっている。熱意が伝わるのは嬉しいね。

 

 

「ぷろでゅーさー!」

「おわっと!?」

 

 

そこで話が終われば良かったのだが天和は俺に抱きついてきた。突然の事だったので俺は受け止めきれずに押し倒された。

 

 

「ごめんなさい!そんなに私達の事を思ってくれてたなんて!」

「……わかってくれれば良いよ」

 

 

涙声の天和の背をポンポンと叩きながら宥める。まったく普段からこのくらいの態度を示してくれりゃ良いのに。

この後だが俺と一刀、そして天和達と今後のライブについてを話し合った。天和達には以前、話していたミーア的な衣装の話をしたら物凄くテンション上がってたので次のライブは大盛り上がりになると俺は確信していた。

ミーアの服装は派手だけど天和なら着こなせる筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side詠◆◇

 

 

秋月の部屋の掃除をしていたら服屋から届けられたと言う、袋を発見して思わず見てしまった僕は固まった。

中からは下着同然の服が出てきたからだ。アイツ……僕達にこんな服を着せる気なの?

 

なんて思ったけど、服の採寸は明らかに僕や月、桂花に当てられた物じゃなかった。僕は思わず自分の胸に手を当てる。

 

 

「やっぱ……男の人は胸なのかな……」

 

 

言っていて少し虚しくなったけど秋月が帰ってきたら、この服の事を聞かなきゃね。覚悟しておきなさいよ……そんな事を思いながら僕は秋月の部屋の掃除を続けた。


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