作:ゆっくり霊沙

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1-2 老人

有名な登山家は強靭な肉体と精神があり、なおかつ神に愛されれば山はその人物に歓喜を与えると言った。

神・・・それは不思議な存在で普通ではない存在。

どこかで君を見ているかもしれない。

 

「君の横で・・・なぁ高鴨穏乃。」

 

 

 

 

 

「は!?・・・夢・・・か。」

高鴨穏乃は小学3年になっていた。

阿知賀こども麻雀クラブに入ることができた。

松実玄、新子憧、それに赤土晴絵と共に麻雀を打っていた。

前世では果たせなかった夢が現実のものとなった。

 

「玄さん、それロン!!」

 

「えぇぇ。」

 

「玄さんドラ切らないと牌まるわかりだよ。」

 

「穏乃ちゃん・・・でもでも、切ったらドラを大切にできないじゃん。」

 

「そうだけどさ・・・。」

 

「確かにしずの言いたいこともわかるけど、玄の気持ちも大切にしないと。」

 

「「赤土先生・・・。」」

 

「しず、玄、赤土先生、もう一回やろうよ。ね。」

 

「うん!!」

 

「そうだね。憧ちゃんナイス。」

 

阿知賀こども麻雀クラブ・・・私の影響で麻雀を知った子供達は家に近い大きな麻雀クラブに行ってしまった。

やはり高校にあるこども麻雀クラブに入るのには小学生は抵抗があるかもしれない。

 

なので、この時期は基本4人で毎日打っている。

 

・・・いや、5人か。

 

私達の雀卓の後ろにあるストーブで暖まる小学5年生の松実宥こと宥姉がそこにいた。

 

行く勇気が無かったらしい。

それを私や憧、玄さんが誘って連れていったら来るようになった。

 

また、この特殊能力持ちの2人をどの様に改造すれば2流のプロまでなら通用するか必死に考え、玄にはドラを他家に渡すというのを考えていた。

 

「渡す?ドラを?」

 

「そう。ドラを。捨てるのが無理なら他家に山から引く前に渡しちゃえばいいんじゃないかな?そうすれば相手の牌のほとんどがわかるよ。」

 

「でもー。」

 

「宥さん、あこ手伝って。」

 

「玄ちゃん頑張ろ。」

 

「玄、頑張ろ!!」

 

「・・・うん。やってみる!!」

 

「じゃあやろう!!」

 

その光景を見て赤土晴絵は小学生にしては穏乃が相手をやる気にさせるような持ち上げるのが上手いと思った。

 

(ただ、しずはどこかプロみたいに絶対に自分の芯を見せてくれないんだよね。まるでベテランみたいにあらゆる場面で対応するし。)

赤土晴絵もまた一流のプロになり得る素質は既に持ち合わせていた。

そうでなければ穏乃のベテランの様な打ち筋はわからないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇしず、しずって宿題の将来の夢って何にしたの?」

 

「え?あこどうしたの?」

 

「んー気になっただけ。」

 

「エベレストに登りたいな。」

 

「しずらしいね。」


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