正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

75 / 92
うとりあえず纏まったには纏まった、と作者が無理やり思ってしまう

でも、許してください、マジ忙しいんです笑

ようやく次回から新特異点ですなぁ
頑張ろ


あ、あと21回ガチャ回しました〜
結果は
10連 フハハ!ファラオの威光を見よ
呼符 ランサーメドゥーサ(二人目)
10連 ウルクの危機に馳せ参じた、ランサー女神参上なのだわ!
……うわぁ、種火が足りないぜ


最後までローマはローマ!である

「敗北か……そうか……私でも、破壊できないもの……そんなものがあるか……」

 

胸に大きく会いた穴を確認するように見下ろし、感慨深げにアルテラが呟く。敗北したというのに、どこか嬉しそうにも見えるその様子に、思わず士郎が声をかける。

 

「お前……望んでたのか?止められることを?」

「否。望んだわけではない。ただ、そうだな……破壊できなかったということは、破壊すべきではなかったものなのだろう」

「当然であろう!余が治めているのだからな!」

 

誇らしげに胸を張るネロを見つめるアルテラ。その口元には小さな笑みが浮かんでいる。

 

「そうか。このローマは良い文明、そう覚えておくとしよう」

「うむ。この経験を誇るがいいぞ」

 

既にアルテラの体の粒子化が始まっている。アルテラが士郎に顔を向ける。

 

「……名は?」

「士郎。衛宮士郎だ」

「エミヤシロウ……覚えておく。いずれまた、文明の破壊に立ち会う時が来るかもしれぬ……その時はまた、見せてもらおう。その文明が良いものかどうか」

「ああ。望むところだ。けど、出来れば次は戦いたくはないかな」

「……それは、約束できない。私は、破壊するものでしかない。その為だけの存在、なのだから」

「それは違うだろ。だって、今だって」

 

「笑ってるだろ」

 

僅かに口を開いたまま、アルテラが黙ってしまう。呆気にとられているような、信じられないものを見たような、そんな表情。と、

 

「笑った……私が、笑った、のか」

「ああ。そうやって笑えるんなら、きっとお前にも、人間らしい感情があるってことだろ?」

「人間、らしい?」

「ああ。それに、何だか俺のよく知ってる(やつ)に似てる気がするから、多分……いや、絶対一緒に戦える時もあるさ」

 

暫く黙って士郎の話を聞くアルテラ。

 

ふっ、と先程より少しだけわかりやすく、口元に微笑みを浮かべる。

 

「なら、その時を期待してみるとしよう、エミヤシロウ」

「俺も、期待しておくよ。英霊アルテラ」

 

微笑を湛えたまま、アルテラの姿が完全に粒子と化し、後には黄金の杯が残された。マシュがそれを手に取り確認する。

 

「聖杯を確認、回収します。これで、この特異点での目的は達成されました、先輩」

「ああ。かなりやばいところもあったけど、なんとかなったな」

「はい……先輩、そろそろです」

「そうだな」

 

士郎がネロの方を向くと、彼女はこの後どうなるのか、もうわかっているような、達観した表情を浮かべている。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ネロ。そろそろ私たちも帰る時が来たみたい」

 

そう声をかけるブーディカ。彼女だけではなく、サーヴァントたちの体は徐々に粒子状に変化していく。

 

「そうか……まだ褒美も取らせてないというのに、せっかちであるな」

「あはは。まぁ、こればっかしはどうしようもないよ」

 

「おお、叛逆者よ!見事なり。しかし汝圧制者とならんことを、我ここに願おう!」

「ああ。けど、もしまた大きな敵と戦わないといけない時は、その時は力を貸してくれ」

 

にっこり笑顔のバーサーカー、スパルタクス。やはり士郎以外は何を言っているのかわからないらしく首を傾げている。同じくバーサーカーで言葉を発せない呂布は士郎を見下ろし頷くだけ。言葉は無くともそこに込められた思いは受け止められる。士郎も頷きを返す。二人の姿が、消えた。

 

「ふむ。今回は悪くない収穫だった。かつての雪辱を晴らした気分だ」

「そりゃ良かった。また一緒に戦ってくれるか?」

「さぁてな、それは私にもわからないさ。もしかしたら、私に首を狙われるかもしれないぞ。だが、それもまた一興だな」

「物騒な話するなぁ」

「ふふっ。だが、お前と共に戦う時間、悪くはなかった。縁があれば、きっとまたお前の下で戦おう」

 

「それではご主人、マシュ、リリィにジャンヌ!キャットは大人しく帰るのだワン!」

「ああ」

「む、もう少し悲しんでくれても良いのだぞ!なんと言っても、この良妻系従順サーヴァントとの別れなのだからな!」

「じゅ、従順……ですか?」

「あはは……」

「寂しくはなるかもな。でも、また会えるかもしれないだろ。なら、悲しむばかりでもないさ」

「むぅ。ならばまた出会った時には、人参を用意してくれてると嬉しいぞ!キャットはそれで我慢するとしよう」

「わかった」

 

「お主は何もないのか?」

「ええ。私に別れの言葉なんて不要だもの。でも、貴方にはお礼を言っておくわ。ほんの少し、楽しかったわ」

「そうか。またいつでも遊びに来るが良い!」

「ええ。その機会があれば、ね」

 

「ネロ。ここでお別れみたいね」

「うむ……仕方のないこととはいえ、残念だ」

「……あたしは楽しかったわ。ネロのサーヴァントとして戦えて。それに、ネロと一緒に歌うこともできて満足よ」

「そうか。余もそなたと共に戦えたこと、共に歌えたこと。どれもが良き思い出だ」

「またどこかで会った時、その時は」

「うむ」

「「どちらがより輝けるか、勝負!」」

「であるな」

「負けないから!」

 

「マシュ、リリィ。二人はいい子だね」

「?ブーディカさん?」

「とても純粋で、とても誠実だ。そのままの二人でいてね」

「は、はい」

「わかりました」

「ジャンヌは……もう少し素直になればいいのに。せっかく可愛いのに勿体無いよ」

「はぁ!?なんのことですか?勝手に決めつけないでもらえますか?」

「ふふっ。はいはい……シロウ」

 

マシュとリリィを抱きしめ、ジャンヌの頭を撫で終えたブーディカが、士郎に向けて両手を伸ばす。気恥ずかしさはあるものの、意図を察した士郎が、ブーディカの前に立ち、身を委ねる。

 

「……頑張ってね」

「ああ」

「……あはは、なんだろうね。言いたいこと、いっぱいあるはずなのに、何も出てこないや」

「……その、ありがとう。ブーディカさん」

「ん……私の方こそ、ありがとね。こんなこと言うのもあれだけどさ……何だか、懐かしい気持ちになれたよ」

「そっか」

「うん。だから、ありがとね」

 

士郎の体を放すブーディカ。ゆっくりと、彼女はネロへと体を向ける。

 

「うぬ……ブーディカ……」

「ん?何、ネロ公?」

「その、すまなかった……それから、ありがとう」

「……どういたしまして」

 

交わした言葉の数は少ないが、二人の視線が言葉にできない思いを伝えている。

 

生前は倒すべき敵として。

 

此度は共に戦う仲間として。

 

次は……どうなるだろう……

 

ただ、ブーディカが最後にネロに向けたその微笑みには、一切の曇りがなく、陰りもなく、どこか吹っ切れたものだった、そう、士郎は感じた。

 

サーヴァントたちが粒子状に消えて行くのを、士郎たちは見送る。共に戦った仲間たち。ここで繋いだ縁は、いずれまた彼らをつなぐだろうか?それはまだ、彼らにはわからない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『士郎くん、マシュ。そろそろ戻るよ』

「了解しました、ドクター」

 

通信を受け、士郎たちがネロの方を向く。士郎が一歩前に進む。

 

「帰るのだな、そなたたちのあるべき場所に」

「はい……ネロさん。本当に、ありがとうございました」

 

差し出されたネロの手を、士郎がしっかりと掴む。ニカッという効果音が似合いそうな笑顔で見送ってくれるネロに対し、士郎もまた笑みを浮かべる。

 

偶然か必然か、その笑みはあのアーチャーがかつて(マスター)に向けたものと良く似た笑顔だった。

 

その笑みに、思わず彼女は見惚れた。ああ、この笑顔だ。これこそ、心の底から見せる笑顔。人間としてひどく当たり前のものなのに、如何してか、その笑顔に自分は惹かれる。そして同時に知りたいと思う。自分も、その笑顔ができるようになれるかどうか。

 

 

互いに手を離す士郎とネロ。と、ネロがむふー、とドヤ顔を浮かべる。

 

「そなたらに褒美をやらねばならぬな」

「いえ、私たちは、」

「わかっておる。物はさすがにまずいのであろう?帰るというのであれば、土地というわけにもいかぬ。だが、余は閃いたのだ!」

 

ん〜?と士郎たちが首をかしげると、ネロが胸を張り、自分のことを指差しながら、

 

「褒美は、余だ!」

 

なんてことを言ってのけた。ますます首の傾きが深まる士郎たち。御構い無しにドヤ顔を決めているネロには悪いが、なんのこっちゃかわからない。

 

「はい?」

「……何を言い出すのかしら、この皇帝様は?」

「ネロ?……それは、どういう?」

「む?今のでは伝わりにくいな。では改めて、シロウよ!」

「?」

「ローマ帝国第5代皇帝、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスの名の下に約束しよう。余が英霊となった暁には、必ずそなたの力になると!困ったことがあれば、いつでも余に頼るが良い!」

 

満面の笑みで宣言するネロ。その内容に一瞬驚いたものの、士郎たちは笑みを返した……ジャンヌ以外は……

 

「またこれですか……本当に、誑し込むのがうまいというかなんというか」

 

何やらブツブツ呟いているが、内容が士郎たちは聞こえなかった。

 

 

「では、さよならですね」

「ネロさん、ありがとうございました」

「まぁ、退屈はしませんでしたから。ええ、それなりに満足でした」

 

「じゃあな、ネロ」

「うむ!また会う時を、楽しみにしておるぞ!」

 

手を振りながら、士郎たち6人と1匹の姿が消える。それを見送ったネロの顔は、この戦いが始まった時よりも、自信に満ち溢れ、芯の強さがにじみ出る。

 

「これより帰還するぞ!我らが国、我らが街!我らのローマへ!」

 

拍手喝采、大歓声。

 

ローマの兵士は、戦いが終わったことに歓喜しながら、彼らの街へと向かうのであった。

 

 

 

 

えっ?6人じゃおかしい?二人多い?

 

そうそう忘れるところであった。

 

「というわけで、これからカルデアの仲間になることになった、」

「ロード・エルメロイII世だ」

「女神ステンノよ。退屈させないように、気をつけなさい」

 

「なんで二人増えてるんだ!?」

 

「いや、エルメロイII世の方は、俺が誘ったんだけど……」

「ステンノさん、いつの間に契約していたのですか?」

「あら、そんなの簡単よ。彼が眠っている時に夢を見せて、その隙に、ね」

 

怪しく微笑むステンノに、士郎が思わず苦笑する。

 

エルメロイII世は士郎の魔術について教えるという約束、孔明から譲り受けた人理修復の仕事。そして、アレキサンダーとの約束など諸々の事情あって、カルデアでその力を使うことを了承してくれた。が、ステンノはというと……

 

『あなたといると、面白そうですもの。それに、一緒にいれば駄メドゥーサとも会える気がしたから、連れてきてもらうことにしたわ』

 

(なんでさ)

 

心の中で呟く士郎。二つ目の特異点から聖杯を回収した士郎たち。

 

長い戦いは、まだまだ続く。

 




第二特異点 永続狂気帝国セプテム





定礎復元完了

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。