C.E転生   作:asterism

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RGユニコーン!?…また、技術力が素材強度を追い越しそうな物を…。完全変形は…MGですらアレなんだし…初めて変形させたとき感動したけど。

時間、4か月飛びました。


phase15 予定調和

10月14日、スカンジナビア王国首都ストックホルム。ストックホルム公会堂。AOC大西洋連邦首脳会談

 

「ふむ、では、準備が終わった。という認識でよろしいのか?タクシン大統領」

 

なるほど、ついにか、といった様子でアーヴィング大統領がタクシンに言う。

 

「えぇ。まぁ、反攻に出るのはそちらとほぼ同時期としても、今くらいから戦闘慣れしていなければなりませんから。現状、戦闘経験は特殊部隊ばかりですし」

 

まぁ、いざ戦場に出てポンポン落とされるような連中でもないと思うが、それでも、訓練だけじゃ何かあったときに困る。とタクシンは心の中で呟きながら答える。プラント独立はほぼ決定としても。だからと言って、無差別攻撃にさらされて黙っているほど寛容でもない。「一発だけなら誤射かもしれない」など、平和ボケの戯れ言に過ぎないのだ。今回の場合受けた被害も洒落にならない。融合炉があるとはいえ、軌道爆撃と何ら変わらんのだ、アレは。開戦時期が遅れたのは、国内の復興を優先したからだし、軍の装備更新を済ませておきたかったからだ。

 

「そうですな。やはり経験は必要だろう。我々も漸くモビルスーツを投入する目処が立った。そろそろ訓練を開始したいが、生憎と軍部からプトレマイオスだけでは足りないと言われていてな。コンペイトウをもっと大規模に使わせてもらえると助かるのだが…」

 

「問題ありませんよ。お望みとあらば教官の派遣なども検討いたします。盟友の頼みとあらば無下には断れませんしね」

 

最近はやりのワンアースだのなんだの騒ぐ気もないが、一応、友好国だしこいつらおだてといたほうがこっちにかかる火の粉が少なくていい。大西洋連邦は、世界の警察を自認していた国家の後継国家だけあって、国力相応に「主役になりたがる」国家だ。勝手に主役を張ってくれるのなら、そのための手助けはする。なし崩し的に統合した国家で明確なリーダーが存在していなかっただけあって、国内の統治だけでもなかなか骨なのだ。これ以上の面倒は抱えたくない。リーダーなどやりたい奴がやればいい。なったからには柱に括り付けてでもやり通してもらうが。

 

「おぉ、それは助かる。無論データを頂いてはいるし、こちらでも研究はしているが。新兵器だからな。あまり芳しくはないようだ。そちらの研究成果も加味して…、いや、いっそ共同研究ができると嬉しい。現在考えられているのが開けた場所での並んで弾幕という、まぁ、どう考えてもMSを使う意味のない戦術でな。色々なところから突っ込みが来たのだよ」

 

疲れたような顔でアーヴィング大統領が言う。この人はオーバーリアクション気味だな。とタクシンは思う。

 

「確かに、モビルスーツは機動兵器ですから、動いてこそ真価を発揮する兵器です。戦車からの発展のようですが、どちらかと言えば戦闘機やMAのドクトリンをベースに考える方がよろしいでしょう。尤も、報告書からの受け売りですけどね。」

 

まぁ、この会談に至るまでで決まったことを喋っているだけなのだが。首脳の会談というやつは以外に面倒だ、それまでの調整が。

 

「まぁ、これで連合は勝利できる。しかし、問題はオルバーニーだ、本当に余計なことをしてくれた」

 

オルバーニー連合事務総長は連合の外交特権をマルキオ導師に与えているのだ。一宗教家に、外交特権を与えるなどあり得ない。決して我々の利益のために動くとは限らないのだし。

 

「罷免、しかないでしょうね。ユーラシアや東アジアは?」

 

「そちらも同意見だ、AOC参戦についても同意してくれている。まぁ、どの戦線にどの部隊を送るかで一悶着あったがな、その辺は、連合軍内で決める」

 

手元の資料をタクシンに渡しながらアーヴィング大統領は言う。渡してきた資料はオルバーニーの罷免状だ。あとはAOC代表ののサインだけか。

 

「まだMSは展開能力が低いですからね、あまり大規模な投入は難しいのですが。」

 

「それは我らも変わらない。まぁ、船運くらいしか多数を運ぶ術がないからな」

 

「まぁ、一応、輸送機擬きは開発してありますが、運べて二機です。そう数があるわけでもありませんし、あまり期待されても困ります。」

 

「あぁ、サブフライトシステムというやつか。こちらでも似たようなものを作らせているが、やはり輸送でなければ一機ごとで使うのがよさそうだな。さながら騎兵隊だ。私は旧世紀のアメリカ映画が好きでね。ピンチに颯爽と現れる騎兵隊というのは心が踊る」

 

アーヴィング大統領はそう言うと、朗らかに笑っていた顔を真顔に戻す。真面目な話をする。という合図だろうか。

 

「所で…、だ。マルキオの坊主が提案してきたジャンク屋条約というやつだが」

 

「このまま、と言うわけにはいかないでしょう。あまりにも穴が多すぎる。これでは現代に蘇った私略免許ですね」

 

「同意だ。大体、そのようなことを行っている企業は既にあるだろう。そちらのブッホ社などな。まぁ、大抵の企業は、社会貢献活動の一環として行っていたのだから、他人がやってくれるというのならば喜んで任せるだろうが…」

 

「まぁ、ユーラシアや東アジアはジンの部品を回収していますし。必要ないといえばそうでしょう。しかし、合法的にプラントに進入できることはなかなか便利でしょう。マルキオの顔のおかげというのが若干気に入りませんが」

 

タクシンが悪い笑顔でアーヴィング大統領に言う。

 

「やはり君もそう思うかね。いや、貴国がアフリカのジャンク屋にそういう人員を潜り込ませたのは知っていたが。まさか予見していたのかね?」

 

同じくニヤリと笑ってアーヴィング大統領が言う。

 

「いえ、仮想敵の情報が欲しかっただけですよ。集めたパーツでリバースエンジニアリングしたものが現在実験中です」

 

やはり、バレてるか。流れ者などに扮して情報収集をしているスパイなどいて当然だろう。というか、連中って国籍とかどうなっているんだ?誰も身分保障していない気がするんだが…。ZAFTのMSに関しては、ジンがほぼそのまま一機手に入ったことが大きかった。コクピットは潰れていたが、奇跡的にデータに損傷はなかったらしい。まぁコクピットを入れ替えれば動かせるそうだ。ちなみにだが、企業の連中もアフリカなどで現地の傭兵を雇用してMSの情報収集を行っているらしい。まぁ、何か不都合があれば伝統の「騙して悪いが」である。

 

「ふむ、思いの外、ユーラシアは健闘しているようだな。損害の桁を見て呆れていたが。しかし、こちらが使える手は奴等も使える。まぁ、諜報戦で負ける気はせんがね…おっと油断は禁物か。現状は我々の油断が招いたといっても過言ではないのだしな」

 

自分を戒めるようにアーヴィング大統領は言う、MSの性能を低く見積もりすぎていた。ということだろう。いくらなんでも、連合軍の艦隊が5つも溶けたのは無視できる損害じゃない。

 

「現状は、ジャンク屋に偽装した人員を侵入させても一般メディアからの情報収集や、一般人への聴取しかできませんしね」

 

実際問題、手の込んだヒューミントを行うには一度に送り込める人員も、道具も足りない。まぁ、聞いてもいないこと喋ってくれる連中が多くて楽だ。といった報告は上がっているが。それでも、核心的な情報に触れることは難しい。「必要ないことは知らせない」初歩的な防諜方法だな。

 

「サイバー攻撃は返り討ちにされた。ネットに関してはそこそこ優秀な門番はいるようだな」

 

アーヴィング大統領が忌々しげに言う。そりゃあそうだろう。相手は伊達にコーディネイターじゃない。政治の世界にいると、あまりの稚拙さに言葉を失うことはあるが、地頭はいいのだ。馬鹿にしてかかれば痛い目を見る。

 

「こちらは一応、そういうことをやっていなかったのですが。やはりといったところでしょうか。伊達にコーディネイターではありませんね」

 

「伊達に、確かにな。尤も、調整された方向以外には非常に弱いようだがな」

 

確かに、そう感じることもある。「政治家になれる遺伝子」なるものが発見されていないのは救いだな。あるとも思えんが。プラントの評議員選出システムは、記録されている限りの理事国の政治家の遺伝子データを利用しているらしい。そのようなことをしても「よい政治家」が選出されるとは思えない。大体、政治家なんて玉石混交、ひどい話だが石のほうが多い。まぁ、これ以上よくしたいというのなら。『今すぐ愚民共全てに叡智を授けて見せろ』ってやつだな。使い古されたネタで返すと「うん、それ無理」。そんなんだから、ありもしない政治家に向いている遺伝子データの平均値を取って評議員を選んだところで、いい議員が生まれる訳ではないのだ。

 

「おっと…話が逸れた、では、ジャンク屋条約に関して、我々の意見をまとめようか。もう少しで、ユーラシアや東アジアの代表も到着する」

 

『地球連合』。国連に代わる新たな国際組織として産声を上げた組織だが、現状組織構成は流動的なのである。そもそも、準備してできた組織ではなく、旧国連職員や、各国の官僚、知識人を寄せ集めて作った組織なのだ。未だ、本格的には機能しているのは軍部くらいなのだ。それも、主導権争いで指揮系統の混乱が見られる。ZAFTの攻勢限界点に近いこの状況で、整理する必要があるだろう。これでは反抗作戦など不可能だ。それなので、こういう会議はいまだ各国首脳が集まって会議をせねばならないだろう。しかしやけにタイミングがいいな。まぁ、控室などいくらでもある。そこで待っていたのだろう。

 

―――――――――

10月15日 白兎 ADTRD 所長室

 

「これ、前渡しってやつですか?」

 

「断じて違う、箔付けというやつだ。喜べ栄転だぞ」

 

そんな胡散臭い笑顔で栄転と言われて喜べるか。と呼び出されていきなり渡された大尉の階級章を受け取りながら思う。こんな時でも一定の礼儀を払えるのだから軍人教育とは凄い。ありえないだろ、任官半年で昇進とか。戦時中じゃないんだぞ。

 

「さて、鶴野大尉。会合からの情報だが、開戦が決定した。十月会談にて我が国の対プラント参戦布告をすることが決定した。まぁ、その影響なんだが、現行の3技術試験大隊を改変し、ほぼ同様の任務を行う技術試験大隊と、より実戦的な、というより実戦においてパイロットの意見を収集し、その場での改修を可能とする試験戦闘大隊の2隊とすることになった。君には501試験戦闘大隊。鵺部隊のエンジニアを務めてもらう。パイロットも試験結果優秀者のみ。艦のほうもなんとアーガマ級が回されているぞ。三番艦、『ズルフィカール』、出来立てほやほやだ。まぁ君の勤務艦は工廠艦『パゴタ』で、整備班長兼予備MSパイロットを務めてもらう」

 

「予備パイからは外れられない運命なんですね…」

 

MSパイロットは続々と訓練が完了し、配属されてはいるが、まだ足りてはいないのだ。だからこそ、予備パイロットは貴重である。なのでMSが操作できるだけに近いテストパイロットも予備人員として充てられている。

 

「そうそう、パゴタの整備班長ってエンジニア冥利に尽きる仕事だから楽しんで来いよ。何せ動く工廠を任されているんだからな」

 

パゴタは、ハイエンド機を運用する精鋭部隊用に開発された特殊艦で、速い話が現地改修装備を生み出す工廠である。パイロットの要求にこたえ。様々なパーツを試作し、MSをカスタムしていく。将来的には同型艦がGシリーズを運用する部隊すべてに配備される計画だとか。今回はG01、アージュンを小隊規模で運用している部隊らしい。疾風も高機動化が図られているようだ。…これ以上の改修…いるのかな?エースってのは凄いものだ。

 

――――――

 

10月16日 スカンジナビア王国 ストックホルム公会堂

 

10月会談と後に言われる会談は、オルバーニー事務総長の罷免という波乱からの幕開けとなった。空席となる議長役は、オブザーバーとして参加していたスカンジナビア王国首相、アルヴィド・グスタフ・マンネルハイムが引き継ぎ行うこととなり、会議は始まった。

 

「この会談で我々が聞きたいことは一つです。カナーバ議員、あなた方プラントはこの争いの幕引きを何とお考えか?」

 

まぁ、纏まるわけのない戦争当事国間の意見交換に痺れを切らした風を装ってタクシンが聞く。言葉に詰まったようだが知ったことか。彼女自身も、疑問に思っているのだろう。軍事的な知識がどれほどかは知らないが、彼女の政治感覚ならば「今のプラント」のマズさを理解しているはずだ。

 

「…プラントの独立…です」

 

「その割には中々に無軌道な運びですな。特にNJやかぐやの件は非常に遺憾だ。いや、遺憾では済まされない。あなた方の現在占領している地域の混乱は看過できないし、これ以上の地球圏の混乱を我々は望まない。しかし、落とし所が作れないと言うのであれば。申し訳ないが、我々はあなた方を敵とするしかない」

 

まぁ、まったく申し訳ないとなんて思っていないし、当然の結果だがね。こういう時は、残念そうに見せるほうが良い。向こうの反応が面白いし。プラント占領地域の混乱は目も当てられない。味方であると宣言した組織すべてに支援するなどバカじゃないか。結果、タダでさえ武器が溢れ殺伐としていた地域が余計混乱した。誰が片付けるんだ…。放置しかないな。

 

「そっそれは!?」

 

カナーバ議員の顔色が変わり立ち上がる。理事国連中はしたり顔だ。お前らのためじゃないんだが。

 

「まぁ、これを戦争だというのなら宣戦布告になるのでしょうな。あぁ、正式な文書などない。ただの反乱組織に手交しなければならない文書などないからな」

 

どうもプラントでは、わが国には勝ったことになっていたらしい。「独立を勝ち取った」的な意味で。別に権利を放棄したわけじゃないし。設備の賠償権などを放棄したわけでもないのにご機嫌なことだ。折角なので面白おかしく騒ぎ立ててやったら、メディアが食いつく食いつく。それにしても、戦ってもいないのに勝利宣言とは…。変な国だ。

 

「まあ、そういうことだ。AOCは、連合軍へ本格参入する」

 

「歓迎します」

 

「だいぶ遅かったな」

 

アーヴィング大統領がそう宣言すると、ユーラシアや東アジアの大統領や国家主席がそんな言葉を述べる。もはや戦勝ムードか。そりゃジェネシス知らないし、戦争自体はプラントの攻勢限界点を超えて膠着状態なのだから当然か。そしてこれからはこちらは戦力が増え、質も向上するが、向こうはどちらも下がる一方だ。終わりは見えた。そう思っているのだろう。認識が甘いことを教えるのは少し早いがな。




ミッションを説明しましょう

依頼主はアルゼブラ社、目的はダジュラ淡水化プラントを占拠したテロ組織の排除となります。敵の主戦力は装甲車と歩兵戦力です。少なくとも傭兵として名の通った人物の参加は認められませんが、それなりの規模のようです。こちらも相応の部隊で臨むことをお勧めします。また、淡水化プラントは現地住民の生命線であり、被害が大きくなることは、ジブチ地区が深刻な水不足に陥る可能性があります。当然、依頼主はそれを望みません。施設の被害にはくれぐれも注意してください。

説明は以上です。

アルゼブラ社とのつながりを強くする好機です。そちらにとっても悪い話ではないと思いますが?


企業の依頼とはこんな感じでしょうか。うまくできた気がしない。

さて、参戦しました。正直、理由が微妙かな。とかタイミング的におかしくないかな。とか思ったのですが、これ以上事件起こすのも無いなと思ったのでこんな感じに…。

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