作:ゆっくり霊沙

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1-3 樹海

5年生でサマースクールという夏休みに遠くに行く企画があった。

行き先は京都であり、帰りには千光寺ハイキングも予定されていた。

私はせっかくなので行くことにした。

麻雀クラブの皆(低学年もボチボチ)にも行って来ると伝えると行ってらっしゃいと言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日

バスが横転し、身体を投げ飛ばされて千光寺近くの樹海の中にいた。

数日間気絶していたため空腹である。

幸い怪我はかすり傷位なので起き上がる、歩くのに問題はなかった。

リュックサックに入っていた金平糖を舐めながらどうするかを考える。

 

「高いところに行こう。」

本来なら動かないのが正解だが、山に行った方が安全と感じた。

 

 

 

 

 

 

山に登る、そして高い木に登る。

事故の現場が遠くに見えた。

 

いや、事故のあったと思われる場所に喪服の団体がいるのだ。

 

「あちゃ~。行きづらいな・・・でもお腹も減ったし、よっと。」

 

全力でその場所に走る。

 

「伊達にエレファント14座を制覇してないよ!!」

前世で非公式ながら14座を制覇していた高鴨は樹海の道をスイスイ進み、僅か12分で現場に戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

穏乃の乗っていたバスが横転して燃えている映像をニュースで見た。

玄や宥姉に電話すると宥姉が泣いて凄いことになったが、穏乃の家にとりあえず行った。

穏乃の両親はニュースよりも早くから連絡があったらしく真っ青な顔でうつ向いていた。

 

「嘘・・・。」

やっと現実だと意識した。

 

 

 

 

 

 

喪服を着てバスの事故現場に行った。

バスに乗っていた人は焼死か投げ出された人も体を強く打って重症らしい。

ただ、穏乃だけが見つからなかった。

生きていて欲しいと願いながら私はとりあえず花束を置こうとした。

 

ガシ

 

「ヒ!?」

 

痩せた細い腕がガードレールの下から伸びていた。

 

「よっと。」

 

登ってきたのは穏乃だった。

 

 

 

 

 

 

皆から泣きつかれた。

ここではやめて欲しい。他の喪服を着た人から涙を流しながら睨まれている。

 

「こ、ここではやめようよ。ね。」

 

「しず、しずぅぅう!!」

 

「うわぁぁぁん!!」

 

「良かった。本当に。」

 

(頼むからやめて!!TV局の人も撮るな!!遺族?がいるんだから!!)

 

 

 

 

 

 

 

《千光寺バス横転 奇跡の生存者》

 

新聞に大々的に載っているのを見て本当に軽く鬱になった。

夏休みが終わるまで阿知賀こども麻雀クラブに入り浸り、ずっと麻雀を打ち続けた。

 

 

 

 

 

(しず!?何かに目覚めた!?白があなたに吸い寄せられているみたいだよ!!)

超本気状態で打ち続けている穏乃は常時デスゾーンを発動していた。

しかし意識してないので能力の一部だけだが。


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