Fate/Grand Order~農民は人理修復を成し得るのか?~   作:汰華盧顧

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三ヶ月も遅れて申し訳ありません。
学業やらイベントの集会やらで時間がとれませんでした………。
九月も九月で色々面倒事があり投稿が遅れてしまうかもしれませんが、待っていただけたら幸いです。


土地の広さを現すときに東京ドームで言われると分かりにくいけどヘクタールとかで言われると詳しくない人はちんぷんかんぷんだよね

時折襲ってくるワイバーンをあしらいつつ、農園へと侵入したカルデア組。そんな彼らを、エフィーナが用意したトラップ──「野菜真拳複合奥義──『殺戮農園』(ジェノサイド・ファーム)」が出迎えた。

 

 

 

『殺戮農園』は専守防衛型の奥義だ。

 

この奥義の発動条件は3つ。

 

 

①野菜を引っこ抜くなどの破壊活動。

②許可なく野菜を採って食べる。

③野菜を盗む。

 

 

これらのどれかを行った時、『殺戮農園』は下手人達に牙を剥く。植えられた野菜達がそれぞれの奥義を発動させて下手人達を血祭りにあげるのだ。

 

 

…………と言っても、エフィーナは今回、これが発動することはないと思っていた。

 

理由は簡単、生前にアルトリアに話していたからだ。

アルトリアが忘れていなければ発動させることは無いだろう。そう高を括っていた。

 

 

 

アルトリアは話しを覚えていてくれたらしく、それを伝えることで、カルデア組は安全に進むことができていた。

 

 

順調な道のり。だけどそれは、トラブルメーカーこと、エリザベートの手によって砕かれた。

 

 

 

「ねえねえ子ジカ!これすっごく美味しいわよ!」

 

 

 

エリザベートが見せたのは真っ赤に色づいたかじりかけの大玉トマト。それを掲げて走りだし───

 

 

 

「ふぎゃ!?」

 

 

 

盛大にスッ転ぶ。

その際に持っていた槍が投げられ、トマトの株を切り裂いていく。

 

 

これで条件は整ってしまった。

 

 

まず発動したのは「──野菜真拳奥義──『トマト畑の悪夢』」だった。

 

周囲のトマトが絡み合って人の形になり、グローブになったトマトで殴りかかる。ひょろい見た目とは裏腹な強力な右ストレートにカルデア組は面食らう。

 

すぐに体制を立て直し、反撃に移ろうとするサーヴァント達。

それをぐだ男が制し、一気にここを抜けようと指示を出した。

 

 

 

突破力のあるアルトリアを先頭に、トマト畑を駆け抜ける。

 

トマト畑を抜けた先には、青々と茂る蔓の森、キュウリエリア。最後の一人が入った瞬間、このエリアの奥義が発動する。

 

 

「──野菜真拳奥義──『唐瓜発掘隊』」

 

 

育ちすぎたキュウリが地に落ち、そのまま地面を掘り進んでカルデア組に襲いかかる。

 

 

 

「これ以上ますたぁには手を出させません!『転身火生三昧』!」

 

 

 

しかしキュウリは届かない。

現れた炎の竜が、迫るキュウリを地面もろとも飲み込んでいく。水分量95%を誇るキュウリであっても、宝具の熱には耐えきれずに片っ端から塵となっていった。

 

 

『唐瓜発掘隊』は高速回転するキュウリが相手の体を抉り、内臓をズタズタにする奥義だ。

生身の人間は勿論、サーヴァントとて食らったら霊器に取り返しのつかないダメージを受けることになる。

 

だからこそ、宝具を使って危険を徹底的に排除したのはいい選択だと言えた。

 

 

だが、安心するにはまだ早い。

『殺戮農園』は既に次の手を打っている。

 

 

始めに『ソレ』に気がついたのはエミヤだった。

上空から迫る『ソレ』を撃破するために矢を射る。

矢は正確に目標を射抜き、破壊したが────

 

 

 

「なぁっ!?」

 

「おいおいなんだぁ!またニンジンか!?」

 

「…………いや、あれは───トウモロコシだ!!」

 

 

 

エミヤの上げた驚愕の声は、爆音によってかき消された。

 

 

「──野菜真拳奥義──『クラスタートウモロコシ』」

 

 

トウモロコシの芯から分離した粒が黄色い爆弾となり、畑を巻き込んで辺り一体を蹂躙していく。

奇しくもラ・シャリテの町と似た展開。ただ、ラ・シャリテの時とは違い、今回は攻撃を防ぎきっていた。

 

 

 

「──『熾天覆う七つの円環』(ロー・アイアス)

その程度の攻撃では、この盾は破れはしないぞ……!」

 

 

 

着弾の寸前で『熾天覆う七つの円環』を投影したエミヤはそう言いながら、挑発するようにニヒルに笑い─────すぐに顔をひきつらせた。

 

 

 

 

 

──────後にエミヤは語る。“余計なこと言わなきゃ良かった”と…………。

 

 

 

 

 

エミヤ達カルデア組の目に映ったのは、空を埋め尽くす大量のトウモロコシだった───。

 

 

 

◇=====◇

 

 

 

「どうしたのよエフィーナ?汗が凄いことになってるわよ」

 

「……いえ大丈夫です。なんの問題もありません」

 

 

 

オルタの問いに返事を返す。

表面上は冷静を装っているけど、頭の中は全然大丈夫じゃなかった。

 

遠見の水晶に写し出されるのは今もまだ続く爆撃シーン。爆煙から一瞬見えた『熾天覆う七つの円環』は残り3枚にまで削られていた。

それに対してトウモロコシはまだ7割ほど残っている。つまり、残弾はまだまだ沢山あるということだ。

このまま爆撃が続けば『熾天覆う七つの円環』はまずもたない。かといって、爆撃を止めようにも『殺戮農園』は発動したら最後、目標を消すまで止まらない。

 

完全にお手上げ。

ボクに残されたのは神頼みぐらいだった。

 

 

 

 

 

ま、必要なかったけど。

 

よくよく考えれば彼等には防御系宝具を使えるジャンヌとマシュがいるんだ。防がれるのは当然だろう。

まあ防がれたとはいえカルデア組を消耗させるという目的は達成出来た。しかも誰一人として欠けること無くだ。こんだけできたんだし上出来だと思うことにしよう。

 

 

 

 

 

それから事態は良い方に……いや、ボク今の立場からしたら悪い方にか。どんどん進んでいった。

『殺戮農園』を抜けた先に待ち構えるのはオルタを守る第二の防壁、ファヴニール。

オルタがこれで仕留めると自信満々に送り出したは良かったんだけど、その後が不味かった。

カルデア組の前に降り立ち、高らかに吠えようとしたところにエミヤの投影したありったけの閃光手榴弾と催涙弾が直撃。

なんの準備もしてなかったファヴニールは悶え苦しみ、その間にすまないさんとゲオルギウス以外のカルデア組にあっさりと突破されてしまった。

 

 

ファヴニール、まさかのいいとこなしだ。

 

 

だけどそれを責めるのは可哀想だ。抵抗できないのを良いことに足止め役の二人にボコボコにされているファヴニールを、ボクはこれ以上責められない。

だからせめて、敬礼ぐらいは送るとしよう。

 

 

………因みにオルタだが、閃光手榴弾の光を諸に食らって絶賛ムスカ状態だったりする。

だから遠見の水晶は離れて見ようって言ったのに。

 

 

 

「ううー……目がぁ……目がぁぁ………」

 

「大丈夫ですかマスター。ほら、治療するから手をどけてください」

 

 

 

まぶたに手を添えて治癒魔術を発動する。

これは昔あのくそったれに師事していたときに覚えた、ボクの使える数少ない魔術の一つだ。

あの常時お花畑に感謝するのは業腹だけど………そうだな、次会うときは去勢だけにしてやろう。

 

 

 

「はふぅぅ~~………」

 

「どうですかマスター。………ダメだこりゃ。聞こえてないや」

 

 

 

ここ最近オルタはずっと遠見の水晶を見てたからな。目が疲れてたんだろう。ボクのマッサージ効果がある治癒魔術が絶妙にヒットして蕩けちゃってる。

緊急事態に備えていろいろ仕込んどきたかったんだけど、今はオルタに膝枕をしてて動けそうにない。参ったな………。

 

 

とりあえず監視だけでも続けておこう。

 

カルデア組が今いるのは大広間。

そこに配備されているのはカーミラとヴラド三世の吸血鬼コンビだ。

それに対してカルデア組からは、カーミラにはエリザーベートと清姫のは虫類コンビが、ヴラド三世にはキャスニキが相手をするらしい。

 

ここら辺は想定の範囲内だな。

予想外なことと言えば、キャスニキがボクのタケ・ボルクを持っていることだろうか。

あれは今まで育ててきたタケ・ボルクの中では一番出来が良くて気に入ってたやつだ。あとで返してもらおう。

 

 

次の部屋にいるのはキャスター、ジル・ド・レェだ。

既に準備万端なのか、いつも以上に目をギョロギョロさせて待ち構えている。

 

 

そして扉が開かれ────いや、吹っ飛んできた。

 

 

ちょうど斜線軸にいたジル・ド・レェは扉の直撃を喰らい、ずたぼろになるもすぐに立ち上り『螺湮城教本』を開く。

 

そして今度はマリーの宝具『百合の王冠に栄光あれ』にはねられ、鯱スライディングをしながら壁に激突した。

 

 

 

「……………」

 

「んみゅ…?どうしたのエフィーナ?」

 

「……いえ、何でもないです」

 

 

 

こっそりと遠見の水晶の電源を落とす。

これはオルタには見せられない。いくらなんでも刺激が強すぎる。

 

………いやグロ的な方じゃなくてホラー的な方でだ。

 

首が逝っちゃいけない方になったまま血走った目で怒鳴り散らすジル・ド・レェを見た日には、トラウマ再来でポンコツになりかねない。ラストバトルを前にそれは困る。

 

 

 

「マスター、そろそろ準備しましょう。時期に彼らが来ます」

 

 

 

ジル・ド・レェは、多分だけどこっちには来れないだろう。つまりこの戦いがこの特異点でのラストバトルだ。

少しでも良い方向に行くよう、ボクも頑張るとしよう。

 




なんか今まで出た奥義の殆どが爆発系な気がする……。

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