C.E転生   作:asterism

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早く本編に入りたいため少し駆け足で進みます。


phase4 プラント

プラント、アプリリウスⅠ、アジア・オセオニア共同体高等弁務官事務所

 

「ですから、我が国はこの条件ならば独立を認めると言っているのです。これ以上はまけることはできませんね。」

 

何度も言わせるな、と思いながら駐プラント高等弁務官、野村裕一郎は目の前に座る黄道同盟のシーゲル・クラインを見据える、所詮、活動家か…、穏健派だというが全く交渉にならない、これで強硬派だったらどうなるんだ。

 

「我々としてはこのまま即時独立させてほしいのです。もう投資額分は回収できたでしょう?」

 

できているできていないの問題ではないのだ、独立時にインフラを金で買い取るのはよくあることだ、我が国を構成する州となった国々でもそんな歴史がある。政府はもう損切りを行うことを前提に動いているようだが、それにしたって「国民を納得させるための利益」は必要だ、結構高い金を払っているのだ、こんな非効率なコロニーを作るために、我々のコロニー計画は結構な遅れを余儀なくされている。プラントがなければ、L4宙域のコロニーはもっと充実していただろうし、現在建造中の総合観光コロニーもとっくの昔に完成していただろう。

 

「いや、そういう問題ではないのですよ、プラントを国家として独立させるには国民を納得させねばなりません」

 

「そのために金が必要…と?今まで大量の資源や機械をそちらに納入してきたではないですか」

 

…こいつ、自分の住んでる地域の貿易額すら把握していないのか?我が国はベースマテリアルや各種希少資源はプラントから輸入していない。機械はエレカなど誰が作っても大体同じなもののみだ。正直取引額も微々たるものだ。

 

「そもそも以前お話しした通り、ユーラシアや大西洋の承認は取ってきたのですか?正直、我々と交渉しても意味がないでしょう、最大出資国の意見のほうが重要ですよ?」

 

そもそもウチに独立交渉に来る方が間違っている、ウチが独立交渉に比較的温情なのは出資額が低く、『無くなったら無くなったで代替施設の準備が整っているから』だ、トカゲの尻尾なのだから惜しくない。それだけの話なのだ。こいつら最近秘密裏に兵器開発をしていると聞く、先ごろ情報省の連中が本国とと連絡を取っていた話を聞くに、モビルスーツなる兵器の開発が進んでいるらしい、ドデカイ花火でも打ち上げる気なのか…。

 

「…いえ、まだです」

 

「話になりませんね、我々と交渉しても無駄でしょう、彼らが納得せねばプラントの独立など夢のまた夢です」

 

優秀なコーディネイター様()とはいえ政治は素人か…と思いながら野村はシーゲルに帰宅を促す。まぁ確かに無駄にストライキの頻発しているこの情勢では購入費用を捻出するのも大変だろう、ストライキを主導しているのが黄道同盟というのは何のジョークだろうか。そもそも大西洋連邦やユーラシアでは機動隊を投入して鎮圧にかかっていると聞くし、東アジアは軍を投入したと聞く。ただでさえコーディネイターは減りやすいのに6000万ぽっちの国で余計な流血は控えるべきだろう。支配者側の理屈だろうがまじめに働いていたほうが話も聞いてくれるだろうな。支配者側の理屈だが。

 

「なんにせよ軽挙妄動は控えてほしいな、戦争など損しかない」

 

人種対立…と言っていいのかわからないがナチュラルとコーディネイター…理事国とプラントの対立は深刻さを増している、国によってはブルーコスモスが大っぴらに闊歩し、コーディネイターへの襲撃行為をしていると聞く。ジョージ・グレンも余計なことをしてくれたものだ、黙っていればよかったものを。と思いながら野村は書類仕事を再開するのだった。

 

 

/////////

 

一方そのころ…白兎のMS研究室では…

 

「90㎜ブルパップマシンガンが完成したぜ!!」

 

研究室の扉を蹴破り突入してきたのは、火器開発担当を統括しているの南部さんだ。

 

「早速テストだ、鶴野!!」

 

「はい」

 

90㎜ブルパップマシンガン、一年戦争後期の連邦軍の主力マシンガン。オリジンでは鉄騎中隊のガンキャノン最初期型も装備していた武装だ。MS一号実験機でテストした57㎜連装機銃は使えないこともないが、やはりジンは防ぐのではないかという意見が強いため、専用の火器開発が急がれたのである。127㎜キャノンは…127㎜自体が旧式なので採用が見送られることになった。

 

「それと、保険用の90㎜マグナムライフルも完成したから現在開発中の機体が完成したら使ってみてくれ、たぶん今の機体じゃ関節が持たん。」

 

万が一に、ジンが90㎜機銃を防ぐような機体ならば装薬の強化を行った特殊弾を使ったライフルを採用するらしい。見た目的にはジムライフルみたいな感じだ。普通の90㎜弾も使えるのでマグナム弾が無駄になってもこのライフルは無駄にならないらしい。ドラムマガジンをつけて分隊支援火器化しようという計画もあるとか。120㎜バトルライフルという保険もあるらしいがこれは弾薬をスナイパーライフルとかと共用するらしい、あとは高級機用の装備とかとしても考えられているみたいだ。

 

「そこまで威力を上げたのか?一応ショックアブソーバーなしでの120㎜の使用も考慮して作ったのだが」

 

MS一号実験機は必要以上に堅牢に作られている、その分機動性が落ちているけど計算の範囲内だそうだ。そんなものスラスターの変更でどうにでもなるらしい。冶金技術は優れている国なのでその手の頑丈な合金は多いそうだ。

 

「あ、それなら大丈夫だな。あと120㎜バトルライフル、バズーカ、携行レールガンはちょっと待ってくれ、担当の連中も努力しているが…」

 

申し訳なさそうに南雲さんが言う、が、正直90㎜マシンガンと75㎜ガトリングでもジンを落とせないことはないだろう、イーゲルシュテルンで墜ちてる描写あるし。だからなのか、バッテリーに不安があるからなのかビーム兵器の開発はまだ進んでいないし、最初期の量産型に搭載する予定はないらしい

 

「気にするな、5年以内に完成させれば問題はない。こっちもこの実験機の開発が終わればジムクゥエル相当の実験機…いや試作機を開発する予定だ、おそらくそいつがヤキン・ドゥーエ戦役時の主力MSとなるだろう」

 

現在、MS開発チームはムーバブルフレーム実験機の名称でガンダムMk2相当の機体を製作中てある。と言っても核融合炉を搭載していないし、ビーム兵器がまだ開発されていないので実弾兵器を積んだバッテリー駆動のガンダムMk2もどきというのが正しいのだが、今はまだ構想段階なのだがフレームだけでも結構高額になってしまうことが分かったのでムーバブルフレームを腕部などに利用した機体を量産型とする予定だ。

 

/////////

 

アジアオセオニア共同体 スラバヤ 行政府

 

「はぁ…またか、あのコロニーは変わらんな」

 

アジアオセオニア共同体大統領、ラーフル・ボースはある書類を片手に呟く。周りにいる閣僚も曖昧な表情で沈黙している。

 

「聞けば兵器開発をしているという噂まである、そこはどうなのだ?国防大臣」

 

「現在白兎にて検証中です。無重力下ではかなりの機動性を有するのではないかというレポートも上がっています」

 

「なるほどな、ではムーアや月面都市群の防衛は大丈夫かね?」

 

「問題がない…とは言えないでしょう、このモビルスーツと呼ばれる兵器をわが国でも戦力化する必要があると考えます」

 

「目には目を…といったところか?まぁいい、予算に関しては任せる」

 

「承知しました。」

 

「いい、私は軍事に関しては素人だからな」

 

大統領はそう言うと次の議題に入る。

 

「ムーア建造に使っているコロニービルダーだが、確か三機目が就役するはずだったな、我が国は人口問題を抱えているからな、コロニーの建造が早まることは喜ばしいのだが資源はどうなっている?」

 

混乱した地域はあったものの、大西洋連邦に次ぐくらいの速度で統制を取り戻したアジアオセオニア共同体は現在人口が増えすぎている。食料は食糧生産コロニーやオーストラリア、インド、メコンデルタなどの大規模農業で問題ないのだが、土地が足りないのだ、そのため宇宙進出が加速化している、アジアオセオニア共同体のコロニーが密閉型な理由も居住可能スペースの問題である。

 

「現在、コンペイトウ及び月面都市群の資源採掘施設は平常通り稼働、それからアステロイドベルトより新たな小惑星を引っ張ってくる計画です」

 

「そうか、わかった、コロニー公社の予算には口出ししないが、その小惑星もコンペイトウのように?」

 

軍事要塞にするのか?ということだろう。コンペイトウはコロニー公社というコロニーを建造している国営企業と軍の共同管理である。資源採掘スペースをコロニー公社が、港湾部や軍事施設を軍が管轄している。

 

「現状未定です。ただ、コンペイトウに近い大きさのものを持ってくる予定ですので、そうなる可能性が高いかと。」

 

「そうか、まあ、いい…それでは次は、まぁご存じのとおり、再来年、C.E68年には私の任期が終わるわけだが、来年行われる大統領選挙で我が党はタクシン財務大臣を代表として指名したい。異論のあるものは居るか?」

 

その問いに誰も手を上げない、タクシン本人は困惑している。

 

「そうか、ではタクシン、よろしく頼むぞ」

 

そう言って大統領はタクシンの肩をたたきながら会議室を後にする。

 

 

このあと行きつけの居酒屋でヤケ酒をしているタクシンが目撃されたという。

 

 

 

 




年表を見ていたらふと気づいたのですが、メビウスって意外と新しいんですよね…公式年表だと血のバレンタイン後に急遽量産開始らしいです。ユニウス7に核を撃ち込んだメビウスは先行量産型とか、試作型だったのでしょうかね?

さて…新たに引っ張ってくる小惑星はア・バオア・クーにするかア・バオ・ア・クゥー(おそらく元ネタ)のほうにするかそれとも別の名前にするか…。ちなみにソロモンではなくコンペイトウな理由はおそらくザフトがプラントをソロモン王の神殿に例えて要塞を名付けているんじゃないか?という個人的な考察からです。(ソロモン王が神殿の前に建てた柱の名前がボアズとヤキン)さすがにソロモンなんてものがあれば(アジアオセオニア共同体にある限りソロモン諸島が由来だと思いますが)ボアズとヤキン・ドゥーエの名称が変わってしまうのではないか?と思い、コンペイトウとすることにしました。

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