C.E転生   作:asterism

22 / 28
HG鉄華団コンプリートセット…畜生バンダイめ、何てことしやがる。魅力的じゃないか…。でも値段的に多々買いに向いてなさすぎる…。


phase19 原作開始

C.E.71 1月25日 大西洋連邦 アズラエル財団 オフィス

 

「…すいません、もう一回言ってくれますか?」

 

「うむ、頼む、どうも耳がおかしくなったようだ」

 

「はっ、ヘリオポリスをZAFT艦隊が襲撃、G4機が強奪されました」

 

「「「…」」」

 

オフィスは居心地の悪い沈黙に支配される。丁度、アームストロング大将と会談を行っていたアズラエルの元に凶報…、いや狂報がもたらされる。

 

「ちょっと待ってください、ヘリオポリスはオーブのコロニーですよね?」

 

「そうですな…、中立国のオーブのコロニーです」

 

「バカなんでしょうか?ZAFTって…」

 

これまでの行動すべて総合してみてもバカだろう。アームストロング大将はそう言いかけるが、言葉を飲み込む。なんだかかわいそうな気もするが、彼の中のコーディネイターへの誤解は誤解のままにしておく方が良い。少なくともこの戦争が終わるまでは。

 

「まぁ、間違っていない部分だけを切り抜くとすれば、あそこではハルバートン主導のMSが開発されていました。それを未然に防ごうとすることは間違いではないでしょう」

 

それ以外間違いしかありませんが。とアームストロング大将は言外に呟く。中立国には兵器輸出禁止の義務はあるが共同開発禁止などの義務はない。

 

「別に強奪されようと破壊されようとデータがあるのですが…」

 

「考えない方がよろしいかと、私もどうしてその様な行動に至ったのか判断がつかない。理由などより、奪われたことの方が深刻でしょうな」

理解不能の事態に混乱しているアズラエルを諭すようにアームストロング大将は言う。

 

「そういえばそうですね、どうしましょうか?」

 

「まぁ、フェイズシフト装甲もビーム兵器もZAFTを念頭に置いて開発されたもので、当のZAFTに渡っても、こちらが対応できないものではないのだが…」

 

技術がすべて取られた事が大問題だ。なんてことをしてれる。

 

「…取り敢えず、量産型アークエンジェル、スローンズ級の建造体勢は整いましたし、3月には1番艦、その後5月から月産1隻体勢で就役予定です。標準型主力戦闘艦統合計画、StMC71とStDE71はAOCと共に計画を進めていますし…、ご要望とあらばドミニオンとこちらのGのロールアウトを急かしますが…」

 

カイラス級巡洋艦は、あくまで旧式艦の改良型であり、発展性がすでに無い。間に合わせる為に既存の設備や、部品を使い回すための苦肉の策だったが、ここまで戦況に余裕があるのならばいいじゃないかということで、新規設計をする事になった。大西洋連邦を巻き込んで、「地球連合軍の新型主力艦」として計画する事になったのは予想外だったが、これは、大西洋連邦が既存艦の改装に見切りをつけたのが大きい、現存の艦艇では、MS運用艦として適する物がないとの結論が出たらしい。アガメムノンで12機、カイラス級と同等というのは非効率だということらしい。多くの艦艇を失ってしまったこともあってスムーズに進んだ。

 

「ふむ…、必要ないでしょう、今必要なのは強力なMSではなく、数か揃えられるそこそこのMS、ハイエンド機はそのあとで充分、極論無くても良い。エースに良いものと良い環境を与えたいというのは理解しますが、…実際の戦場は、誰でもないものが英雄を殺す。あのOSのネーミングは秀逸ですな」

 

「誰でもない」なんてネーミングは軍にぴったりだ。とアームストロング大将は続ける。

 

「成る程、わかりました。ではそのように」

 

と笑顔で言うと、アズラエルは、助かったアークエンジェルへの救援の話をつけるために作戦本部へ行こうとアームストロング大将を誘うのであった。

 

――――――――――

 

1月27日 スラバヤ 会合

 

「ついに原作開始、か」

 

「ヘリオポリスは崩壊、G4機の強奪、原作通りだな」

 

会合は、先ごろあったヘリオポリス崩壊に関しての対応を話しあうという名目で集まっていた。やることなどないのだが。

 

「ついでに言うと、オーブからの依頼でジャンク屋がヘリオポリスに仕事に行っているようだ、ユーラシアの依頼で傭兵も動いている。こちらも、原作通りでいいのか?」

 

「ロウと劾か?まぁ、気にすることでもないだろ、アストレイは」

 

ジャンク屋に関しては、時々臨検くらいはするが、それ以外ならば自由だし、入港税や防疫検査をきちんとしてくれれば進入禁止区域以外問題なく入港できる。基本的に、必要以上にかかわる気はない。

 

「プロトジンやそれを利用したワークスジンは既にジャンク屋持ってるしな、それよりも性能的には上だろうが、武装さえしてなければ文句は言わん、作業用にナイフや工具程度なら認めているのだし、サーベルラックにはビームサーベルではなくアーマーシュナイダーでも装備すれば良いのだろう、ウチが販売しているスコップやツルハシ、という手もある」

 

藤田の手に握られているのはGGジャーナルという、ジャンク屋ギルドの発行する刊行物だ。活動のアピールらしい、ほかにも、ジャンク屋への仕事の斡旋や装備の広告などが入っているが、本質はジャンク屋のイメージ改善だ。アウトロー集団のイメージが抜けていないので。そこそこ名の通ったフリージャーナリストを何人か専属契約して作っているようだ。表紙には、スコップやツルハシなどを使い、ドックを作っているワークスジンが写っている。

 

「あぁ、装備することを強いられているんだ!!ってCMのアレな、思い切り武器として使えそうなんだが…ってか、ジャンク屋には必要ないだろ、アレ」

 

スコップなんてどこで使うんだ?と言いたそうにタクシンが言う。

 

「ツルハシやエンピが武器として使えないわけ無いだろ、まんま武器として使えるぞ、バールのようなものも作りたかったが…」

 

陸軍工兵隊を統括している人物が言う。ちなみに彼らはそのCMの制作にジャンク屋とともに全面協力している。

 

「そこまでネタに走らんでも…、というかバールなんてどこで使うんだ。工具とかワイヤーガンとか、使いようによっては武器として使えるが、宇宙作業にも使うからな。ジャンク屋は大西洋連邦が掘り尽くした小型小惑星を改造して拠点に仕立てあげてるらしい、既に目ぼしいもんは取れんし、補給も大西洋連邦の民間輸送企業と専属契約って約束でかなり安く仕入れたらしい。といっても、鉱員の生活設備すら外で、完全に鉱山としてしか使っていなかった奴だし、ドックの新造や港湾設備と生活設備の拡充なんかでスコップやツルハシの需要もあるんだろう」

 

と湯野教授が締めくくる。この後、ユーラシアの要塞、アルテミスが襲撃された報告が入り、一同顔を顰めるのであった。

 

―――――――――

同日 ZAFT ホーク隊 キュリー 隊長室

 

 

「任務は了解した…だが、この補充要員って…」

 

《悪いな、使いづらい奴で》

 

ユウキが画面内で詫びてくる。

 

「腕は確かだ、そこまで不満もない」

 

通信が表示されている端末の右端に出ている機体と搭乗員のデータを見て顔をしかめる。問題児を二人も押し付けられた…。新装備も貰っているが、だからこそ指揮に穴が開かないようにせねば…。

 

「で?クルーゼへの援軍だ?あいつはさっさと本国に呼び戻して軍法会議…じゃなかった、査問会にかけるべきだと思うがね」

 

大西洋連邦軍が中にいたとはいえ、中立国のコロニーを襲撃、崩壊させたのだ。オーブは不気味なほどに沈黙しているが、普通ならば、抗議の二三飛んできているだろう。

 

《呼び出しはしたさ、まぁ、処罰などは与えない方向らしいがな、士気に関わるそうだ》

 

ザラ委員長含め反対意見も多かったようだが、結局は押し負けたようだ。とユウキは続ける。

 

「そんなこと言っている場合じゃないと思うがね。というか、悪例を作るだろそれは、これでオーブまで参戦したら戦犯だぞ戦犯。それに俺あいつ嫌いなんでな、何考えてんのかわからん、下手すりゃ活動家より性質悪いぞ」

 

何を考えているのかわならない、そして不気味だ。勝利にかける情熱は買うが、手法を問わないのは間違っている。それに、いちいち行動が怪しい。…そもそも、あの謎の情熱が向かっている方向は「プラントの独立」なのか?

 

《…、まぁ、私もいろいろ疑問には思っているがな、だからと言って証拠がないのに罪に問うわけにもいかない。評議会の連中も、処罰には反対しているしな》

 

ユウキも納得していないといった顔で言う。

 

「わかっているがね…まぁ、落ち着いたらちゃんと軍法くらい作れよ…未だZAFTすら掌握できていないのが実情だが、このまま戦争続けたら、俺らが終わる。城を枕に…、なんて趣味じゃないからな。娘のためにも死ぬわけにはいかん。ところで、そんなに急ぐって…、クルーゼは何を見つけたんだ?」

 

《大西洋製ハイエンドMSを鹵獲…したが、1機と、その搭載艦になる予定であった艦を逃したらしい、…長距離通信で虫食いだらけだが、こちらに伝わった情報はそちらに送った。確認したか?》

 

「あぁ、これクラスならコンペイトウにも小隊規模で居やがったぞ」

 

PS装甲とやらが採用されているのかわわからなかったが、これと同じような機体が三機も暴れていた。一機パーソナルカラーだったし、隊長機なのだろう。コンペイトウに三機ということは、月や地上の有力拠点にも数機配備されているということだ。

 

《…コンペイトウは新兵器の実験場としての側面もある。AOC製の実験機だったのだろうな、いや少数とはいえ配備されているのか?…マズいな》

 

「ああ、それに、露払いに汎用型の改修機も連れていた。そいつらでシグークラスの性能はあるんじゃないか?…というか、この装甲役に立つのか?向こうはMS携行型のビーム兵器を実用化しているんだぞ」

 

後ろにバインダーのついた汎用型や、特徴的なバックパックを装備した汎用型を思いだしながら言う。中身も精鋭ではあっただろうが、性能も高かった。

 

《本格的にマズいな…見たところオーソドックスな機体のようだが…、こちらはそれ以外にも新技術をいくつか採用しているらしい。ジンよりも大分進歩しているようだ》

 

「…それをおとなしく認めるのが何人いるかね…。まぁ、そっちは任すわ、頑張ってくれ」

 

政治的なことはあまり得意ではない。こういうのは適材適所だ、事務官僚や参謀をやるのはユウキでいい…。もう2,3人必要ではないかとも思うが、できないやつが言っても迷惑をかけるだけだ。

 

《マックス、本音を言うと君やタカオには戻ってきてほしいのだがね…》

 

「タカオ呼び戻せよ。俺、政治できないし」

 

俺と比べたらタカオのほうがそういう政局やらを見分ける力があるだろう。そう言うと、二、三意見交換して通信を終わらせた。

 

「ふぅ…、クルーゼ隊…ね」

 

手元の端末からクルーゼ隊のデータを探し出し顔を顰める。なんだこの人員は、面倒とかそういう次元じゃない。というか、英雄とはいえ、御曹司をあんな身元すら怪しいやつに任せるとか議員方は正気か?…ザラ議長もまだまだ勉強が足らんのだろうな。いや、政治家になるには人を信じすぎている…か。

 

「…とりあえず本人確認可能な写真の提出は義務付けるべきだろ…普通…」

 

クルーゼの個人情報にあった仮面付きの写真を見て思わずつぶやいた言葉は、あまり関係ないけど多分間違ってはいないだろう…。

 

―――――――――

 

コンペイトウ 密閉ドック 501試験戦闘大隊旗艦ズルフィカール

 

「新型CIWSへの換装作業は完了…なんだけど、こんなやっつけ仕事が高性能…大西洋連邦って…」

 

作業用のツナギの上からフライトジャケットを羽織った状態で作業の進行を確認する。所属部隊の艦とはいえ、MSエンジニアなのにどうして艦艇整備にまで駆り出されてるんだろうな…俺。人手が足りてないのは知ってるけど、ここには相応にADTRDの職員いるのに。

 

サージェントヨーク対空機関砲システム(連装型)、MS用の52㎜機関砲ポッドの機関部と砲身に索敵レーダーと追尾レーダーをそのままポン付けするというやっつけ仕事の割になかなかの高性能だ。オーブ製のイーゲルシュテルンは確かに高性能である。しかし、見てわかる通り大きすぎるため、その装備重量と必要容積上、小型艦艇、護衛艦や駆逐艦などに装備するにはどうしてもそれを前提とした設計が必要であり、他の装備を大幅に圧迫していた。そこでこれの出番である。確かに威力は下がるが、それ以上に省スペース化、軽量化の利点が勝ったことと、大西洋連邦とAOCは「兵器からオーブの関与を完全排除する」という方向で同意、つまりゴットフリート、ローエングリン、イーゲルシュテルンの排除を決定したためである。そういえば全く関係ないはずなのにどうしてドイツ語を使っていたのだろう…。そんな裏側もあって採用されたCIWSだが、なかなかに高性能だ。

 

「それから…明日の出航に向けて必要物資の積み込みも完了、次の航海は…護衛任務?…なんでアルスター連合事務次官がこっち来てるんだよ、あ…あのネルソン級はそれか」

 

ネルソン級がこんなところにいる時点でおかしいと思えよ俺…。というか、第8艦隊ではなく第7艦隊(コンペイトウ艦隊)がアルスター事務次官を護衛するのな…。本格的に「ハルバートンを信用していない」と見える。いや「まぁ…現状の第8艦隊にマトモな戦果を期待することが間違っている。ハルバートンは確かに名将だ。だが、ああも部下を艦隊再編の名目で引き抜かれ、新兵ばかりじゃ厳しい。部下が彼の指示についていけないだろう。彼の提出した戦術レポートは現状MA部隊に救世主扱いされているらしいが。おそらく死ぬ未来は変わらんだろうな」と、会合に行く前に報告書を提出したとき、阿部指令が話していた。

 

「まぁ…止められんもんはしゃーなしだ、そもそも、作っちゃった経済圏への責任を果たすだけだしな俺たちは。そうだ、明日の飯は…おっ、明日の昼はシャハン麺と棒棒鶏風サラダか…麺が古式ゆかしい宇宙食対応型じゃないともっと嬉しいんだがな…」

 

PDAの中に入っているパゴタ主計課の掲示板から、明日の昼食メニューがシャハン麺、海軍ラーメンであることを知り喜ぶ。麺こそ卵白でブロック状に固められたものだが、それは仕方のないことだ。ついでにハラル対応型メニューとかも貼ってあるが、お世話になることがないので放置である。

 

「よし、じゃあ寝ますか」

 

PDAをポケットにしまいそうつぶやく、もうやることもないので寝る。残念というかなんというか、停泊中でも届け出をしない限り、艦船勤務者は所属艦の自室で眠る必要がある。乗船用のタラップまでジャンプし、ズルフィカールの自室へ向かうのであった。




OS開発陣「え?(困惑)…ま、まぁ、そうですね、そんなこと考えて名づけました(嘘)」

StMC71とStDE71は新型の巡洋艦と護衛艦です。多分中盤から後半にかけて登場すると思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。