……これわかる人いるのかしら?まぁいいや。
どちらかといえばゴリライズ派です。
さらに言うならポイズンのフォースライズ派です。
まぁそんなことはさておきまして、こちらも更新しますね~。
船体が大きく揺れた。それも自然の波ではないことは明白だった。度々聞こえる大きな音、そして船内からでもわかるほど巨大な水しぶき。確実に砲撃を受けていた。
急いで士郎が室内から飛び出すと、すぐにドレイクが目に入る。
「ドレイク!」
「ああ。どうやら見つかっちまったようだねぇ」
鋭い視線でドレイクが見据える先には、また一つ別の船――海賊船がこちらに向かってきているのが見える。目を凝らすと船首の方に男が立っているのが見えてくる。
「あれが、黒髭…」
「デュフフ!エウリュアレたん、お迎えに上がりましたぞ~!さぁさぁ、拙者の船にいらっしゃい!そして是非ともprprさせてほしいですぞ~!」
「いや、ないな」
「ないですね」
「ないのですか?」
「ないわね」
「あらあら、うふふ」
あまりにもあんまりな男の発言に、思わず真顔で(リリィは戸惑うように、マタ・ハリは固まった笑顔で)士郎一行がバッサリ切り捨てる。
その様子に溜息を吐くエウリュアレ。
「残念だけれど、あれがそうよ。大海賊、エドワード・ティーチ」
「ううぅ、あいつ、きらい、だ」
心底いやそうな表情を浮かべているエウリュアレを守るように、アステリオスがその体でエウリュアレを包み込む。その表情からは、明確な黒髭に対する敵意が見て取れる。そのすぐ後ろには以前襲い掛かってきた血斧王、エイリーク・ブラッドアクスの姿も見える。
「おいおい、随分な怪物も一緒とはね。これはおじさんも気合い入れないとダメかな?」
「まっ、相手がどんなでもやることは変わらないけどね」
「そうですわね。海賊らしく行かせていただきましょう」
黒髭の後ろに立っている三人の人影。二人組の女性海賊、背が高く銃を持つ女性と背が低く剣を持つ少女。
「あれがアン・ボニーとメアリー・リードか。それに」
もう一人、説明だけでは真名がわからなかった槍を持った男。おじさんと自分のことを呼ぶだけあって、髭を生やした気だるげな男。しかしその様子を遠目から見るだけでも、隙らしき隙が見当たらない。
何より彼の持つ槍――否、正確にいうのであればあれは槍ではなく剣だ。剣の柄を伸ばし槍状にしてはいるものの、持ち主がたたき折ろうとしてなお健在であったその鋭い切れ味は、決して隠しきれるものではない。
『絶世の名剣』と呼ばれた剣を原典に持つ剣。
「デュランダル……いや、それをやり状にしているということは、あいつは」
『うん。トロイア戦争におけるトロイア最高の英雄、兜輝くヘクトールだ!』
『気をつけろ、遠坂の弟子。奴はかなりの武芸者だが、同時にかなりの戦術家でもある』
「確かに。少なくとも、アキレウスという大英雄と渡り合うやつだ。少しの隙も見せれられないな」
ロマニとエルメロイⅡ世の忠告に耳を傾けながら、士郎は敵方を見据える。やはりあのアサシンは一緒に行動しているわけではなさそうだ。サーヴァントの数はこちらが上。しかし決して油断はできそうにない。
「アステリオスはエウリュアレを守っていてくれ。マシュとリリィはアンとメアリーを抑えててくれるか?」
「うぅ、わかった」
「はい」
「お任せください、シロウ」
「ジャンヌとマタ・ハリさんは暫くの間あいつを、ヘクトールを頼む。海上で使うかはわからないけど、あいつの宝具には気を付けてくれ」
「仕方ないわね」
「ええ。任されました」
「ドレイク、黒髭の船を頼む。あの船は恐らく宝具だ。あいつはそれを維持する必要があるから直接攻勢には出ないと思う。あいつの船を抑えててもらえるか?」
「任しときな!船での戦いなら、負ける気がしないよ」
「よし。俺はエイリークを倒す。黒髭が何故エウリュアレを狙っているのかはわからないけれど、絶対に守り抜くぞ」
各自に指示を出す士郎。それぞれの役割を確認し、改めて接近してくる敵を見据える。両船からの砲撃がより激しさを増すものの、互いに沈むことはなくその距離は少し、また少しと近づいていく。
武装を展開するマシュ、カリバーンを構えるリリィ。
ジャンヌは腰に差した剣を抜き、マタ・ハリは妖艶に微笑む。
不安げにエウリュアレの瞳が揺れると、それを安心させようとアステリオスの腕が彼女を守るように包み込む。
ドレイクは仲間に指示を出しながらも鋭い視線を敵船に向ける。
「じゃあ、まずは――」
そして士郎はその手に双剣、ではなく弓を取る。一本の剣を投影し矢としてつがえる。
「――先制攻撃だな」
その言葉と共に、士郎の放った矢はまるで吸い込まれるかのように黒髭たちのいる甲板へと向かい、大きく爆発した。
「見事に命中です、先輩!」
「いや、来るぞ」
爆炎が上がる中から、飛び上がる人影がいくつか見える。先ほどの攻撃をかわすだけではなく、その爆風を利用した超長距離跳躍。流石にサーヴァント、それも海の戦いを得意とする者が多いだけのことはある。
「ドレイク!」
「ああ。野郎ども、そいつらには近寄るな!あたしらはあの船の相手に集中する!」
「「「「「「「「アイアイ、キャプテン!」」」」」」」」
サーヴァントではないただの人間では、この戦いで格好の的となりかねない。それを避けるため、また士郎たちが憂いなく戦えるように、ドレイクの指示を受けた海賊たちが甲板から去る。と、丁度跳躍してきたサーヴァントたちが船に降り立った。
「全く、いきなりあんな攻撃するかい普通。おじさんちょっと驚いちゃったよ」
「他のサーヴァントまで味方につけてたのね。これは、楽な仕事にはならなさそう」
「でもやることは変わらないよ。さっさと終わらせちゃおう」
「がっ、ああ。コ、ロス」
戦闘準備万端らしい敵を前に士郎たちも気を引き締める。
「やるぞ」
「「はい」」「「ええ」」「うん」
改めて敵を目の前にして、士郎は獲物を持ち変える。ここまで来たら弓はむしろ不利でしかない。
馴染み深い白と黒の剣を携えた士郎が一歩前に踏み出す。
「今からあいつらを散らす。みんなはさっきの指示通りに頼む」
両側が頷くのを確認した士郎は剣を構え、言葉を紡ぐ。
「
彼の頭上に複数の剣がどこからともなく出現する。
「
降り注ぐかのように一斉に飛んでくる剣の雨を、敵側がばらけるように避ける。その瞬間、士郎たちは直ぐに行動を開始した。
「なるほど。先ほどの攻撃は私たちを分断するため」
「ということは、君たち二人が僕たちの相手ってこと?」
一見温和なお姉さんと幼い少女。しかしその視線から感じる威圧感は、まごうことなき強者のもの。
「リリィさん、行きましょう」
「はい。シロウのためにも、必ず勝ちましょう!」
それぞれの獲物を構える四人の少女。その場面だけを切り取ったのであれば、とても芸術的にも思えるワンシーンかもしれない。が、一人一人がその実一騎当千のサーヴァント。その場所の華やかさを上回る緊張感が場を支配している。
「それでは」「行くよ」
「「海賊の力見せてあげる(あげます)」」
「マシュさん!」「はい、戦闘開始します!」
引き金が引かれ、放たれた弾は盾に阻まれる。それを合図としたかのように、4人のサーヴァントが激突する。
ようやく黒髭の旦那と出合わせることができたよ。
さて……ここまで来ても半分も行っていないんだよなぁ、第3章。
マジで思ってたよりも長くなりそうだ……
この自宅待機期間を有効活用するしかないですね、これは。
頑張ってみます。