私とキリト君の出会いの物語   作:SAO映画記念

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1章私のリアル
もうひとつの世界


 

 

初めてのナーブギアを使用してのゲームは凄いの一言だった。

 

目を開けると青色の空間にまるで浮かんでいるような感覚だった。

目の前には説明をスキップするかしないのマークのウインドウが2つ浮かんでおりスキップしないを押すと青色だった空間は一変して広大な高原、そして高らかな山脈が私を見下ろしていた。

そんな私の目の前に急に巨大なドラゴンが現れて叫び声をあげる。

 

私は驚いて小さな悲鳴をあげながら尻餅を付いてしまうが何時までたってもドラゴンは襲って来る気配は無い。

私の後ろからは何人ものプレイヤーだろうか様々な武器を用いてドラゴンに攻撃を仕掛けている。ドラゴンはブレスを吐いたり飛んだりと物凄い迫力で私は気圧されて震えていたけど同時に胸の高鳴りを感じていた。

 

「凄い....これがこの世界のリアルなんだ.....」

 

それからプレイヤーの頭上に名前やHPゲージ。それにMPゲージ。体力ゲージに役職まで事細かく説明を受けて最初の青色の空間に戻ってきた。今度は名前入力のウインドウが出てきて私はこう入力した。

 

 

kana。

 

 

彼に気付いて貰いたくてそのままの入力だったがこの時はすんなりとこの名前が最善だと思った。

 

名前を決めた後は性別の選択と職種の選択があった。

 

勿論、性別は女。

 

職種は、魔法使い、剣士、ナイト、アーチャーといった種類があった。剣と魔法を表紙でうたってるのに、ナイトとアーチャーはどうかと思うが.....。私は剣士を選択した。

 

 

「ようこそ。kanaさん。仲間と協力してこのゲームを完全クリアー出来るように頑張ってください」

 

ゲームのアナウンスだろうか眩い光に包まれて目を開けると見たこともない町にいた。

 

自分の手を見てみるとまるで本物の手のように動いて感じられる。リアルで私自身が本当にここにいるみたいだった。

 

「これがフルダイブ.....」

 

ついボソッと言葉が漏れてしまう。嬉しくて手を握り自分の胸まで移動させて心の中で歓喜した。

 

気分が少しずつ落ち着いてきて何をすればいいのかを考える。こういうゲームの鉄板だと自分にあったレベルの相手を倒して地道にレベルを上げるくらいだが見たところ町娘の衣装に身を包んだ自分は武器という武器を装備していなかった。

 

辺りを見わたすと装備をした以下にも剣士や魔法使いなどといったプレイヤーが仕切りに手を空中で動かしている。

 

「あれ何やってるんだろう?」

 

監察していると、どうやらウインドウらしきものを出して操作していることが分かった。でもウインドウの出し方は説明の段階で教えてくれなかったので出し方が今一分からない。かといって私の拙いコミュ力では誰かに聞くことなんて出来ない。

 

取り合えず当てずっぽうに指を振り回してればウインドウ出るかな?と思った私は、手を少し上に上げてそのまま垂直に下に下げた。するとキラララン。という音とともに幾つかのウインドウが出てきた。

上から。ステータス。装備。持ち物。時間表示。ヘルプ。ログアウトボタンがあった。

私は最初にヘルプを押してスクロールをしていくと注意欄にこのゲームではウインドウの出し方が説明されません。と書かれていた。そしてその下に追記でウインドウの出し方が丁寧に説明されていた。

 

「(ウインドウ開かないとヘルプ出せないのにウインドウの出し方の説明をヘルプで書いても意味ないんじゃ......)」

 

どうやら最新技術は少し抜けている所があるみたいだ。

 

私は次にステータスを確認してみた。ステータスは、一人一人多少ではあるが異なってるらしい。ここはヘルプを参照した。

 

HP 15

MP 2

ATK 27

DEF 9

INT 1

MGR 5

AGL 30

 

んー....なんか微妙?取り合えずINTが1なのは悪意を感じるけど.....私が馬鹿って事なのかしら?

平均的なステータスが分からないから比べようもないけど....攻撃高くて俊敏って事かなぁ。

一発与えて離脱とか?やだ、なんか私らしいかも。

 

次は....装備かな。えーと....。あ!剣が一種類だけあった!良かった、支給はされてるんだ。私は急いで《スチールソード》と名前が書いてある剣のマークを押して現在何も装備されていない右手に装備した。

 

すると左腰に少しの重みが加わり柄に収まった剣が私の左腰に携えられていた。

防具も確認したが防具は何もなかった。

 

次に持ち物を確認した。持ち物にはコル。所謂このゲームの中での通貨が入っており500コル入っていた。チラッと町の食べ物の値段を確認してみたらリンゴ1つが100コルだったので1コル、1円と考えていいだろう。

そう考えるとお金が全然足りない。

 

次は時間表示のマークを押してみた。実際押すまで意味が分からなかったんだけど押してみると午後4時45分と書かれていた。

 

「あっちの方の時間、か」

 

私の中でのリアルはいつの間にかこっちの世界に変わっていた。あっちの事を思い出して少し憂鬱になった頭を横にふって頭を切り替える。

 

「少しでも速くあの人に近付かなきゃ....」

 

多分だけどあの人、kirit君はかなりやり込んでいるプレイヤーだと思った。なんとなく雰囲気だけど。

だからあの人に会うときにこんなレベルの自分なんて恥ずかしくて見せられない....。それにあの時言えなかったけど、本当はお礼だって言いたい。リアルで言えなくてもこっち(ゲーム)なら.......言うことが出来るくらい強くなろう。そう決意して私は左腰に携えた剣を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

装備を整えた私は町から一番近い草むらでスライムと対峙していた。

初めはたかがスライムだと甘く見ていた。私の前にいるスライムに何度も剣を振り回しているが当たらない。

 

「むむ......」

 

心なしかスライムの顔?みたいなところが笑っているようにも見えて腹が立ってきた。

 

先程から私の前をピョンピョン跳ねている青色のスライム。レベルは1なのに何故か攻撃が当たらない。

というのも私は剣を振り回すなんてこと生まれてこのかたやったことがないのでしっかりふれているか分からない状態なのだが。

 

「えいっ!はぁ!」

 

声を出してみれば当たるかなって思ったけどやっぱり避けられてしまう。

こんなときは、あって良かったヘルプさんだね。

 

私は手を上げてそのまま垂直に下に下げてウインドウを出してヘルプのウインドウを触って相手の倒しかたを調べるためにスクロールしていった。

5分ほど過ぎただろうか....未だに私の目の前をピョンピョン跳ねているだけで攻撃もしてこないスライムに腹が立ったので反撃をしようと思う。(ヘルプさん参照済)

 

「ふぅ.....」

 

私は目を閉じて右手に持っていた剣を肩まであげてスライムを突くような体制で構えた。

 

そして----------------------。

 

 

「はぁあああああ!!」

 

剣の周りは光出してスライムを切り裂いた。

ポンっという音を立ててスライムは消えて代わりに自分の目の前に経験値の数値とアイテムが手にはいった。

 

レベル1→レベル2

 

ドロドロの液体。

 

レベルが上がったことは嬉しかったがドロドロの液体というアイテムは何に使えばいいのか全然分からないので後で売ることにしてその辺からリポップしてきた、スライムがリポップしなくなるまで狩り続ける予定だった。

 

何時間が経過しただろうか---------------------

 

-------------気付けば私のレベルは13まで上がっていた。

 

 

「はぁはぁ.....一体何時までリポップし続けるの?」

 

あのあとドロドロの液体と油滑剤とコルが手に入っていた。

 

スライムの事は一旦放っておきウインドウを開いて持ち物の確認をすることにした。

 

ドロドロの液体  160

 

油滑剤       64

 

んー使い道がほんとに分からない。どうしようか迷ったので取り合えず、ドロドロの液体と書かれているウインドウを押すと下に説明文が書かれていた。

 

ドロドロの液体。

スライムからしか取れない貴重な液体。武器の素材に使われる。ただし上質ではないので武器にするには、大量のドロドロの液体と油滑剤と鉱物が必要になる。

 

な、成る程。思いの外分かりやすい説明だった。それじゃあ油滑剤は、と。

 

油滑剤。

基本よくドロップする。たまに道端でも拾える。

 

 

「(・・・・雑っ!雑すぎだよ!名前しっかりしてるのに、ドロドロの液体にどれだけ愛情があったの!?)」

 

はぁ.....。疲れるからよそう。それよりも、と私は幾ら貯まったのかが気になっていたので所持金を確認することにした。

 

4700コル。

 

あ、あまり増えてない.....。というか今は何時なんだろう。

 

「・・・えーと、午前5時13分.....」

 

ゲームを始めてから凡そ12時間が経過していた。

 

「(現実を忘れられる、か.....)」

 

この時、この言葉が染々と私の心を満たしていた。だがお腹は空いているだろうしログアウトする必要があった。

ログアウトは、ウインドウの一番下にあったので良いけどセーブとかはしなくても大丈夫なのかな?と思った私はヘルプさんを参照していた。

 

「うん、うん。成る程」

 

どうやらこの世界では、町にある宿泊施設にセーブ機能があるらしく宿泊しないとセーブが出来ないという鬼畜設定だった。

 

「(これだけのコルで足りるのかな?)」

 

私は心配になりながらも町に戻り宿泊施設を探していると先程までの心配は杞憂に終わった。

宿泊代1000コルと書かれた看板を見付けたからだ。勿論最初の所持金では足りないので些かどうかとも思ったが亭主らしきNPCにお金を渡して部屋まで案内してもらった。

 

「ささ、此方が当店自慢のお部屋になります。それではごゆっくり」

 

ぱたん。と閉められた事を確認して8畳ほどはあるのか少しゆったりとした空間の端にあるベットに私はダイブした。

 

「ふぅ.......くぅぅぅぅ。気持ちいい」

 

ベットはふかふかで1日の疲れを癒してくれそうだった。そのあと暫くベットを堪能した後にセーブポイントは何処かと探していると机の上に三角形のモノクロが不自然に浮かんでいるのが見えてベットから立ち上がりそのモノクロに触れてみるとセーブをしますか?

 

YES

 

NO

 

と選択指が出てきてようやくセーブすることが出来た。私は自分のウインドウを開きログアウトボタンを押した。

 

「またね。この世界の私」

 

机の横に置いてあった鏡を見ながら一言呟いて。

 

 

 

 

 


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