正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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武蔵ラストトライとか思って10連ガチャ回したんですよ

演出全部見ようと思ったけど、途中で諦めて視線そらしたんですよ

終わったかなーと戻ったらあら不思議、最後に出たのは武蔵ちゃんでした!


というわけで、レフの正体がついに……

あ、展開微妙に変わってますけど、悪しからず


レフ・ライノールとは

「シロウ、マシュ。あれは?」

「私たちが探していた魔術師です。そして、この特異点を生み出した元凶だと推測されます」

 

玉座に座ったまま、レフはその感触を確かめるかのように肘掛の部分を指で撫でる。その表情はひどく退屈そうに見え、ひどく怒っているようにも見える。

 

「ふん。過去の皇帝共であれば、この時代の攻略もたやすいことだと思っていたが、神祖殿はその気になってくれなかったのでな。新たなローマを作ることで時代の崩壊を招くという、回りくどい手を使わざるを得なかった」

 

特異点となった冬木同様、ロムルスもまた、この時代を維持しようとしていたのだろう。あの時、最後にネロに告げた言葉は、セイバーが士郎にくれたものと同じ、激励と肯定、そして彼もまた、ネロに託したのだ。ローマ(世界)の未来を。

 

「まぁ、サーヴァントも所詮は使い魔の類。替えなど、いくらでも用意できる。そういう意味では、貴様らに感謝しなくてはいけないな。面倒な奴を消してくれたことに、な」

 

ギリッ、と士郎の口から音が漏れる。その表情は今までにない程の怒り。

 

目の前の男は、英霊をなんだと思っている。まるで捨て駒のように、使い捨ての道具のように、この男は笑顔で語っている。

 

ふざけるな。

 

サーヴァントとして呼ばれるものは、大なり小なり、人々の願いや信仰を集めたり、その功績を称えられたりと、その生涯の結果として英霊となったものだ。

 

中には必ずしも褒められたものではない、大量殺人による反英霊という存在もいるが、その彼らの逸話もまた語り継がれ、人々の記憶に深く刻まれている。

 

様々な意味で人を超えた、超えることを求められたものたち。それが英霊だ。その彼らを、クラスという枠に押し込め、現界させたのがサーヴァント。マスターとサーヴァントは対等な関係、どちらがいなくても聖杯戦争は勝ち残れない。

 

本来ならば自分たちよりも遥かに格上の存在である相手。それを使役することがどれほどの意味を持つのか。士郎は自分の剣として戦うと言ってくれた彼女のことを思い出す。あれほどまでに気高く、正しく、美しい存在。その彼女と肩を並べ戦う、それはきっと本当に光栄なことなのだ。

 

 

「ふざけるなよ、レフ。サーヴァントを、英霊をなんだと思ってる!」

「言っただろう?ただの使い魔だと。私の手には聖杯があり、その気になればいくらでも呼び出すことができる。ただの使い捨ての兵士に過ぎないのだよ」

 

「貴様!何処まで余の先代の皇帝たちを侮辱するつもりだ!それ以上は許さぬぞ!」

「あたしも怒ってるんだからね。サーヴァントとして、戦士としての誇りとかは、正直あまりないかもしれないけど、あんたの言い分には怒りしかないわ」

「貴様ごときの首級には毛ほども興味はないが、その首、私が貰い受けてやろう。それが、全ての英霊のためにもなるだろうしな」

 

本気の怒りを見せ、ネロたちが武器をレフに向ける。サーヴァントによる強い殺気を受けながらも、レフは笑みを絶やさない。否、むしろその笑みはさらに深くなり、玉座に座ったまま、肩を震わせ笑っている。

 

「クハッ、クハハハ……思い上がるなよ。たかが霊長最高峰の存在ごときが、私を倒せるつもりかね」

 

「倒します!人理修復のためにも、この時代を守るためにも!」

 

マシュが盾を構え、戦闘態勢に入る。士郎も剣を構え、レフを睨みつける。

 

「どうする?5対1だ。降伏するなら今の内だぞ」

「ふん。たかだか5人。私の敵ではない。それに、必要な準備は既に整っている」

 

レフが左手をかざすと、その手の上に金色の盃が現れる。聖杯が、レフの願いに応えるように魔力を巡らす。玉座の足元近くに描かれていたのは魔法陣。その魔法陣から溢れる光が、急速に回り出し収束する。

 

「まさか、新たなサーヴァントの召喚を!?」

「その通りだ、マシュ。しかし今度のは君たちにもどうしようもないぞ。その前では、ローマを守ることなど無意味。力の無さを嘆きながら、この時代の消滅を見ているがいい!」

 

光の収束が終わり、人の形へとなっていく。

 

褐色の肌に、華奢な体。頭を覆う美しいヴェール。その姿はとても美しかった。けれども、それに不釣り合いに思えるほど異質な剣。纏う空気は、そう、何処か透明なもの。マシュの透き通るような透明さと違う、空虚。

 

「クハハハ!止められるものなら止めてみせろ!文明を滅ぼすその一撃を!やれ、セイバーよ!」

 

「いいだろう……マルスと接続する」

 

レフの命令を受け、セイバーと呼ばれた謎のサーヴァントが剣の柄を天井、否、空に向ける。そこから放たれるは一条の光。感覚でわかる、あれはまずい。発動させたが最後、どうしようもない一撃。

 

「発射まで2秒」

 

「先輩!」

「くっ!」

 

マシュと士郎がサーヴァントを止めようと走り出す。

 

「無駄だ、間に合わんさ」

 

レフの笑みが深くなる。士郎が剣を投げつけようとする。それでも何処かわかっている。間に合わないと。

 

「終わりだ、人類最後のマスターよ」

 

 

 

「いいや、間に合ったさ」

 

突然聞こえた低い声に、レフが驚きその方向を見る。聞き覚えのあるその声に、ネロや士郎もハッとする。

 

その体は、(So as I pray, )

きっと剣で出来ていた(UNLIMITED BLADE WORKS)

 

準備段階に入っていたセイバーの隣に、降り立った赤い影。その男が言葉を紡ぎ、魔術を発動する。地面から湧き出る炎が室内を照らし——

 

——その影とセイバーの姿は消えていた。

 

 

 

「……ここは?」

 

気がつくと景色は一変していた。

 

天井だったはずの場所には、雲に覆われた空が広がる。異常なことに、その空には歯車が噛み合いながら浮かんでいる。

 

そして広がるのは荒野。無数の剣がつきたつだけの荒野は、自分の持つ空虚さにも何処か似ている。

 

「マルスとの接続が切れた?」

「すまないが、ここは外界からは隔離された、私の世界だ。ここから外の世界に干渉することはできんよ」

 

少し離れた場所に立つ男。褐色の肌に白髪、自分とよく似た特徴の男。けれども、彼の纏う赤は、自分と違う。

 

人の血が通っているような赤、機械ではなく一人の個。だというのに、彼もまた、自分のように機械的な存在、のような気がする。

 

「何故ここに連れてきた?」

「あのままでは、君によってこの時代の文明が破壊されかねないのでね。全力で止めさせてもらうとしよう、破壊の大王よ」

 

僅かにセイバーの瞳が大きくなる。その呼び方、自分の真名を知っていなければ出てこないはず。

 

「私を知っているのか?」

「ああ、知っているとも。でなければ、あそこで君をこの世界に引き込むことはできなかっただろう」

「……なるほどな。だが私に与えられた役割は文明の破壊だ。その邪魔をするならば、お前も切らねばならない」

「そうなるとは思っていたさ」

 

赤い外套の男はいつの間にか両手に白と黒の夫婦剣を持っている。元より一戦交えるつもりだったようだ。

 

「ならば文明の前に、お前の世界から破壊しよう」

 

破壊の大王、彼女が剣を取り切っ先を向ける。その刺すような視線を受けながら、男は、アーチャーは、笑みを返す。

 

「では行くぞ、フン族の王よ。貴様が挑むのは無限の剣。臆せずしてかかってこい!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふむ。アーチャーは間に合ったようだな」

 

扉から聞こえる声。ネロが見ると、エルメロイII世を始めとする、彼女の客将たち。誰一人欠けることなく、ここまでやってきている。

 

「お待たせ。なんとか間に合ったみたいだね」

「残る圧制者は一人のみ。おお、叛逆の最後の幕開けだ。叛逆者たちよ、いざ参らん!」

「外の兵士も、皆キャットがコロッと料理してやったぞ。酒池肉林の大盤振る舞い。満足だったわん!」

「連合の兵隊さんたちも降伏してきました。私たちの勝利も間近です」

「当然ですね。マスター、モタモタしていないで、さっさと終わりにしましょう」

 

「みな、よくやってくれた」

「はい。あとは、レフ教授を倒すだけです」

 

サーヴァントの視線を一身に受けながらも、レフは動じない。それどころか考え込むように独り言をつぶやいている。

 

「霊基が消滅したわけではない、か。別の場所、あるいは別の空間に転移させたか。余計な真似を」

 

顔を歪め、舌打ちするレフ。

 

「どうする?頼みの綱もいなくなったぞ」

 

士郎が剣を向けながら問いかける。

 

「フハハッ、フッハハハハハ!」

 

狂ったように笑い出すレフ。

 

絶望的な状況についに気をやられたかにも見える。

 

しかしその気はおかしくなってなどいない。

 

一瞬前と異なる、恐ろしいほどの圧力。

 

サーヴァントのそれを軽く上回る殺気、存在感。

 

幾多のサーヴァントと出会った士郎でさえ、その圧力に剣が震える。

 

武者震い?

 

違う、これは恐怖だ。

 

初めてバーサーカーと出会った時にも似ている。

 

圧倒的な相手に対する、恐怖心。

 

「仕方がない。下等な人間ごとき、私自ら手を下す必要もないと思っていたが……喜べ人間。私自ら相手をしてやろう」

 

玉座から立ち上がり、士郎たちのそばまで歩み寄るレフ。狂気的な笑顔は消え、冷静に士郎たちを見つめている。

 

「なんなんだ……お前は」

 

「前にも言ったと思うが、私はレフ・ライノール・フラウロス、そして72柱が1柱。貴様ら風に呼ぶなら、魔神柱」

 

「72の、魔神柱……だと?」

 

「さぁ。勝負と行こうか、魔術使い。私に相手をしてもらえることを、光栄に思うがいい」

 

笑い声をあげながら、レフの姿が変化していく。

 

人の姿から、おぞましい怪物の姿に。

 

無数の瞳を持ち、体からは莫大な魔力が検知される。

 

その姿はジルが怪魔を集めて変貌したものより禍々しく、恐ろしい。

 

「なっ、これは!?」

『士郎くん、何があったんだい!?突然とんでもない、バケモノ級の魔力反応が、って……これは!?』

 

通信越しにロマニが驚愕する。カルデアの観測でも類を見ない魔力量、それを持った敵が今目の前にいる。

 

「奴はフラウロスと言ってた。それに、魔神柱だとも」

『なんだって!?そんなまさか、ありえない』

「ドクター、あれは一体なんなのですか?」

『もし奴の言っていることが本当なら……奴は人間じゃない』

「あいつは神と同じく、人間とは根本的に違う」

『神話に語られるような存在、正真正銘、本物の、』

『「悪魔だ」』

 

完全な変貌を遂げ、レフ、否、フラウロスが雄叫びをあげる。

 

第二特異点、場所はローマ。

 

その最後の戦いへの幕が上がる。

 




ちゅーわけで、先にセイバーに召喚されてもらっちゃいました

次回はレフとの激突ですな、お楽しみに

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