C.E転生   作:asterism

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初投稿です。



phase1 転生

ピピピピピ…

 

…、目覚ましが鳴っている、起きて朝飯作って食って学校に…って、俺の目覚ましってこんな無機質なアラームじゃなかったはず。起きてアラームを止めようとすると、いつもの場所にない。というか部屋が違う。

 

「どこだここ…」

 

ふと、目に入った鏡を見て目を見開く。

 

「誰…?いや俺なんだけどさ。」

 

鏡に写ったのはいつも見ている自分のかおではなかった、なんというか平井顔っぽ…。

カレンダーとかないかな…?まさかとは思うけど、西暦2146年とかだったらちょっと自殺してくるわ。どうせ死ぬ。どうせみんないなくなる

「C.E65…、コズミック・イラ65ってことはガンダムSEEDか」

 

 

信じたくはない、信じたくはないがどうも違う世界に来てしまったというやつか?あれか?寝てる時に心臓麻痺で死にましたとかなのか?まぁ、夢であることを祈ろう…。たぶん寝れば目覚める。

 

 

 

//////

 

 

「夢じゃなかった…」

 

うん、夢じゃありませんでした。乗り移った人物の名前は鶴野 正史(ツルノマサフミ)、月の表側、アサダクレーターに存在する月面都市「白兎」の工業カレッジに通う大学生らしい。MSの設計とかに携われるのだろうか…。

 

「そして…いろいろと違うところがあるなぁ…」

 

原作だとプラントの理事国で地球連合軍を構成する国であった大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国。それ以外のオーブ首長国連邦、スカンジナビア王国、南アフリカ統一共同体、アフリカ共同体、汎ムスリム会議、大洋州連合、赤道連合、南アメリカ合衆国…という国が存在したはずなのだが、ユーラシア連邦や東アジア共和国に台湾と日本が組み込まれていないし赤道連合、大洋連合は存在していない…、代わりに二つの国のあった領域に、日本と台湾を合わせた位置にアジア・オセアニア共同体という国家が存在している。

 

「で…だ、確実に言えることがある。絶対に同類がいる」

 

いま持っているのは模型誌、趣味は同じだったらしい。そこに出ているのはMSIGLOOのオッゴである。こっちでの名称は「59式宇宙用戦闘ポッド」というらしい、ついでに空軍の主力戦闘機はコスモファルコンだ、名称までおんなじ、性能も近い、ついでに製造企業がジオニック社、コスモファルコンのほうはフジヤマ社…これは関係ないかな…原作にもあった企業だし、ツィマッド社とかもあるみたいだ…航宙艦作ってる。誰だよアルゼブラとかムラクモとかキサラギ作ったやつ。乾いた笑いしか出てこないぞ。問題はこれからどうするかだ、変に吹聴しても黄色い救急車呼ばれるし…どうやって存在を認知された場合の対応も怖い、人体実験とかないよな。

 

「悩んでいても始まらんな、カレッジの課題を済ませよう…何々…低G下におけるパワードスーツの望ましい形状とその利用について…戦術機のもととなったハーディマンみたいなやつでいいのかな?」

 

こうして特に何も考えずにアニメやゲームに登場してきた機体や道具を課題で提出するくらいには、危機感を持っているわりに不用意な行動しかしていなかったので、当然というかなんというかばれてしまったのだった。

 

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「…で、だ、まぁここまで不用心な奴は初めて見たね」

 

「あははは…」

 

目の前では担当教授があきれたような表情で僕のレポートを片手に座っている。

 

「ハーディマンは偶然だと思ったけど、ガザシリーズにドラッツェ、ピグロ、ルナタンク…またジオニストか」

 

「あ、いえ、課題に合うのがそれかなーって思っただけで別にボールでも何でもよかったんですよね…」

 

必要なら光武だってイングラムだってファフナーだって提案するさ。ファフナーはちょっと…採用されたら後悔しそうだけど。

 

「…課題の再考が必要だな、で?君はどうするね?このまま進むなら技術者として活動してもらうわけで、僕らの派閥に属してもらえば働き口とかそういうのは世話できる。…まぁ、偉い人にあいさつしに行かなければならないがね」

 

一応政界とか官僚とかそういうところにも食い込んでる連中がいるし、そういう人への顔見せが必要らしい。転生者はそう多いものでもないので、互いの補助をつつがなく行えるようつながりの強い組織を作りたいのだそうだ。世界情勢への対応はそういう偉い人の仕事で教授は技術者兼「同類の捜索」が仕事らしい。

 

「それでお願いします。」

 

なんにせよいい仕事に就けるだろうし、そのほうがいいだろう。

 

「わかった、まぁ、挨拶に行くのは次の会合の時だろう、それまでは私の仕事に協力してもらうぞ」

 

教授はそういうと数枚の書類を渡してきた。

 

「はい…キマイラ級…ですか?」

 

「そうだ、現在、150m駆逐艦こと吹雪級とムサイ級相当の青葉級航宙巡洋艦とチベ級相当のアチェ級戦艦がこの国の航宙艦隊の主力だ、だがまぁ…新たな旗艦として新型艦が求められている。…マゼラン級がいいというように意見を述べたいのだがね…君はどう思うかね?」

 

あくまで個人的に意見を聞きたいだけだろう、たかがカレッジ生の意見などこの教授なら思いつくはずだし。

 

「いくら現在の主力がMAとはいえMA運用能力乏しいマゼラン級はどうかと思うという意見には一定の賛意を示しますが。かといってキマイラ級ほどの高性能艦を作ってしまえば周辺諸国にあらぬ疑いをかけられるでしょう、というより大気圏、宇宙両用艦って今作る必要ないのではないでしょうか?詳しい情勢は把握していませんが原作通りならばザフトが今年に成立、L5事変への対応は我が国の艦隊がプラントに置いている戦力では駐在民の保護が限度でしょうし、どうせそれ以上戦力を置く気はないはずです。それにニュースとかを確認する限りウザい国が二か国ほど周りにいることもあります。マゼラン級でいいのではないでしょうか?現状の宇宙戦ドクトリンから判断するに、マゼラン級を旗艦として採用し、別途MA母艦を用意していたほうが有用ではないかと。」

 

基本的に、ウチの国の宇宙軍はド派手な大規模侵攻戦などを想定した軍備をしていない、衛星軌道上の拠点菩提樹、L4宙域のコロニー群「ムーア」と資源採掘用小惑星兼軍事拠点のコンペイトウ、月の表側のアサダクレーターの「白兎」、サヘキ(グリマルディβ)クレーターの「かぐや」と裏側のイジャーククレーターの「チャンタブーン」の各月面都市群の防衛と、いざという時の通商護衛だ。護衛船団にイチイチ戦艦級など投入するのは割に合わない、吹雪級駆逐艦と青葉級の艦隊指揮能力強化で対応できるだろう、そこにコロンブス級とかヨーツンヘイム級みたいな輸送船改造の護衛空母的な船があればいい…と思う。MS母艦に改造するにもそのほうが手間がかからないだろう。

 

「ふむ…なるほどな…通商護衛戦再びというやつか。MS母艦への改造も考えているな。まぁ航宙艦の性能はいいがそのせいで高額になったため数が少なく完全な防衛型宇宙軍であることは確かなのだし、一応理論としては通るだろう、合格だ。よし、次回の会合でその意見を使うぞ」

 

 

なんでも上司の無茶ぶりだったらしい、MAの技術者に艦艇のことを聞くのはどうなんだ…と苦笑しながら教授は言う。

 

「にしてもジオニストが多いんですね…あの形状が面白いのは同意しますが…」

 

採用されている兵器のほとんどがジオン系だ、地球連邦系とか宇宙戦艦ヤマトとかの兵器も混ざっているけど。ムサイ級は将来アレキサンドリア級やエンドラ級、ムサカ級に発展するのだからそれでもいいか?見た目はクラップ級のほうが好きだけどMS運用を考えたらムサカ級のほうがいい気がする。アレキサンドリア級はMS運用能力が高いし。

 

「だろう?MAに関してはボールは却下というのは理解できるんだ、オッゴのほうがいいだろう、航宙艦はほとんどジオン系なのはその影響だな、確かに連邦系に比べて無駄な空間がないという話は聞いたことがあるがそんなものこちらで作るときに改良すればいい話なのだがな」

 

現にムサイ級は青葉級になる際、対空火器の増設が行われているらしい。本来は搭載されていなかったのだから当然の話である。しかしビーム連装砲三基六門の巡洋艦って…レーザー核融合が動力だし、動かす分には問題ないみたいだけど、他国の戦艦に匹敵する火力なんじゃなかろうか。これが主力艦というのは結構贅沢だ。

 

「まぁ…そんなところだな、あぁ、何かあれば呼び出すから端末のアドレスを教えてくれ」

 

自分の端末のアドレスを教授に教えて研究室を退出する。

 

「やらかしたなぁ…割とクリーン?な組織で助かったのか?まぁ人体実験とかはしたくないか。とりあえずそういうのとは縁遠いところで生活してた人がすべてだろうし」

 

日本で人体実験とかやらかしてる連中がいたらドン引きである、非人道性とかもろもろ含めて。




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