C.E転生   作:asterism

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ちょっと薬物描写とかいろいろ出てきます。…ここまでロクデナシ書く必要あったかなぁ…。とも思いますが、ぶっちゃけ、割と抑圧された場所からアフリカに放り出されたらこうなるよ(白眼)だと思います。まぁとにかく、薬物ダメ、絶対


phase18 アフリカ解放作戦開始

CE70 11月24日 アフリカ ZAFT ザンジバル基地

 

「ふあ~ぁ…眠…」

 

緑のパイロットスーツを纏った青年がジンのコクピットで欠伸をする。立哨任務など退屈なだけで何もないじゃないか。目の前が海なのは救い…か?と思いながら、基地近くの商店で買ったお菓子の入っている袋に手を伸ばす。確か眠気覚ましのタブレット菓子が入っていたはずだ

 

《気を抜くなよ…》

 

ジン・フェムウスに乗る同僚が、あきれたような声でこちらに話しかける。

 

「そうはいってもさぁ…、暇、それに昨日街のカワイ子ちゃんとさぁ…ってわけで寝不足なんよ」

 

コーディネイターは、見た目のいい連中が多い。わざわざ「作る」のだから当然といえば当然だが、ついでに言うと、既に婚姻統制を敷いているプラントの住民は、こちらに来てから、街に出てそういう遊びを覚えてしまい、ハマる連中も多いらしい。

 

《大丈夫なのかそれ?病気とかドラッグとか》

 

アフリカ北部は現状無法地帯に近い。理事国が触れたがらない理由も、ユーラシアがわざわざ南アフリカを焚きつけて、マスドライバー向けの土地を確保したのも、治安の悪さ、無駄にメンドクサイ部族間対立が原因だ。まとまっているのが不思議な国でしかない…。

 

「問題ないんじゃねーの?対策はしてるし、なんか渡されて吸ったけどアフリカ共同体じゃ合法らしいし」

 

120%アウトである。と通信相手の同僚は思う、彼は薬品関係の仕事についていたのだが、…まぁその手の薬でアウトでないものはない。プラントでは間違いなくアウトだろう

 

《…アウトだろそれ。というかまぁ…この辺での抜き方なんて酒かソレくらいだろうけど…自重はしろよ。帰った時医療機関のお世話になるぞ》

 

医者にかかった程度で依存症が抜けるわけではないのだが。薬物所持などの再犯率は高いと聞く。プラント自体がけっこう抑圧された空間のため、自由な場所に放り出されれば、乱れもするだろうが、倫理観とかどこに行ったんだろうなぁ…。と同僚は思う。

 

《ん?》

 

「どうしたんだ?」

 

《いや…なんか変な音が…ウッ!?》

 

「おい?どうした!?ってウオッ!?」

 

海面から複数のミサイルが上がる。敵の奇襲か?

 

「こちら沿岸防衛部、敵の襲撃を確認!!クソ!!どこに隠れてやがった!!」

 

《こちら司令部、了解、スクランブル、スクランブル!!MS搭乗者は格納庫へ、待機組は即出撃!!》

 

「早くしてグギャ!?」

 

ジンに乗ったパイロットはソードフィッシュのメーザーを受けコクピットが爆発、絶命した。

 

―――――――――

 

AOC地上軍において、もっとも重要視されているのは海軍である。当たり前の話であるが、AOCは他の大国に比べ、領海面積、経済水域面積ともに大きい。なのでそれを守護する海軍に最も予算が振り分けられている。かといって陸軍や空軍が不遇なわけでもないが。なので、汎用型の次に制式化されたMSは水陸両用型であった。

 

「敵の排除を確認、揚陸地点確保。航空隊、爆撃を開始してくれ」

 

《こちら航空隊、了解、巻き込まれるなよ?》

 

「そっちが誤爆しなきゃな。それから、一応、アフリカ解放の橋頭保にする予定だからな?壊しすぎるなよ?」

 

解放、といえば聞こえはいいのだが…、その…ぶっちゃけ、「アフリカ共同体の崩壊は防げない」と理事国は結論付けている。なのでアフリカ東部沿岸地域、最悪ソマリア、エチオピア、ジブチ、欲を言えばエリトリアまで確保し、国家を立ち上げる。という風に動くことが確定している…エチオピア国だか、アクスム国だか、サアバ国だか知らんが、まぁ、国名は現地住民が決めればいいのである。裏に何がいようと、大国の思惑が絡んでいようと、建前上は民族自決に基づいた独立なのだから。幸い、ジブチやエチオピア、エリトリアなどの地域には、旧世紀から大西洋や我が国の経済圏の国家や企業が支援を行っているため、つながりがあり、根回しも開始している。ソマリアにも、漁業基地があったりするため、こちらの現地住民の懐柔も始まっているらしい。今回の戦争で閉鎖したのだが…その連中が海賊行為を行っているらしい…最悪、沈んでもらうしかないな。

 

「ま、しゃーないわな、プラントに付いちゃったんだから」

 

敵に容赦してもこちらの死人が増えるだけだ。恨むんなら自分の国の政府を恨め。とソードフィッシュ隊の隊長は結論付け、作戦行動を再開する。

 

この日、ZAFTはザンジバル島を失った。

 

―――――――――

オーガスタ アズラエル財団先進医療研究所

 

「『最も抵抗が少ない道は、敗者の道です』とはいいますがね…、さすがにこの抵抗、とやらは我々に相応しくありませんね」

 

目の笑っていない笑みでアズラエルは目の前に座る研究者を見る。そんなに怯えなくてもいいじゃないか。別に取って食ったりしないし、物理的に首が飛ぶこともない。

 

「で…ですが、コーディネイターの能力はきょう「そんなことは解っています。だからこそ我々は、我々の、ナチュラルの能力で奴らを打倒せねばならないのですよ」」

 

あ、詰んだ…と思いながら研究者は目を瞑る。彼は敬虔なブルーコスモスシンパであり、ブースデットマンの研究をしていた。現場の暴走で。アズラエルは一貫してその様な主張をしていたのだが、どうも、熱心なシンパを自称する連中は彼の主張を曲げ、自分の主張を通すための道具にしていたようだ。

 

「まぁ、貴方なりに空のバケモノ共に勝つために努力をしていたのは認めましょう。この研究を見逃してしまったことや、ここで使われたような困窮している孤児が生まれてしまったのは国の落ち度でもあります。あぁ、我々の落ち度でもありますね、資本家というのは寄付や慈善事業などで社会貢献しなければならないものですから。兎に角、この研究は中止してください…いや、できる限り、人間らしい生活が送れるだけの治療を施すための研究を継続してください。難しいのは理解していますが、ここまで弄れて戻せない。というのは無いでしょう?能力なんて気にせずやってください。それから未だ外科的措置や薬物投与を施していない子たちの施設は孤児院へ改組しましょう…あー…でも、ここまでの軍事訓練を施せるとなると…。アームストロング大将とも相談しないと、絶対軍内部に噛んでるやつがいる…、余計なことをしてくれる…」

 

アズラエルは爪を噛みながらぶつぶつと何かをつぶやく。

 

「ホイットニー少佐、アームストロング大将に連絡をお願いします。なるべく早く会談を行いたいと伝えてください」

 

アームストロング大将が連絡役として寄越した若手将校にそう伝える。連絡役にしておくには勿体ない能力の持ち主なので重宝している。

 

「はっ、あちらの予定に合わせる形でよろしいので?」

 

「現状、私の抱えている仕事はそう多くはありませんから…。部下も妻も過保護が過ぎます」

 

困ったような顔でアズラエルは言う。いや、あなた放っておいたら倒れるまで仕事するじゃないですか。と言うか本当にナチュラルなんですよね?と思いながらもホイットニー少佐は承諾する。

 

「了解しました。ではそのように伝えます」

 

「よろしくお願いしますよ?」

 

アズラエルの返答を聴くと、ホイットニーはアームストロング大将に連絡をつける為に部屋を出る。この日を境に、ブースデットマンの研究は中止されたのであった

 

―――――――――

 

CE70 年末 スラバヤ 会合

 

「…と、いうわけで、アフリカ解放の足掛かりとしてザンジバル島を確保、南アフリカには銭がめを供与、MSを運用できる金は無いらしいからな。兎に角、太平洋がほぼほぼフリーなのが効いてるな、オーブはでしゃばって来ないし、ウチの機体も、大西洋のスピアヘッドとスカイグラスパーの改良型も良い…というか、撃墜できるだけの火力積んでるなら航空機でもいいんだな…」

 

と古賀がAOC指揮の担当区域の戦況報告の締めくくりに言う。

 

「…そりゃそうだろ、速度が速いほうが強い等言うつもりはないが、まぁ、ディンなんぞ好きな方向に攻撃できる以外の利点なんぞないからな。戦術を構築してしまえば、MSの魔力は途端に消える」

 

何のためにMA形態のみとはいえ、フラッグやブラストを超音速飛行ができるよう作ったと思っているんだ、と湯野教授が返す。

 

「各国の戦線も戦況は順調…、というほどではないが、順調に敵戦力を消耗させているな。ウチと大西洋だけでなく、ユーラシアや東アジアもMS投入の目処がたった」

 

ストライクダガーだがな、と苦笑しながら連合司令部に詰めている軍人の一人が報告する。

 

「…そういやヘリオポリスってどうなってんの?」

 

官僚の一人が今思い出したと言わんばかりに質問をする。

 

「予算削られた状態で継続中だな…。名目上はハイエンド機開発となっているが、地球で開発された技術やデータも回されてないらしい、飼い殺しだな」

 

そもそも、ラミネート抜きの105ダガーが開発完了している時点であそこで開発している意味のある機体ってイージスとブリッツくらいだしな。続けてるのは予算かけすぎて引っ込みが付かなくなってるらしい、と大西洋連邦との技術交流を行っている部署にいる技術者が言う。

 

「うわヒッデェ…」

 

「仕方ないだろ?何せ組んだ相手がなに考えてるかわからんオーブだ。続けてるのは、むこうさん、オーブから取れるもん取れりゃ良いって判断らしい」

 

「オーブの技術って見るもんあるか?」

 

「何気に各国と共同開発しまくってたからな、まぁ、高い水準で纏まってはいる。バカにはできんぞ」

 

まぁ、ウチの技術は粗方古いものになっているがな、と工廠長が言う。

 

「バッテリーに関しては大西洋連邦に勝るし、ビーム兵器は少し劣るくらい。火器関係はユーラシアに微妙に勝り、電子機器は大西洋連邦と同等だ、金属加工や材質工学こそ大幅にウチに劣るが、MSの装甲ってどうしても限度があるからな」

 

その辺は関係あるまいよ、と湯野教授は続ける。

 

「成る程、貰えるもんは貰うべきだな。アストレイ自体、技術を盗んで作ったものなのだし、こちらが盗んでも文句は言えん、いや言わせんさ」

 

と、藤田が締めくくる。この日の会合はこれで終了した。

 

 

 




アズラエルの脳内コーディネーター平均値

キラ+鋼メンタル+コミュニケーション能力+アズラエル以上の事務処理能力

果たしてこのような怪物がこの世界に存在するのでしょうか?って感じですが。


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